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第3話:新しい街

 村を出てやっと辿り着いた街で市場をふらふらしていた二人だが、突然ノイは叫ぶ。

「ひっ!!」

 足に何かが張り付いている気がしたノイはおそるおそる足元を見る。そこにはスライムのような生きものがノイの足をよじ登ってきていた。

「なっなんだ、コイツ?」

「初めて見る・・・おもしろい!」

「面白がってないで取ってくれよ!気持ち悪い」

「それは無理!」

 その生きものはアザラシのような顔つき、目は開いているのか閉じているのか分からないくらい細い。手足はなく下半身はスライムのように溶け、体中に斑点がある。

「ムットス・・・」

 どこからか聞こえてきた声、確かに女の声だったがさすがに、マーケットの真っ只中。目の前は人だらけで前に誰がいるのかさえ分からない。分かるのは横にいるアイラと今にも肩まで登ってこようとしている生物。

「ムットス!よかったぁ・・・!!早くその人から降りなさい!」

 突如人をかきわけ目の前に現われた女性はノイに貼りついている妙な生物に目を向け、言い放った。次に、ノイ達に視線を向け深々と頭を下げる。

「申し訳ないです。うちのムットスが大変失礼な真似を・・・あぁ、ムットスっていうのはこの子の名前で、学名はムシュビラン・トランテスっていうんすが・・・」

 自慢なんだろうか?彼女は挨拶もそこそこに、自分のペットのことについて語りだした。

 彼女は人間では無いらしく、魔族独特のとんがった耳、肌は黄土色に近い色だ。普通の街の人達とは違い、フリルの沢山付いたメイドのような装い。

「あっ・・・!す、すみません。今退かしますから!」

結局、彼女がムットスを退かすことを思い出したのは既にノイの頭まで登りきった時だった。彼女がおもむろにカバンから取り出したのは一つの石。よく見るとそれは地属性の岩の形をした魔物、ストーンだった。

「いくよムットス!」

 彼女は少し離れた場所に魔物を投げる。

 思った通り、ムットスは魔物を狙いに定め、ノイの頭の上から勢い良く跳ぶ。嬉しそうな顔をして。予想はしていたものの実際に目の前にしてみると・・・まぁ、一言で言えばグロい。ムットスは身体でストーンを隠しながら食べていたのだが、最初、硬い石の音がしていたが次第に中のに達したのか、なんとも気色の悪い音が聞こえてきた。

