第4話:成長と再会
こんにちわ。もしくは、こんばんわ。前話は途中で切ってしまいすみませんです。。。それでは、楽しんでいってください。
「瞬衡撃!」
ノイの放った光は地を走りライナに向かっていく。
「くっ・・・きゃああぁ!」
どっ ライナはノイの攻撃を真っ正面から受け吹き飛ばされる。 ガァァン! 飛ばされたライナは気を失い壁にもたれ掛かる。
どうやらあの三兄弟はどこかに行ってしまったようだ。
「ふぅ、終わり」
パチパチパチ 後ろから拍手が聞こえてきた。
「すっごいじゃんノイ!成長したんじゃない?」
「まぁな、昔のオレじゃないんだぜ?」
「そっそうだね・・・」
その時アイラは差が開いた気がした。いつも同等だと思っていたノイが先に行ってしまったように感じた。
「そういえばアイラも・・・・・・アイラ?」
俯いて暗い雰囲気のアイラに疑問を抱くも原因が分からないノイはただアイラに声を掛けることしか出来ない。
「大丈夫か?」
「!!」
顔を覗き込まれたアイラは突然目の前にノイの顔が現われて驚き、顔を上げる。
「だっ大丈夫!何でもないから!」
「本当か?もう暗いし、宿に行くか?」
「そうだね!」
二人は歩き始めた。星と月の明かりを頼りに。
アイラは自分の頬を触ると熱く感じ、改めて自分が火照っていることを認識する。
(何やってるんだろ私・・・)
「お待ちしておりました!ノイ・クローゼ様とアイラ・インフェルノ様ですね?」
「あぁ」
受け付けにいたのは街の中で出会ったムットスの飼い主だった。街にいた時の雰囲気とはガラリと変わり、しっかりと仕事をしていて安心出来た。
「確認がとれましたので、お部屋のほうに案内させていただきます」
彼女が先頭に立ち歩き始める。どうやら二階の部屋のようだ。
宿の外観はどこにでもありそうな感じだったが、唯一目を曳いたのは今時珍しい三階建て。内装はこれといって普通だが、掃除が行き届いていてちゃんとしている。宿の選択は間違っていなかったようだ。
「ちなみにお風呂のほうはお入りになりますか?」
「オレはいい、すぐに寝たい」
「私もいいや」
「わかりました。では、もしお入りになるのでしたら、一階の廊下、突き当たりにありますので」
二階に上がって右手の部屋の前で足が止まる。
「お部屋はこちらになります」
ギィ ドアを開けられ見えたのは、広々とした室内ときれいに整えられた家具達。
「わぁ〜」
アイラは嬉しそうに部屋に入っていく、ノイはとにかく休みたいようで顔は疲れている。まぁ、無理もないだろう。今日一日で訳の分からない兄弟に二回も付き合い、武道家の二人の相手をしたのだから。
「それでは、ごゆっくりお休みください」
ムットスの飼い主はお辞儀をしてドアを閉めていった。
「さてっと・・・寝るか」
「寝よ寝よ!」
「あっ・・・」
「何?・・・何でベッドが一つだけ・・・?」
よく室内を見回すと、そこには大きなベッドが一つだけ。あとは一人掛けと二人掛け用のソファーが一つずつ、小さなテーブルが置かれているだけだった。
「アイラはベッドで寝な、オレはそこのソファーで寝るから・・・じゃ、お休み」
「え、あ・・・ありがとう」
ノイは当たり前のようにソファーのところまで行き、ソファーの上に仰向けになる。
ソファーの中には入りきれない足を外に投げ出し、腕で顔を覆い眠りはじめる。
アイラも自然にクローゼットから毛布を一枚取出しノイに掛ける。
「おやすみ・・・」
ガタッ!ガタガタ!!
