戦闘の行方
テッカが壁に隠れ、ゆっくり2人の背後に近づいていく
スタンクとウォード、テルキが対峙する
テルキが仕掛けようと、身構えた
「まて、ケガはしたくない 銃はやるよ」
スタンクがとっさに言った
「仲間は?」
ウォードが聞く
「別々に行動している」
「なぜだ?」
「俺の相方がシーフだった」
スタンクがそう答えた
メンバーの組み合わせは公開されていないため、嘘をついても開始早々なら気づかれることはない
問題児のシーフと行動は共にできない
そういう風に思わせるのがスタンクの狙いだった
「なるほどな、しかし、何でお前が銃を持ってる?」
シーフなら強引に銃を奪い取っていく、そうウォードは考えた
「シーフは放棄した めんどくさいとか言ってな」
そこにすかさず、テルキが割り込んできた
「嘘だね、あいつ、この訓練に乗り気だったじゃないか 面白そうって言ってたの聞いたよ」
ウォードが疑いの目を向けた
「怪しいな」
その時、背後からテッカが走り込み、ウォードに襲い掛かった
スタンクもそれを合図に、一緒に飛び出す
背後のテッカを目視し、ようやくウォードは気が付いた
「くそっ、そういうことか!」
前からタックルを食らい、さらに腕を取られ、ウォードは完全に身動きができなくなった
「さて、銃をもらおうか」
テッカがウォードを見下ろしながら、言った
「テルキ、逃げろ」
ウォードが叫ぶ
「銃を持ってるのはお前じゃないのか?」
テッカがそう言って振り向くと、テルキがまだその場から離れず、立ちすくんでいた
「立場が逆転したな」
テッカが銃をよこせ、と言わんばかりに手のひらを相手に向ける
テッカは、テルキに対して、根暗という印象を持っていた
なぜなら、普段ほとんど部屋で過ごしているし、一人でいることが多いからだ
だから、ケンカなんてしたこともないし、する度胸もない
そう思い込んでいた
ところが、テルキは2人を前にして、一切ひるむ気配を見せない
それどころか、こんなことを口走った
「かかって来い 口先だけの君に負ける気はない」
逆にひるんだのはテッカだった
こいつがそんなことを口走るとは
「だったら、悪いが容赦しない」
じりじりとテルキに迫っていく
テルキに負けるとは思えない、だが、もしあいつの方が強かったら・・・
仕掛けるのを躊躇していると、突然走りこんでくる足音が聞こえた
スタンクではない
テッカの後方からである
ムーブ、サーシャであった
ムーブは無と布の性質を持っていて、他人と連携を取るのがうまい
思わぬ混戦となり、すかさずテルキが隙をついてスタンクに殴りかかり、ウォードの身柄を確保する
一発殴られ、しりもちをついている間に、4人がこちらに向かってくる
まずい、やられる、テッカはそう思った
スタンクは倒れ、テッカは4人に挟まれ絶体絶命の状況だった
そして、ウォード、テルキ、この2人だけには負けたくはなかった
すると、突然目の前に弾丸が転がってきた
とっさにテッカはその弾丸を手にし、「火」とコールした
そして、銃を構え、前の2人に向かってそれを撃った
ドオンと空気が破裂したような音がし、その直後、爆炎がとどろいた
テッカはその反動で気を失った