まだ途中。続くとは思いますが(・・;)すみません
森羅湖の森
緑が生い茂る森の中。
四人の男と一人の女性。
緑の迷彩マントとフードに身をやつしている。背中には"G"の文字。
遠くで水の流れる音が聞こえる。明るい葉や静粛とした白い花々。時に聞こえる綺麗な鳥の声。すべてが鮮やかに見え、神聖な領域であることを告げている。
彼らは単調に森の奥地へと進んでいた。歩みを止めることなく進んで行く。
「ここは幻想の森と地元民に呼ばれているらしい。」
覆面の男は言った。
「ああ。知ってるさ。聞き耳を立てて話を聞くのは上手いからね。僕たち」
鋭い目を持つ男が、指を口に当て、舌をチロチロさせながら皮肉のように言った。
蛇のネックレスがギラギラと光る。
「はっ、それが本業だからな」
パルチザンを肩に乗せた、太った男は口元を引きつらせて言った。
ビューー…
静かな。今までとは脈の違う風が、遠くで草木を掻き分ける小さな音。
「少し静かにしろ。音だ」
覆面は言った。顔の向きを少しも変えず歩みを続けながら沈黙する。
サワサワと草を掻き分ける音。
歩いてる左側から強い風が来る。
ザワッー
鮮やかな葉が撫でられ、少量の草が彼らの視界を横切る。
一同は集中力を左側に向けている。視線は変えない。武器を持つ指でリズムをとる者もいる。
ア"ーーーーーーーー
奇声の一声が響いた。
風の方向からだ。
声のあとはだんだんと風は弱くなり、治まった。
集中力を左に移すのを辞める。
もちろん解くことはない。
覆面は一度頷き確信したようだった。
「見切った、これは探りだ。行くな。」行けば戦闘になる。無用な戦闘は避けるべきだ。
一行の口元がほころび、また単調に道を進む。
「大方、風を四方八方に飛ばし。自分の元へおびき寄せる算段だろ。大群がよく使う手だ」
覆面が前の話を続けて言った。
「に、しても。幻想の森と呼ばれるからな。心霊の類でもおかしくはないか。大群か心霊。どっちも敵にするには楽しくないな」
「どうせなら戦わずに遺跡に進みたいな。んなことは無かったがな。この人生で」チロチロと舌を出している男は笑って答える。
「今回の鍵は赤子の声だ。この奥地だから幻聴とも言えるだろう。それが体感出来たら合図だとよ。そこに遺跡がある」
「行くぞ」
「おう」
穏やかな風が吹く
フードが風に揺られてふわりと揺れた。覆面の男の首もとに赤い印が見えた。
「そろそろ近いのかもしれないな。目的の場所とやらわ。」
一行は奥へと向かう。
前の風から少し立っただろうか。最初にあった奇声から何度かその現象とも言えるものは続き。
相変わらず鮮やかな森林地帯をまっすぐ進んでいた。
「シッ」
覆面が左手を横に上げる。
今まで喋っていた蛇のネックレスを付けた男は黙った。
ガサガサガサガサッガサ!!!
風が今度は前よりも強く。茂みを掻き分けるように進んでくる
風が唸り声を上げてこちらに突進してくる。
グオオオォォォーーーン
草花が数枚抜けて一行にぶち当たる。
「うっ」
一人が飛ばされて茂みにはまる。
最低限の悲鳴を上げる。
団員唯一の女性はフードを直して、持っていた杖で立ち上がる。
一行の最後尾に何事もなかったように加わる。
風は止んでいたようだ。
鳥の声も消え、鮮やかな色のみが彼らを包む。
おぎゃあーおぎゃあーおぎゃあー
声が遠くの方から聞こえる。
歩を辞めて、耳をすませる。
「左前方の石柱の方から聞こえる。人工物からは離れるルートをたどってたから、その程度の情報しかないよ。」
今まで喋らなかった男が落ち着いた声で情報を言う。細身の身体。フードを深く被っていて顔は見えない。レイピアを腰に携帯している。
「どうするの。リーダーさん」
ムッとするような声で細身は言う
「赤子か。」
覆面は顎を摩る。
「少し近づこうか。様子が見えるあたりまで」
手で払う仕草をして「散る」合図を送る。
それに合わせて、皆は別々の方向から石柱を目指す。木々に隠れながら巧みに間合いを近づける。
「作戦通りに進んでくれよ。今少し不安だ。」
覆面は一人静かに言った。クレイモアを握る手が強くなる。
背後で草が倒れる音がした。
鈍い音も続く。
「まっ、まだ安心か。上手くなりやがって」
覆面は身を低くして次の木に移る。どんどんと石柱へと近づいていく。