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第9話:王都

やっと王都に入ります。少しでも楽しんでいただければ幸いです。そして、交流サイト『小説家になろう〜秘密基地〜』様にこの小説の登場人物を絵にして投稿させていただきました。もしよろしければ、御覧ください。モノクロです。ひたすらモノクロ・・・

 さてさて、王都まであと少しとなった頃、前方に洞窟が見えてきました。

「洞窟が見えてきたんだけど」

 ちょっと不安げなノイはアイラに尋ねる。

「それが?」

「いや、道間違えたのかなぁと…」

「私が道間違えるわけないじゃん!」

 どこからそんな自信があるんだと、聞きたくなるようなほど胸を張って自信満々に言う。はっきりと答えを出したのはコイル。

「ここを抜けないと王都に着かないのよ」

「へぇ、んで洞窟って長い?」

 その問いに答えたのはアイラ。

「まあまあ」

 具体的にどうなのかがちっとも分かりません。


 そして、三人は洞窟の中に入っていったが、もちろん中は真っ暗、アイラは『ライト』を工夫して人差し指に明かりを灯し、辺りを照らす。そこで見つけたのは、

「やった!食糧発見!」

 最初に見つけたのはアイラ。

「こっちは薬が落ちてるけど…使って大丈夫だと思う?」

 次はノイ、いつからか置いてある薬。

「ラッキー。魔法書だ」

 コイルは魔法書を見つけたようだ。表紙は真っ黒で中央の部分だけ銀の装飾が施されているようだが、薄暗くて判別がつかない。そこにアイラが駆け寄ってくる。

「コイルさん、なんて書いてあるの?」

「ちょっと待って、えぇっと、これって私の『紋章』じゃないや、アイラってこの紋章じゃなかったっけ?」

 ノイにとって聞き慣れない言葉が飛びかう。『紋章』とは?気付いてもらおうとノイは二人を見る。

「そうです、私の『紋章』です」

 さらに二人を見る。

「それじゃあ、これあげるよ」

「本当ですか!?」

「私が持っててもしょうがないしね…って、ノイくん。さっきから視線が痛いんですけど?」

 コイルが魔法書をアイラに手渡そうとしたとき、やっとノイに反応してあげる。

「…『紋章』って、何」

「あぁ、ノイは魔法学を勉強していないから知らないんだよね、『紋章』っていうのは簡単に言うと魔物や精霊達が持ってる属性みたいなものかな、人間が持つ『紋章』は三つ。光、闇、風」

「属性…じゃあそれってオレにもあるんすか?」

 ちょっと身を乗り出してコイルに尋ねる。自分とは無縁だと思っていた力が手に入るかもしれないから興奮気味である。

「あるよ」

「んじゃあオレも魔術使える」

「残念ながら」

 ここでノイを遮ったのはアイラ。

「たとえ『紋章』が分かってても、訓練を積まなきゃ魔術は扱えないよ」

「…なんだ」

「でも例外はいるわね、エルフ族やハーフエルフ人種は訓練を積まなくても魔術は扱えるわ、まぁ、もともと魔術ってのは彼らが持っていた力を人間が自分達用に編み出したものだし」

「へぇ」

 ノイを真ん中にして会話が飛び交う。専門的なことばかりで少々勉強が嫌いなノイにはきつい状況でもある。

「まあ、訓練を積まなきゃいけないのはそうなんだけど、その前に体に『印』を刻まなきゃいけないんだけどね」

「…二人にもついてんの?」

「そりゃあ、魔術使えますから」

「どこに?」

「基本は太股かなぁ、人によっては手の甲とか二の腕、珍しいのは鎖骨かな。ついでに私は鎖骨、コイルさんは?」

 順番に太股、手の甲、二の腕、鎖骨と順番に指差してゆく。

「私は手の甲。光の紋章だからこんな」

 コイルの手の甲にじわりじわりと浮かび上がってきたのは、直径五センチくらいの丸い円のなかに球体と雷のようなマークが描かれている。マーク自体の大きさはそんなに大きくはないが存在感はすごくある。光の紋章の意は治癒・形成。つまり治癒・再製を得意とする。

