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僕は女に生れて正解ですね。  作者: どんとこい人生
5/42

ファースト○○○

お気入り登録してくださっている方が100人越えていてびっくりです。

ありがとうございます。

今回はミス多いかもしれません……後で修正入ると思います。


追記:修正が止まらない\(^o^)/

 アルとの出会いから一年。マリーとアルは着々と親交を深めていた。

 当初心配していた、兄達の反応もだいたい悪くなく、寧ろ家族ぐるみの付き合いが増えた。


「マリー様、アルゼウス様がいらっしゃいました。」


「はい、わかりました。すぐに行きますね。」


そう言うとスッと座っていた椅子から立ち上がり、1階で待っているはずのアルのもとへと歩き出した。

4歳となったマリーは受験勉強こそまだだが、淑女としてのレッスンは始まっていた。そのおかげで、良いところのお嬢様としての雰囲気が板についてきた。さらにアルとの会話のお陰か呂律もマシになり、しっかり話せるようになっていた。


「アル!今日も来てくれてありがとう。私、すごい楽しみにしてたよ。」


開口一番にそう告げるとアルも席から立ち上がり、満面の笑みで僕もだよと返した。

今日も兄達はいない。1週間が7日で5日間は学院に行かなくてはいけないので、昼間に家にいる方が珍しいのだ。また、休日の2日間は家の用事に借りたされることがほとんどだ。

兄達はアルとマリーの触れあいを見守るという名目で監視したいのだが、したくとも出来ないのが現状である。

そして、最初こそちょっかいを足していた母親2人だが高位の貴族の妻として暇ではないため、最近はもっぱらマリーとアルの2人で遊んでいる。2人と言っても、すぐ側にメイドと執事が控えているため、本当の意味で2人っきりにはなったことはないのだが。

まぁ、互いに側に人がいるのには慣れている身である。今日も対して気にすることもなく、遊びに興じるのであった。


「あはは、ユークラテス家は面白いね!」


「笑い事じゃないよ!この間なんて学院休んで、アルのこと見張るって言ってたんだよぉ?」


人見知りのマリーも流石に1年も付き合いがアル相手には砕けた態度だ。今のところ家族にも軽い敬語て接している。

 アルも最初こそ緊張していたが、今はなんでも話せる親友ポジションを手にしていた。恋心についてはこの1年で自覚したものの、まだ小さいため一緒にいたいとしか考えていない。そんな純粋な考えも時間の問題だろうが。

 そんなアルとマリーだが、だいたい遊びに来たら最初はお茶とお菓子でおしゃべりして、その後にゲームをする。


「うふふ、はぁ。アルと話すの楽しいなぁ。」


「僕も楽しいよ!次は何する?……あっ!そうだ。今日はあげたいものがあるんだ!」


 そう言いながらアルは両手をパンッと叩くと執事を呼びつけた。


「あげたいもの?私お誕生日じゃないよ?」


 マリーは何も記念日でも、めでたいことがあったわけでもないのに貰える物に関心を示した。好奇心3割、不安2割、期待5割といったところだ。

 側に控えていたソレンス家の執事が何か水色の包装紙と赤いリボンに包まれた箱をアルに手渡した。アルは箱を受けとると、にこりと執事に礼を告げると下がるように命じる。そんな様子を見ていたマリーは小さいながらにアルはしっかり貴族をやっているなぁと感心していた。


 マリーが少しぼんやりしているとアルが少し表情を固くしながら真っ直ぐに見つめた。ここ最近は柔らかな表情しか見ていなかった マリーは心地の悪さを感じ、それを払拭するように問いかけた。


「えっと……その箱が私に渡したいもの?」


「うん。あのね、マリーは4歳でしょ?ダンスの練習もそろそろ始めるでしょ?」


「え、そうなの?」


「え。」


「え?」


 マリーはダンスの練習など、まだ始めていなかった。マリーは知らなかったが5歳で社交デビューをするので普通は4歳から練習を始めるものなのだ。

 ただ、マリーが何歳から歩いておかしくないのか悩んで歩きだすの遅かったため、練習の時期をずらしていた。流石に、もうそろそろ練習を始める予定ではあったのだが……。

 微妙な沈黙を挟んだが、アルとしてはプレゼントを贈るのに必死な為、とりあえずスルーすることにした。


「えっと、これから練習すると思うよ?えっと、練習はどーでもいいんだけどね。そぉじゃなくて、うんとね、すぐに5歳になっちゃうでしょ?」


「うん。」


 いつもは4歳とは思えないほど話すのがうまいアルだが、緊張のせいで歳相応の口調になっている。言葉が詰まり、本題を中々切り出せずにいた。何がそんなにアルに緊張させているのかマリーには皆目見当がつかない。


