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第19話:晴れのち雨のち…まだまだ雨

不定期ですみません。。。このまま読んでいただけたら幸いです。

 クロックに追い込まれたボーグは最後の力を振り絞り術を発動した、それは、

「ラピュタ召喚!!」

 精霊中最強の者、『神官・ラピュタ』を呼ぶ術。

 術が発動された刹那、目の前に真っ白い布が降りてきたのかのように、白以外見えなくなった。

「な、何今の? 普通の召喚じゃない…」

 目の前が見えるようになったアイラは、先程まで嬉しそうだった顔を引きつらせて誰に訊ねるわけでもなく、ただ呟いた。

「あれって…人‥ですか?」

 ドールがドラゴンの後ろに隠れて一点を見つめて言った。いや、他の皆も同じ一点を見ている。

 それに前にいたドラゴンが答えた。

「あの方こそ我ら精霊の長とも言うべき存在。『化身・ラピュタ』様だ」

 皆の視線の先には宙に浮いた光に包まれた人がいた。

 人を包んでいた光が消えた。そこに現われたのは銀髪で見事な八頭身の男が立っていた、服装が下に黒の長袖、スラックスを着ているようで、その上から、濃い緑の服を着ている。

 人はゆっくりと地に足を着け、口を開いた。

「またお前らか、いい加減にしろ! クラーク、ドゥーラ」

 ボーグが助けてほしくて喚んだ人はいきなり二人を叱り付けた、ドゥーラとはおそらくボーグのことだろう。

「あの! 今回も私ではなくこいつが」

 ボーグは叱られ、クロックを指差して弁解をした。

 もちろんクロックはそんなことを言われ黙っていない。

「何言ってまんねん! あんさんから仕掛けてきた喧嘩やろうが! わいじゃあらへんよ」

 自分を指差すボーグの手を払い落として、ラピュタに必死に訴えるクロック。ラピュタはなんだか嫌そうな顔をして二人を見下ろす。

175センチぐらいあるクロック達より少し大きい180センチのラピュタはぎりぎりで二人を見下ろせるのだが、そんな高低差の威圧よりも内なる威圧が二人には効いたのか、段々としょんぼりとしてきた。

「アイラ殿、ワシを水晶の中に戻してくれないか?」

 ドラゴンは茫然と立ち尽くしているアイラに耳打ちをする。 どうしてかと聞いたとところ、いつものパターンだこの後とばっちりを受けるらしい。

 シルフもいれてもらえるようにコイルに頼みはじめた。

 そうこうしていたらラピュタがこちらに気付いた。

「グラダとナジュールも居たのか…お前ら逃げようとしてないよな?」

 眼が笑っていない笑顔がこちらに向けられた。そしてその眼はアイラ達三人をとらえた。

「お前らの主人か?」

 そう聞くと、相手の返事も待たずに早々と女性達の目の前で片膝を地に着け、深々とお辞儀をして挨拶を始めた。

「私はラピュタ。誠名はグランバセーニュ・ソルジャントという、よろしく。アイラ・インフェルノにコイル・セラフィー、ドール・シード」

「な、なんで私たちの名を…」

 自分より下にある男の顔を見て、驚きの表情でコイルは言う。

 遠くだとよく分からなかったが、ラピュタはかなりのつり眼だ。無表情でいられると怖いものがある。

 ノイとウィークは何を話しているのか知りたくなって近寄ってきた。

「私は神に仕える身であり、この惑星の保護・管理を任された立場。一応この惑星に住む者達の名なら全て言えるぞ、もちろん過去の者達もな」

 ラピュタは優しい笑顔で話した。そして、女性達に顔を向けたままこう続けた。男性達はちょうどラピュタの真後ろ、二メートル離れた所に来た。

「ノイ・クローゼ、ウィーク・シード、すみませんが後ろには立たないでいただけますか? 大丈夫です。あなた方のことは忘れたりしていませんよ」

 彼は先程まで女性達と話をしていた、顔も眼も、こちらを向いたままだった。なのになぜ、ゆっくりとラピュタの背後から近寄ってきた二人が分かったのだろうか。

 そしてノイは思ったことを口に出して言ってみた。

「お前…後ろに眼でもあんのか?」

 バシッ!

