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僕は女に生れて正解ですね。  作者: どんとこい人生
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命名の儀式

切りどころ微妙なので短いです。


 冬樹が娘として産まれてから1ヶ月が過ぎた。


 あれから、元気にすくすく育った冬樹は今日、命名の儀式を行う。


 命名の儀式とは貴族や王族のような尊い身分が行う、名付けの儀式である。寺院で神主主導のもと健康と今後の活躍と幸せを祈り、正式に名前を受理してもらうのだ。

 現代日本における戸籍登録とキリスト教の洗礼を合わせたようなものである。


 この世界で信仰されている女神ネイリアルが生後1ヶ月までほとんど動かずに周りの者を悩ませた。しかし、その1ヶ月で世界の声を聞いた女神は、素晴らしい人物となり生神として崇められ、人々を繁栄の道に誘ったと言われている。

 そのことに肖って、生後1ヶ月までは命名も人としての定義せずに女神の子供であるとして扱い、世界の声を聞かせるために静かに過ごすのだ。


 そんな事情を知らない冬樹は最初、虐待でもされているのかと戦々恐々としていた。

 しかし、声こそ殆ど掛けてもらえてはいないが、みんな笑顔を向けてくれているし、世話もしっかりされているのが分かったため、とりあえず落ち着きを取り戻した。


 部屋でぐっすりと寝ていた冬樹は腹時計で朝と昼の間くらいに抱き抱えられた。産まれてからマリーのなんとなくの感覚で30日前後、ずっと同じ部屋で過ごしていたが、どうやら今日は出るらしい。

同じ風景しか見れない状態にストレスが溜まっていた冬樹は、理由は分からずとも嬉しくなって笑う。

それを見て、冬樹を抱き抱えているメイドも嬉しそうに笑みを浮かべた。


 玄関を抜けて馬車らしきものに乗る。その車の揺れが心地よく、冬樹はまた寝てしまう。そうこうしているうちに寺院へと辿り着いた。車から降りて、日光を浴びることで冬樹はまた目を覚ます。何やら外が騒がしく、冬樹は混乱したが周りの人物が皆一様に笑みを浮かべているので危険は無いだろうと判断した。危険だったとしても、赤ん坊の冬樹に逃げる手段など、ありはしないのだが。


 少し歩き、寺院の大きな扉の前に立つとメイドは冬樹をそっとリディアへと渡し、一礼をするとその場から離れた。

リディアが冬樹を受けとると扉の左右に待機していた執事2名がギィと重い音をたてながら扉を開く。


 中は真ん中に前まで続く道があり、左右に多数の座席がある。席には豪華て品のある礼服を来た人がいた。皆一様に着ている服は淡い色をしており、寺院内の光りあいまって幻想的で優しい雰囲気を醸し出す。

 一家は左右にいる人々の視線を一身に浴びながら道を歩く。

 1番前の神主がいるところまで歩くと、目の前に大きな器があり、水が張っている。その水に浮いている白く、金の細工の施された揺りかごのようなものに冬樹を入れる。

 水の上にある揺りかごに入ることに冬樹は怯え、目を瞑り、揺れに備えて体に力を入れるが揺れる気配は無い。

 冬樹を入れた揺りかごは水の上に浮いているにも関わらず揺れていないのだ。その事実に混乱する冬樹だが、周りは生後1ヶ月の赤ん坊かそんなことを考えているなど思わず、粛々と儀式を続けていく。


「娘がユークラテス・アルフェンリード・ワナルヘル家の繁栄と栄光への道しるべとなるべく、今ここに名を刻む……。女神ネイリアルのご加護を、ここに降り注がんと……」


 実に長い祝詞を捧げる神主。大人であるルイとリディアは慣れたものだが、子供である5人兄弟はそわそわとしている。2人はあくびまでしてしまい、リディアに目で叱られる。その光景を見たルイと近くにいた参列者は静かに笑う。


「……女神エネイレルよ。」


最後に女神の名前で締めた神主が冬樹を抱きかかえる。


「今、ここに新たな家族が産まれた。名はマリアンヌ。マリアンヌに祝福の光を」


神主の言葉に合わせて、ルイ達家族と参列者も言葉を唱える。


「マリアンヌに祝福の光を」


参加者全員による復唱が終わると神主は頬笑みながら、リディアへ冬樹、もといマリアンヌを手渡す。


「さぁ、母君。マリアンヌに声をかえてあげてください。」


「はい……。神主様。」


リディアは自分の腕の中にいる娘、マリアンヌを見つめて話しかける。


「私があなたのお母様、リディアよ。こっちはお父様のルイヴァルト、その隣の熱い炎の色の髪の子は長男のギルテニア、しっかりものだから頼りになるはずよ。その隣の青い髪の子が次男のシェリザス、とっても頭が良くて物知りよ。その隣の黄金色の髪の毛の子が三男ダイカインで武術がとても得意なの、きっとあなたを守ってくれるわ、その後ろに隠れてるのが四男のナディリス、芸術の才能があってとても素敵な絵を描いてくれるの。きっとあなたの素敵な肖像画を描いてくれるわ、楽しみね。そこでぴょんぴょん跳ねてるのが五男のハルミニアよ。とっても優しくて、植物や動物の世話が得意なの。大きくなって馬に乗る時は手助けしてくれうはずよ。そして、最後に長女、マリアンヌ。あなたのことよ。あなたは初めての私達の娘。まだ、どんな子になるか想像もできないけれど、身も心も美しい淑女になると指示ていますよ。」


 リディアはまだ言葉も理解していないはずの娘へ家族全員の紹介を済ます。

 この命名の儀式でやっと言葉を通わすことが許されるのだ。理解出来ずとも、リディアはマリアンヌに1秒でも早く家族のことを知ってほしかったのだ。


 ここまでリディアが話したのを聞いてルイは後ろの参列者へと振り向く。


「みんな、今日は娘の命名の儀式への証人としての参加ありがとう!今日、娘マリアンヌが儀式を無事、終えることができたのもみんなのおかげだ。ささやかながら宴の用意をしてある。是非、くつろいでいってくれ!」


その声を聞いた参列者からは拍手と歓声が送られた。そして、その拍手と感沿いに見送られるように、リディアの腕に抱かれたマリアンヌは車へと向かう。その短い間にも参列者からの祝福の拍手は送られ続けた。

そんなに長くならない予定です。練習なので。

次回からちゃんと冬樹もといマリアンヌちゃんの話になります。というか、この話は三人称より一人称のほうが良かったですね。

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