「……あのね。ダンスの練習するってことは、社交界が近いからでね。あのね、初めて社交界に出るときにこれを付けてほしいんだ。」


 そういうと手に持っていた箱をマリーへ渡す。マリーはなんだろうと疑問に思いつつも、その箱を受け取る。持った感じは軽い、ほとんど箱の重さだと思うほどの軽さだった。


「ありがとう。えっと、付けるってことは何か飾りとか?……開けてもいいの?」


 受け取って、付けてほしいと言われても中身が分からないため対応に悩むマリー。その発言を聞いて、色々足りてなかったなと思ったアルは開けるように言う。

 マリーはわかったと頷くと机へと移動し、リボンをほどいて丁寧に包装紙をはがす。ちなみに、この世界にはセロハンテープという名の物は無いが、貼り糊というものがあり、それがセロハンテープと同じ扱いを受けている。この包装紙も貼り糊で留めてある。


 閑話休題。マリーは裸になった箱を見る。この箱は一部が固定されていてパカパカと上下に開くタイプのようだ。さっきの発言から鑑みても、アクセサリーの類で間違いないだろう。

 マリーはそっと箱を開く。すると、中には朱色のバラのような八重咲きの花にキラキラとした銀を織り交ぜた黄檗(きはだ)色のリボンが小さく付いているコサージュと留め具が数種類入っていた。


「えっと、それは髪にも服にも付けられる飾りだよ。その花の裏に一緒に付いてるやつをね、交換するとね、色々使えるんだよ。ぜひ社交界で付けてみて欲しい……な。」


 4歳という性差のあまり無い時期の美形は、どの世界でも可愛い。頬を紅潮させて、はにかみながら伝えるアルのその姿は天使と評して差し支えない可愛らしさだった。

 プレゼントを受け取ったマリーは、何故くれるのだろうかと疑問に思ったが、アルの可愛らしさにすべてを流し、感謝の意を伝えた。


「ありがとう。私アクセサリーってあんまり付けないんだけど、これがあれば社交界も怖くないね!………って社交界って?」


 言ってから、自分が社交界に出るという言葉に驚くマリー。ずっと流していたが、マリーはいつかお見合いでもして結婚すると思っており、社交界のような華やかな場に出て人と交流するのは結婚してから夫の付き添いとしてか、女だけのティーパーティーくらいだと思っていたのだ。ティーパーティーも含めて社交する場所イコール社交界という考えなのだろうか?と疑問符を浮かべる。

 アルは自分のあげたアクセサリーが喜ばれて、気持ちが高揚していたが、マリーの発言を聞いて驚く。


「え、だって僕たち貴族は5歳になったらお披露目会をやって、社交界の仲間入りするぞってケビンが言ってたよ?」


 ケビンとはアルいつもそばに控えている執事である。今も壁の傍で待機しており、微動だにしない。メイド、執事は基本的に表情に色々出さないように訓練されているためである。内心では、産まれたときから傍に付き添っている息子のような坊ちゃんの初恋の行方を生温かく見守っている。


「……社交界っていろんな人と会ったり、おしゃべりしたり、ダンスしたりするんだよね?」


不安げに少しだけ瞳を潤ませて、口元を手で隠すようにしながら問いかける。


「ッッ!!そ、そうだよ。社交界のこと知らないのに、よくわかったね。」


 潤んだ瞳で上目遣いをしながら自分に質問する姿に、アルの胸の鼓動が早まる。本人は紳士たれ、という思いでいるので必死にそのことを悟られないように、脳内で落ち着くんだと唱えて返事をする。


「え?えっと、私が出るとは聞いてなかったけど、お兄様達が色々教えてくれたの。」


 ダンスの練習をする時に社交界についても同時に学ぶので、社交界についても知らないと思ったアルの考えに反していたことに多少の疑問を抱いたが、考えても分からないのでどうでもいいかと流すことにした。そんなことよりも、アルにとってはもっと大事なことがあった。


「あ、あのさ!まだダンスの練習したことないんだよね?」


「うん。私パーティーとかも参加したこと無いから、見たこともないんだよね。たぶんすると思うけど練習もまだだしね。」


 どこか期待を含んだ瞳の問いかけに、ちょっと残念そうな表情を浮かべて答える。返事を聞いたアルは瞳をキラキラと輝かせてさらに詰め寄る。


「じゃ、じゃあ!僕とちょっと踊ってみない?」


 珍しく声を張り上げながらダンスを誘いをするアル。


「え、でも私は本当に踊ったこと無いし迷惑掛けちゃうよ?」


 運動音痴で、なおかつ日本人感覚の抜けていないマリーは二人で踊るダンスに少し羞恥心を覚える。後夜祭のペアダンスでも手をつなげなかった男の子である。いくら相手が幼児といえど手をつないで密着するというのは、自分自身が幼女で身長が近いため照れてしまう。

 しかし、アルとしてはマリーとの初めてのダンスをできるチャンスがあるのならやりたいのだ。

 なぜならば、この世界において初めてのダンスの相手というのは日本におけるファーストキスと同じくらい価値があるからだ。とは言っても性的な意味は一切ないのでキスと同等に扱っているわけではないが。それでも大きくなってから「ファーストダンスの相手って誰だった?いつごろだった?」という話題は大きくなってからもする定番の恋バナである。

