第3話 独身先生とパ◯プロ
何も考えずによんでください。
今年の実況パワフルプロ野球が早くやりたいです。パワフルメジャーも早くやりたいです。
第3話
開幕初戦をいきなり惨敗。
人生のAクラスは遠いかもしれない。
だが、まあ待て。まだ1敗しただけだ。「1勝は1勝。1敗は1敗。開幕戦だろーがなんだろーがそれ以上の意味はありませぇん」と、かの名将落合博満監督も、あのクセのある含み笑いでいっていた。(ほんとか?)
次の日、またオレたちはノキアに呼び出され、春休みを無為に過ごすことになる。
一応、あらかじめ占いの第1問目の出題はなされていた。
「今日の金子千尋投手(04年自由獲得枠)の第1球目の球種はなんでしょう?」
ふ。懲りない女狐め。まあ、このへんは我が優秀なる右腕、最終兵器後輩の野田ピロコがなんとかしているだろう。
その日はほんとうに、無為だった。
無駄だった。
呼吸した酸素を返して欲しいくらいだ。
「あらー、おそかったじゃなーい」
ビク。すでに条件反射となった我が脳内感覚が、風雲急を告げていた。
「せ、せんせい! め、めずらしーっすね」
顧問の仰木アキコ先生だ。通称『あっきー先生』どちらかというと美人よりも可愛い系という感じで、校内でも評判はそこそこ。赴任1年目でノキアに占い部の顧問に担ぎ上げられ、被害者かと思っていたのだが……。
「さ、レッツぷれい!」
と、日本が誇る、有名某ゲームメーカー作成の、リモコンコントローラを渡され……。
「さあ、君もあたしの『すーぱーちーむ』に挑戦するがいいわ」
ふと脇を見る。
部長花澤ノキア以下数名が、
骸と化していた。
「さあて、プレイボーイ!」
プレイボールです先生。教師として、一番ダメな方面のうっかりミスです。
「ガタガタ言わないの。さ。君もチームを選びなさい!」
といって、先生はオレの右1メートルほどに陣取る。なんだ? ここはあんたの自宅のワンルームマンションか。
しようがないので、目の前の巨大画面に目をやる。
オリジナルチームだ。すーぱーちーむ、ってのもうなずける。
オリック◯をベースに、ほとんど自分で作ったオリジナル選手を入れていて……。
うーん、サクセスか。相当やりこんでるな……。って、
「あんたこれ、パ◯プロじゃないすか!」
いつの間に部室に巨大液晶テレビと、某ゲームメーカーのゲーム機が持ち込まれたのか。
などと思っている暇もなく。教師が生徒をたきつけて、部活でテレビゲームなどをしてよいのですか、などと思っている暇もなく。
25対3
というある意味リアルなスコアで負けてしまった。いやー、向こうの選手、すげえ能力値でさー。
はぁー、と露骨にため息をもらす教育者。
「なーにー? 君のあそこはフニャ◯ンですか?」
「いや、まあまあたまにイキリ立ちますケド……」
いや、そういう問題でもなくてだな。そもそももっと根本的な何かが……。
「おそくなりましたー。ちょっとデータ手間取りましてぇ」
ああ、なんてことだ。まさに飛んで火にいる夏の虫。哀れな犠牲者。
我が右腕的最終兵器後輩。野田ピロコ。
「ひゃああああっ! なんですか、この阿鼻叫喚図はぁああっ!」
ごもっとも。もうノキアたちは、『みょみょみょ……』的な意味不明語を発するアヤシイ生命体と化している。
『はっ、仰木先生』とすべてを察したピロコ。さすがデータ占い創始者だ。理解力が半端ないね。きっとヤツの頭には冷静な分析データから導き出される、至極正確な見解があるに違いない。
というわけで、オレは、ピロコの助けを借り、連合チームであっきー先生を倒すことにしたのです。
ノキアはどんな配球でも、そのタロット占いでほぼ100パーセント当てられるのだが、さすがにこの超スピード感のある実況系野球ゲームでは無理だったようだ。タロット片手にコントローラをいじるノキア部長のあせった顔が浮かぶようだ。うーん、見たかった。
トントン。カキーン!
「やったー、ほーむらーんっ!」さすが長野◯義。
トン。カキーン!
「またスリーベース!」いいよ、阿部慎◯助!
くくく。今回は楽勝だな。メジャーチームに負けるという屈辱つきだぜ。
トントントン。む、チェンジアップか。ま、楽勝だな。
「くぅーーっ! なんでこうまで打たれるの? まるで配球が読まれているかのよう……」
読んでんだよ。まぬけめ。ピロコがオレの肩を叩いて次の配球を教えてくれてんだよん。
トンでストレート。トントンでスライダー系。トントントンでフォーク系。
はっ、とするあっきー先生。
「あんたら、占いは禁止よ! あたしの次の旦那候補が見つかるまで!」
いつだよ……それ……。
「申し訳ないのですが、オレたち、占いなんて一回もつかってませんから。ご安心を」
まあ、ただ単にピロコが先生のコントローラを後ろから見てるだけだからね。
ま、今度は500対2くらいで勝てそうだな。良かった良かった。
なんて言ってるうちに、オレたちは開幕試合を見逃し、あわててテレビをつけたらもう5回裏だったという。金子千尋さん(ex長野商業高校)は、9回を完投し、12奪三振。勝利投手となりましたとさ。
いつも読んでくださってありがとうございます。