表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/35

第6話:召喚獣

最近、何が何やら分からなくなってきました。。。もしよろしかったら感想and評価などお願いしますm(__)m

 ザッ!

「うっ…眩しい」

 勢い良く開けられたカーテンの向こうからやわかな光が差し込み目にかかる。まだ寝ていたノイにとってこの光さえきつい。なんせ、ソファーのうえで本来獲得できるはずの睡眠時間の半分近くはソファーとの格闘に費やした。お陰で眠いうえに体中が痛い。

「ノイ起きて! 出発するんだからさっさと支度して!」

「もう!?」

 ノイは窓の外を見た後に時計を覗き込む。 時計はまだ五時半を廻ったばっかで、外は人がちらほらといるだけ。

「まだ五時半だぜ?」

「何言ってんの? 今から出発しないと夕方までに王国に着かないじゃない!」

「しらねーよ。いいじゃん着くのが夕方になっても夜になっても」

「やだよ! 夜に王国に着いても入れてもらえるか分かんないし、なによりも…」

「何よりも?」

「夜更かしはお肌の敵!」「はぁ!? んなこと言ったら昨日なんか思いっきし夜更かしだろーが!」

「うっ…きっ昨日のは夜更かしに入らないの!」

「はっ! どんな基準だよ」

 こうなると二人の喧嘩は誰かが割り込まなければ止まらない。

「まあまあ、二人とも落ち着いてよ」

「「あ、コイルさん」」

「こういう時だけ仲良くしないでよ…」

 そんなこんなでとにかくアンブルを出た三人と一匹(?)。ロビーにおりるとやっぱり不思議そうにこちらを見る例の女性。なんせ昨日泊まりに来たときはノイとアイラしかいなかった。だが次の日になるとそこには三人目。

「はい。宿泊代」

「あ、はい」

 アイラから手渡された数枚のお札。それを慣れた手つきで数えていくと、二人分ではなくちゃんと三人分あった。

「たしかに三人分、ありがとうございました。お気を付けて」

 彼女はまた深々と頭を下げて言った。 ガチャン すっかり人影がなくなったロビーで一人、女性は傍らにいる白地に黒の斑点が特徴的な自分のペットに問い掛ける。

「いったいどこからあの人は来たんでしょうね?」

「ムー?」

「まぁ、いっか! お金はちゃんと人数分もらったし! ふふっ」

 女性は先程客から受け取った紙を嬉しそうに一枚、二枚と数え始めた。




「あ゛ーダルイ。寝起きだから更にダルイ…」 ノイ、アイラそしてコイルの三人はアンブルを出て王都を目指して歩いている。ちょうどアイラとコイルが並んで歩き、その後ろからノイが着いてきているような感じだ。

「うるっさいなぁ! 黙って歩けないの!? ちゃんと歩かないと石に躓くよ?」

「大丈夫だって、そんな物語みたいに都合よくぅ!?」

 ガッ と何かに躓く音と ドタッ と地面に倒れこむ音。アイラが振り向くとそこにはノイの姿はなく、俯せになって倒れている男が一人。

「ほらね、あはは」

 ケタケタと笑うアイラ。顔をあげた男は紛れもなくノイ、ノイは不機嫌な顔をしてアイラを見る。

「…よけーなお世話なんだよ…」

 ぷちん

「なによ! せっかく注意してあげたのにそんな言い方!」

「誰も頼んでねぇ」

「確かに頼まれてないけど親切で言ったんじゃない!!」

 さて、早くも本日二回目の二人の喧嘩。どちらが勝つのでしょうか?

 と、そこへ見兼ねたコイルが一言。

「二人とも、仲がいいのはわかったからちゃんとやることはやってよね。敵がいるんだから」

「「仲良くない! 誰がこんな奴…真似すんな」」

「ところでコイルさん、敵ってのは?」

「まぁ、敵というかモンスター? モンスターというか精霊?」

 そう言うとコイルはすっと目を後ろに向け一言。

「出てきたらどう? …クロックキャット」 ガササッ コイルの声に反応したのかのようにノイ達の目の前の草むらが動いた。

「なんでわかったんや? わいを見破った奴は久しぶりやな」

「あ!」

 ノイとアイラは草むらから出てきた声の主を見てビックリ。

「ね、猫…? 猫がしゃべっ」

 軽くトラウマになりかけているノイ

「黒猫さんだぁ!」

 この状況にもマイペースなアイラ 召喚士だからかもしれないが。

 そう、現われたのは猫。真っ黒な体をした一匹の猫だった。

「猫やない! わいはクロックキャット! れっきとした精霊や!」

「…ほーれ」

 ノイはあくまでも自然にクロックキャットの目の前に紐を垂らしてみる。ゆっくりと動くその紐は猫だったら必ず飛び付いてくるであろう魅力が感じられた。

「くっ、わいがそないな低俗な遊びなんかに引っ掛かるわけ…」

「クロックキャット。目がもう紐に釘づけになってるわ」「はっ!わいとしたことが」

 コイルの言葉でやっと我に戻る猫さん(クロックキャット)。

「クロックキャット、ちょっとお願いがあるんだけどいいかしら?」

「なんや?」

 問われて少しためらいがちにゆっくりと口を開く。

「私の…召喚獣になってほしいの」

「…理由は?」

「私たちは今(昨日から)、ルイ・スベアを倒すため旅をしています。ルイを倒すための力が欲しいのです」

 二度目の問いにはためらうこともなく、素早く答える。コイルの答えにクロックキャットの片耳がピクッと反応した。

「ルイか、久しい名前やな。何年、いや何十年ぶりやろうか」

 目を宙に泳がし、思い出しているかのように目を閉じる。彼は決意したと同時に何か考えが浮かんだらしく、妙に笑っていた。

「ええやろ、あんさんらに付き合ってやろう」

「ありがっ」

「但し!」

 コイルの喜びを遮り、言葉を続けた。

「その前にあんさんらの力、見させてもらおうか」「『ら』ってオレも!?」

「当たり前やろ? 仲間なんやから」

「ごもっともで」

 ノイは仕方がないなぁっというように、やる気の無い顔で大きく伸びをして朝起きの体を起こす。同時にアイラも準備をはじめる。準備といっても屈伸をしたり伸脚をしたりするだけなのだが。

「準備オーケー!」

「いつでもいいぜ」

「よろしくおねがいします」

 結局はなんだかやる気満々。ノイは腕まくり、アイラは羽織っていた上着を脱ぎ捨て、コイルは髪を一つに束ねている。

「ほな行くで、三人とも」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