 マリーの場合は練習すらしていないということで本当に初めての相手になるのだ。社交デビューの最初のダンスをファーストダンスと言うが、本当のファーストダンスは父親や教師を担当したものに奪われてしまうため、本当の意味でのファーストダンスになるのはほぼ不可能である。

 それが可能だというのだから、兄達にファーストダンスに出来ると良いな、とからかわれているアルの興奮もいたしかたないだろう。


 マリーはいつもより前のめりなアルに困惑するが、心の中でアルは子供だし大丈夫と言い聞かせた。


「……えっと本当に全然踊れないけど、アルがいいなら……。」


 この返事を聞いた瞬間にアルは満面の笑みを一生懸命隠しながら小さくガッツポーズをした。小さく「やった」と言ってしまったのはご愛敬だろう。

 傍に控えていたアルの執事は心の中でアルを称賛して拍手を送り、マリーのメイドも可愛い恋愛模様を見て表に出さないようにしつつ興奮していた。

 アルは目立たない程度に深呼吸をすると、出来るだけ自然に見えるように笑みを浮かべ、足を揃えて、左手は胸元へ、右手はマリーへと手の平を見せるように差し出して兄達に教わったダンスの誘い文句を言う。


「では、私と踊っていただけますか?」


「……はい。」


 マリーは照れで少し俯いてしまうが流石に失礼と思い、視線だけアルへと向け、白く柔らかそうな頬を赤く染める。そして、おずおずと手をアルへと重ねる。結果的に上目遣いとなったマリーに、ただでさえ早い鼓動をさらに速める。


 そこで、アルは自分のミスに気付いた。マリーのもう片方の手には、まだプレゼントしたばかりのアクセサリーは握られている。マリーもアルの視線に目をやり、何故アルが固まってしまったのか気付いた。マリーは少しの間コサージュを見つめながら考えて、アルに付けてもらうことにした。


「アル……これアルが付けてくれる?」


「う、うん!」


 好きな女の子にプレゼントしたアクセサリーを付けてほしいと頼まれて、嬉しくないはずがない。アルはすぐに返事をすると、マリーの手から受け取ると少し考えてからハーフアップにしている髪の毛の縛っている部分にそっと付けてみた。

 4歳児だからか少し曲がってしまったが、しっかり髪の毛に留まった。コサージュを付けたマリーを眺めて、ご満悦のアル。気を取り直して、もう一度先ほどと同じように手を差し出す。マリーも気を取り直して、今度は可愛らしい笑顔を浮かべて、その小さな手を取った。


 手を取って構えたところまでは良かったが、またそこで止まってしまった。

 全く初心者で知識のない女の子をリードするのは難しいことだ。音楽も流れていない、この場ですぐに踊りだせないアルを責めるのは酷だろう。

 リードする側である男性は女性よりも早く練習を始めるが、アルもまだ習ってから半年ほどしか経っていない。

  マリーはせっかくダンスの構えを取ったのに動き出さないアルに困ってしまう。何か自分の知らない、やらなくてはいけないことがあるのだろうかと考えるがアルはマリーが初心者であることを知っているのだから、何か必要なら言ってくれるだろうとのんびり待つ。


 アルはファーストダンスが出来ることに興奮して色々忘れていたことに焦り、どうしたものかと考えるが4歳の脳みそはそこまで優秀ではない。刻々と時間が過ぎてしまう。


 止まってしまった部屋を動かしたのは音楽であった。


 ケビンはアルがマリーを誘ったときから部屋にある音楽を流す機械、音流機(おんりゅうき)をすぐに使えるようにと構えていたのである。案の定、構えたところで止まってしまったアルに苦笑しつつメイドへ目配せをして音楽を流す準備をする。

 二人が動きを止めて数秒後、無事に音楽が流れ始めた。その音楽を聴いてアルが、思わずといった感じに音流機の方を向く。その視線を受けてケビンは目でマリーを指すと、アルへと一礼する。それを見てアルは心の中でケビンに感謝しつつ、マリーへ簡単な指示を出しながら踊り始めた。


 初めてで運動をほとんどしない4歳児とダンス歴半年の4歳児では実にぎこちないダンスだった。足もときどき踏んでしまっていたし、音楽にも乗りきれていない、ダンスと呼ぶべきかお遊戯と呼ぶべきか悩むほどの出来だった。

 しかし、そのダンスは見ている人も踊っている本人達も暖かい気持ちにさせ、拙いが実に可愛らしい思い出のダンスとなったのだった。

小説難しい。どこまで描写すべきか悩みますね。どんどん可愛い恋愛模様とか描けたらいいな、と思っています。

最近アクセス解析とか評価とかお気に入り登録の数の見方を知りました。

感想とか全然ないのでほとんど独り言状態かと思っていました。

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