突如、部屋の片隅にあった家具が揺れる。
「ひゃあ!」
アイラは思わずノイにしがみ付く。
「何・・・?」
「そ、そこのタンスが動いた!」
「タンスが?」
「ほらぁ!コイルが騒ぐから気付かれちゃったじゃない!!」
「何よ、シルフのほうが煩かった気がするんだけど?」
家具の影から二人の話し声。ノイは片方の声は何だか聞いたことがあるが思い出せないでいた。
「もしかして・・・コイルさん?コイル・?」
「やっぱり、ばれちゃったよねぇ」
そう言って家具の影から出てきたのは金髪のロングヘアーが似合うノイ達とは二・三歳はなれているだろう女性が現われただけだった。もう一人が出てこない。
「えーっと、誰でしたっけ?」
ノイはふと、思っていたことを声に出してしまった。アイラとコイルという女性の動きが止まりノイを見る。
「ノイ・・・本当に覚えてないの?」
「あぁ、もしかして会ったことある?」
「会ったこともあるっていうか・・・小さい頃結構、一緒に遊んでたよ!」
ノイは首を傾げアイラとコイルを交互に見る。
「はぁ、ノイ。あたしはアシュルタ村の雑貨屋の娘、コイル。小さい頃はあんたたちのお守りをしていたわ」
ため息を一つ。そして話は思い出話に。その言葉にやっとノイはピンッときたのか パンッ! と手を叩く。
「! コイルさんか!あの口うるさい」
「口うるさいは余計!!」
そう、コイルはノイ達と同じ村の出身。幼なじみなのだが、何故ノイがコイルを思い出せなかったのかというと、コイルもアイラと同じように王都に行っていたのだ。コイルは一級召喚士の資格を持ち、王都では王都警備部隊召喚部門三将の位を持つ。まぁ、一言で言えばスゴいのだ。
「そういえば、もう一人声が聞こえた気がしたんですけど、姿が見えないですね・・・?」
確かにコイルともう一人の声、二人分聞こえたような気がしたのだが、未だコイルしか姿を現していないのだ。
「あぁ、その子ならほら。アイラの後ろに居るじゃない」
「えっ?」
コイルに言われて後ろを振り替えるも姿は見えない。というか誰もいない。
「・・・誰もいないですよ?」
「いるわよ。『精霊 シルフ』がね、出ておいでシルフ」
「せいれい?」
意味の分からないノイはコイルの言葉を復唱する。
ノイの目の前に小さな光が現われる。 ふっ と、膨らんだかと思うと、その光は小さい人型になった。
「はぁ〜い!呼ばれて飛び出しました。コイルちゃんの精霊。『風の精霊 シルフ』ちゃんでぇ〜すっ!」
突然現われた小さな人(全身緑色。という感じで、髪も着ている服までもが緑。唯一靴だけは真っ白。ここの宿の人と同じ尖んがった耳を持っているが肌は白い。)は、クルクルと目の前を廻りノイに近づいてきた。
「えっと・・・あんた何者?」
「そんなこと聞いちゃうぅ??しょうがない。優しいシルフちゃんが教えてあげましょう! 私の名前はシルフ!風の精霊です。ちなみに精霊って分かります・・・?」
「全然」
「う〜ん。精霊っていうのはですね、この世界にはなくてはならない存在で、大地に降りられない神様の代わりに地上でお仕事をするんです。例えば、大気とか河とか海とか自然の全てを動かしているのです。中にはシルフちゃんのように、人に仕えるのはごく」
「ふーん。すげぇじゃん」
「ノイ。その内容昔おばさんに教えてもらったよ・・・」
「・・・オレには何も聞ーこーえーなーいー」
ノイは耳を塞ぎ首を振る。いろんな意味で必死だった。
「ところで、コイルさんって何か用事があったんですよね?じゃないとこんな所まで来ませんもんね?」
ノイをいじくるのをやめたアイラは鋭い質問をコイルにぶつける。
「えぇ、それがちょっと大変なことになって・・・国王様からの依頼を伝えに来たの」
「「国王様!!??」」
コイルから思いがけない言葉。国王様直々にノイ、アイラに依頼が来たというのだ。
さて、この続きは次話に・・・
新たなキャラクターが出てきましたねぇ、シルフちゃん。さあ、国王様からの伝言とは・・・?更新が遅くなると思いますが、これからも書き続けます!