シドニーの陰謀
今から約半年前
シドニー・レインズはセントラルシティの地下にある牢獄に来ていた
シドニーはセントラルの軍事部門の責任者を任されていた
年は40と若く、軍を強化することに野心を燃やしていた
牢獄には、他に囚人の姿はなく、ただ一人檻の向こうに男がいた
彼こそテッカらの生みの親、ロバート・エリオッドであった
やつれた顔をし、恨みのこもった目でシドニーを睨み付けている
「まるで狂犬か何かだな、だが、今日はあなたにどうしても聞きたいことがあってやってきた あなたの弟子たちが作り出したオーブの力を引き出せる銃のことは知っている」
シドニーはしゃがみ込み、相手と目を合わせてそう告げた
「・・・なんのことか」
ロバートは目を背ける
「あなたが口を割らないのなら、その気にさせるまでだ」
ギイ、と檻の扉を開けて、中に入る
3歩進み、止まる
「先日、あなたの子どもに会いましたよ 正確にはあなたの生み出した人造人間に、ですが」
ロバートが一瞬眉を動かす
「ある病院から、人体構造の異常な人間が搬送されてきたと それは、オーブの力を秘めた人間でした」
その人物こそ、テッカの弾丸でやけどを負ったウォードだった
心臓にオーブが埋め込まれていた
そこに務めていた医者はたまたまシドニーと知り合いだったため、オーブの力に対して興味を持っていたシドニーにその情報を流したのだ
直接ウォードに会い、銃のことを聞いた
政府の人間と知り、ウォードもそのことを話した
アジトについては、本人が地理を知らないため、聞き出すことはできなかった
シドニーは突然、ロバートを殴りつけた
「ぐうっ」
口元から血を流す
「奴らを使って何をする気だ」
「なん、のことやら」
ロバートはあくまでしらを切り続けた
「はけ!」
しかし、結局彼からは何も引き出せずに終わった
後日、シドニーはウォードの航海履歴を調べた
しかし、データはすべて消されていた
間違いなく、どこかにアジトがある
そして、その存在を政府に隠している
シドニーはどうしてもその銃のことが知りたかった
もし、オーブの力を操るすべがあれば、今以上に軍を強くでき、さらに隣の大陸まで進攻できるかもしれない
シドニーはロバートの周辺を徹底的に洗い始めた
それから、すぐにとある研究所に勤めている男が、ロバートの一番弟子であることを突き止めた
シドニーは彼を脅し、洗いざらいの情報を手に入れた
銃について、組織の結成、そのアジトの場所まで聞き出した
しかし、結局目的までは分からなかった
一方で、組織関係者もシドニーの動きを察知し、政府攻撃の計画を早めた
シドニーも、ここに攻撃があるかもしれない、ということを読んでいた
シドニーは通常セントラルには配置しない軍を使って警備を強化していた
普段の10倍もの軍を使って、徹底的に中央の建造物の警備にあたらせた
結果、数日前から潜伏していた4人、スタンクらを確保することに成功
4人を生かす代わりに、仲間を差し出せ
と脅し、もし渡せば、君ら4人を政府直属の部隊として手厚く歓迎してやる、と交渉を持ち掛けた
4人からすれば、政府を敵に回すなど、到底勝ち目はないと思っていた
ロバートを助けたところで、また政府にケンカを売るようなマネは正気ではできなかった
結局彼らはシドニーと交渉することにした
シドニーは喜んだ
「これで、オーブの力を手に入れることができる」
もはや、軍うんぬんはどうでもよくなっていた
自分がその力を手に入れたい、そう思っていたのだ
シドニーって女の名前だっけ?w