「いったぁあ…何すんだよ!」

 いつの間にか隣に来て頭を叩いてきたアイラを、叩かれた頭を抱えて睨み付ける。

「この方は偉い人なの! なのにそんな口の利き方…」

 おそるおそるラピュタの顔を覗くアイラ、ラピュタは笑顔で、

「全然良いですよ、いずれ契約を結ぶ方達なのだから」

 と答えてくれた。

 そこで目ざとく反応するのがコイル。

「今いずれ契約するって言いましたよね! ね!」

「さて、私は戻るとしよう」

 コイルを無視して立ち上がり、服に付いた砂を払う。

「あの二人どうするんです?」

 ラピュタの横に移動して遠くでまだ睨み合っている二人を指差す。

「あの二人は会えば喧嘩。仲良くさせるのは無理なので…コイルさん。もうボーグドックと契約して構いませんよ」

 少し悩んでラピュタが出した答えは、ボーグの考えを無視した考えだった。

 しかし、コイルは躊躇うこと無くボーグと無理矢理契約を結び、しまい込む。もちろんその中にクロックも入るのだが、

「いやや! あないな奴と同じ所なんて、わい、アイラかドールちゃんの所に行く。行かせて!」

 クロックのお願いも虚しく、コイルは水晶の中にクロックとシルフを入れた。

「無事契約はできたな、では私は戻るよ、まだ仕事がたくさん残っているんだ」

 そういうとラピュタは消えてしまった。

 残されたもの達はこの微妙な雰囲気に固まってしまい、誰も発言もせず暫らく黙り。

「アイラ殿、わしも戻ってよいか?」

 ドラゴンが口を開いてくれたお陰で、場の雰囲気がやっと和らいだ。

「あ、ええ。ありがとう」

 アイラがドラゴンをガーネットのピアスに戻すと、コイルからの提案で次の精霊に会うため、港に向かうことになり、歩きだす。



 港への道は長く、山を一つ越えなければならなかった。

 最初に弱音を吐いたのは、

「私もう無理ですぅ〜…」

 ドールだった。

「しょうがないな…ほら、おぶってやるから乗れ」

「やったぁ!」

 角度はあまりないが、ここは道が整備されていない山道獣道。いつまで保つのかはいづれ分かるとして、アイラはその光景をじっと見る。

 決して疲れたとかウィークにおぶられているドールが羨ましいとかではなく、ただ、(いいなぁ、私も昔ノイにおぶってもらったっけ…言えばまたおぶってくれるかな?…なぁんて、言えないっての)と考えているのである。

 そう考えていたらじっと前を歩いていたノイを見てしまい、ノイが気付き速度を遅らせ横に並んできた。

「なんだよアイラ、疲れたのか?」

「疲れてない!」

 そう、疲れていないのだが…

「素直じゃねぇな」

 そう言ってまた前に行ってしまった。

 アイラは素直になれない自分が嫌だった、嫌で嫌で大きなため息を一つ吐く。

 そんな四人の様子を後ろから見ていたコイル、彼女も一つため息を吐いた。

(みんな青春してるよ、いいなぁ…この任に付いていなかったら…)

 彼女の思いはまたの機会に。

(なんでアイラもコイルさんもため息吐くんだよ、俺がなんかいけないことしたか!? してないよな?) ノイは頭の中がごちゃごちゃになってきたようで、しかめっ面で歩く、更にその様子を兄の肩ごしに見ていたドールは(今夜は退屈しないで済みそう!)などと考えたりする。

 ウィークはひたすら頑張って歩く、可愛い妹に辛い思いはさせたくないと…やはりシスコンでした。

余談、小説家になろう〜秘密基地〜に新しく絵を投稿させていただいたので、よろしければ見てください。言葉で全てを伝えられるほどの知識がないので、すみません。

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