「食った・・・」

「ゲテモノ好き?」

 ムットスのその姿を余所に主人はノイ達に話かけてきた。

「旅の途中?」

「えぇ、まぁそうですが・・・」

「わたしはこの街の宿屋で働かせていただいているものです。もし今夜の宿をお決めになっていらっしゃらないのならぜひうちにいらしてください」

 自慢の次は勧誘が始まる。

 程なくして彼女は人込みの中に消えていった。もちろんノイ達と契約を結んで。




「誰もいないね」

 近くにあったガーゼを手に取りながらアイラはノイに返事を求める。

 部屋を予約した夕方までには時間がある。近くの薬局に二人は入っていったのだが、店内は二人以外に人の姿はない。

「そうか?俺には他に五人くらい店員でもない奴がカウンターの下にいると思うんだけど?ねっ」

 すっ、と目をアイラの後ろにあるカウンターに向ける。カウンターの壁に影が映る、一、二、三、四、五。五つの影はゆらっと動き、次第に延びていく。

《ほらぁ、バレたじゃないか!》

《ばか!まだ名を呼ばれてない。名を呼ばれない限り、バレていないのだ!》

 コソコソ、と会話が微かに聞こえる。その声はどこかで聞いたことがある、そう、あの自称・盗賊(団)三人組。

「なんかこの間、道端で盗賊(団)って名乗ってる訳のわからない兄弟に会ったような、たしか・・・『ブラックデビル』とか言ったっけぇ?」

 ノイはわざと声をはり、カウンターの下に隠れる人物に、聞こえるように言った。案の定、一つの影が素早く動く。

「俺たちは『ブラックデビルズ』だ!『ズ』!!」

「磔碼・・・」

「兄貴・・・」

「あっ!・・・」

 一人が出ると後も出ないわけにもいかない。ゆっくりと出てくる二人は乗り気ではないらしい。

「なんだ?またやるのか?」

 三人は立ち上がったが残りの二人が出てこない。

「あぁ、リベンジだ!だがやるのは俺らじゃないがな、この街一番の武道家の二人!」

「助っ人なんてズルッ!」

「まぁ、いいじゃん。助っ人でもなんでも連れてこいよ」

 くいっと磔碼の持ち上がる。

「じゃあ、遠慮無く・・・お願いします」

 立ち上がったのは二人。一人は男、いかにも武道家らしい出立ちで、体格もいい。もう一人は女、タンクトップで七分丈のパンツと動きやすそうな服装。

「俺の名はケイト・ラインクだ。この街一番の武術士、楽しくやろう」

「俺はノイ・クローゼ、小さな村の村人だ」

「私はライナ・ロン。召喚術士さん、よろしくね」

「アイラ・インフェルノ。よろしく、あとは後ろの三人に聞いているんでしょ?」

 言葉を交わした後、沈黙があった。何かをきっかけとして始まる。

「行くぜ!」

 ノイが、先手にでる。

 上段に一発蹴を入れ、そのまま身体をひねり回し蹴を打ち込む。相手も武道家だ、簡単にノイの攻撃を躱し、いなす。ノイの動きが一瞬止まるとケイトが反撃に出る。右、左と繰り出され、顔面に襲いくる拳をノイはガードする。別に躱せないこともないがあえて受ける。相手の実力が知りたかった。

 そんなノイの行動が気に入らないケイトは更に力を入れる。左頬に一発、みぞおちに目がけて一発。まともに食らったノイは目が眩む。

「くっ・・・!」

 情けないことに足払いされ後ろにあった壁にぶつかる。

「なんだぁ?お前の本気はそんなもんか?」

 顔を殴られたからか口が切れ、血がでている。俯きゆっくりと血を拭い取る。

 ふっ 鼻で笑う。

「まだあんたも弱いね、修業したら?」

「なんだとっ!」

 ノイの挑発にのってしまったケイトは飛び掛かる。だが、それは一人の詞で遮られる。

「ライト!」

 キュンッ アイラだった。アイラから発せられていた光が天井に収束、弾けケイトとライナに向かっていく。

「ライナ!あんだけ詠唱の邪魔しろって言っただろーが!!うわっ!」

「詠唱中のあいつに攻撃が当たらなかったんだからしょうがないだろ!いった・・・」

 ガガガッ ドッ 光の槍が二人を襲う。床や壁にも刺さり深い傷を残す。

「すげー・・・」

「あっ、でもやっつけられるのは一人だけだから、」

「はぁ!?」

 横に来たアイラの発言にオーバーなリアクションをする。ライトによってめくり剥がされた床板や周囲の壊れた家具の下から、ホコリが舞う中一人が立ち上がる。

 ガタッ ガタン

「そうみたいね・・・次は素手で来な」

 ダッ ライナがホコリを払いもせず仕掛けてくる。

「拳技・雷掌破けんぎ・らいしょうは!!」

 物凄い勢いで駆けてくるライナの右手にはオレンジ色の光が収束している。それは遠くから聞いても分かるくらいの音を発している。いくつものオレンジの帯が手から離れ、地を這う蛇のようにうねる。

「下がってろ!」

 横にいたアイラを突き飛ばす。 ダン

「いったぁ・・・」

「はあぁぁぁぁぁ!!」

 力が入るライナと対峙するノイ。目を閉じ、ノイも静かに気を片手に込める。

「はぁっ!」

 バチッ   ガァン!

 ライナの攻撃は確かにノイに届いた。届いたはずだが微動だにしない。というか、ライナの技がノイを避けているかのように弾かれている。

瞬衡撃しゅんこうげき

 ノイの掌から発せられたひかりは一直線にライナに向かい地を走る。

読んでくださってありがとうございますm(_ _)mまだまだ修行中の身ですので、長い目で見ていただけたらと思います。近々、彼らを絵にしてみようかなと思っております。では、また次話で。。。

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