「私は闇の紋章だから…って見せれるわけないじゃん!鎖骨だよ!?」

「大丈夫だって、お前の身体に興味ないから」

 アイラは発動していたライトを巨大化させ、攻撃用に変化させた。 ガァン

「私はこれ、風の紋章は…こんな」

 アイラは地面にナイフで紋章を二つ描きました。もちろん、ノイはアイラにやられてぐったり、見れていません。

 闇の紋章は光の紋章と同じくらいの大きさだが、外周は菱形。中央には三日月だろうものが形どられ、その周りは外周に添って弓矢と剣が描かれている。

 風の紋章は六角星の形。中央は鳥の羽が一本描かれ、その周りには雲を模したような形が描かれている。 それぞれ、闇の紋章の意は破壊・催眠。つまり直接攻撃・心理攻撃を得意とし、風の紋章の意は拒絶・回避。つまり防御・移動だ。

「いたた…何すんだよ!頭打ったじゃねぇか!」

 忘れていたノイはむくっと起き上がり頭の下敷きになっていた大きめの石を持ち上げ二人に見せる。

「え?何のことかアイラ、全然わかんなぁい」

「きも・・・」

「ノ、ノイ!その手に持ってるのストーンだよ、やったじゃん!」

「?たかがストーンじゃん」

「何言ってんの、ストーンは貴重な物を隠し持ってる可能性が高いんだよ?ちょっと貸して」

 コイルはノイからストーンを受け取ると、大きく振りかぶって…

「やあ!」

 ガシャン 掛け声とは裏腹の思いもよらぬ行動。ストーンを思いっきし近くの岩に叩きつけました。

「ほら出てきた、金だよ純金!これを使えば装備品を強化することができるわよ」

「マジっすか!?」

「二人とも!そと見えてきたよ」

「やったー!外だー!」

 アイラが出口近くで叫ぶ。反応が忙しいノイ。さっさと出口付近にいるアイラの下に。コイルはいそいそと金塊を自分の鞄にしまいこみ二人の後を追う。




「待て!ここから先は市民・国家関係者以外は立入禁止だ」

 ここで喚いた若者が一人。鎧を身につけ片手に槍を持ち、仁王立ち。それともう一人、若者と同じ格好はしているが雰囲気は軟らかい。どうやら年配の男性のようだ。

 彼らの後ろには頑丈そうな門。

そう、ここはグランド王国西門。

王国に入るには門をパスしなければならない、王国の門は四方にあるが、一番出入りが激しいのはこの西門。この国は一応大陸の中央に位置するが、他の都市が王国の西に位置しているため西門からの入国が多い。ちなみに北には『緑の泉』という特別な森があり、東には港がある、南には特になにもなく平原が広がる。

 そこで足止めをくらっているのはノイ達。もちろんコイルの権限を利用すれば入国手続きもしなくてすむ。

「こんにちは。私は王都警備部隊召喚部門のコイル・セラフィー三将です。国王直々の任務からの帰国ですわ」

 いままでのコイルとは違い、妙に落ち着いている感じ。

「失礼いたしました!どうぞお入りください!」

 若者は先程の態度とは一変。コイルに敬礼をし謝罪をすると直ぐに門を開錠、三人を入国させた。

「さすが王都警備部隊!」

「どういたしまして。でもアイラは一度国王から直々に『国王直衛部隊』入隊のお誘いがあったじゃない、なのに断っちゃって…」

「だって興味なかったし、私が召喚術学びにきた理由はもっと他にあったし」

「他?」

「そっ、他」

 またまたノイ君ついていけません。部隊名聞かされても何が何だか、さっぱりわかりません。



 そんな三人を建物の影から見張っている男が一人。男は三人の入国を見届けると、おもむろに内ポケットから無線を取出し連絡をとりはじめる。

「コウ様」

「ガッ……な…んだ…?」

 電波が悪いんだろうか。機械から聞こえてくる言葉は途切れ途切れで、内容はなんとか把握できる程度だ。

「彼女が王都に戻りました。このまま備考を続けますか?」

「あ…あ、頃あ…を見張っ…て…彼女を…連れてき…てくれ」

「はい」

 彼と機械の声との会話は終わった。

前書きが長くてすみません。今後ともよろしくお願いします。

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