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第16話:相談?

今回、投稿がいつもより早い気がするのは私だけでしょうか。。。この話は次話の為のお話って感じですね。では、このまま読んでいただけたら幸いでございます。

 広い草原のなかで沈みかけた太陽を横に、ひたすら歩く人間が五人。男性二人に女性三人。

 先程までいた街は既に遥か遠く、次の街とは別方向に進む者達。彼らはどこに向かおうというのか。

「なぁウィーク、あとどんぐらい?」

 一番うしろを歩く赤髪の男がけだるそうに聞いてきた。

「ノイ。おまえもう少し落ち着け!」

 先頭を歩く黒髪の男が相手にまで届くように声を張り上げる。だがそれだけではなく、苛々していることも声を張り上げる要因となっているようだ。

「そうですよ、十分ぐらい前にも同じこと言ってました」

 黒髪の男の肩を持つように、次は黒髪の女が言う。

「違うわドール。八分前よ」

 すかさず金髪の女が訂正する。

「いや、コイルさん。どっちでも良いですよ」

 茶髪の女はそう言って、はあ。とため息をつき歩いている。どうやら呆れているようだ。

 彼らが現在歩いているのはウィークたちの街『リュード』と神の棲む岬『光海』のちょうど真ん中。

 何故そんな所を歩いてるうえに、ウィークとドールが一緒に居るのかというと。




 ドラゴンと契約をすませた五人は今後のことを考えるため、再びウィークの家に来た。

「これからどうします?」

 アイラがコイルに問い掛ける。他の三人は疲れたと言い、寝てしまった。

 ちなみに、アイラとコイルが居るのはリビング、他三名はその隣の二部屋に分かれて寝ている。ノイとウィークは相部屋だ。

「そうね…確かこの島にまだ精霊いるわよね?」

 コイルは鞄から紙とペンを取り出す。

「はい。光の精霊が、あと近くの島にも氷の精霊、炎の精霊、火の精霊がいますけど」

 アイラの答えを頷きながら、紙に書いていく。

「どうしたんですか?」

 文字を書いた紙をじっと見ているコイルを、覗き込むように訊ねる。

「ちょっとね…」

 ペンの後ろを顎に当て考える。

「光の精霊ってボーグドックよね?」

「はい、そうですけど…まさか!」

 アイラの驚きにコイルは口の端を持ち上げ答える。

「それで、氷の精霊がゴーレム寒冷、炎の精霊がゴーレム火炎、火の精霊がフェニックス…」

 言いながら、先ほど書いた文字の横にどんどん書き足していくコイル。

 アイラは不安そうな顔をしている。

「これでいいわね、アイラ」

 ズイ、とアイラの目の前に紙を突きだした。

 突きだされた紙に書かれた文字を読み、更にアイラは焦る。何が書いてあるのだろうか。

「で、でもコイルさん。これはちょっと…」

 アイラは冷や汗を流し、コイルに訴える。

「いいわね! これで行くわよ」

  バン

コイルが持っていた紙を机に叩きつける。アイラに拒否権はないようだ。

 この音で起きてきたのか、ウィークは目を擦りながら出てきた。

「お嬢さん方どうしたの? 恐い顔してたら可愛い顔が台無しだよ」

 自然とこんな言葉が出てくるあたり、実際はあんまり寝ていないんだろう。

「ウィーク、ちょうど良いところに」

 彼の口説き文句を無視して、コイルは手招きして彼を呼ぶ。

「『光海』の場所詳しく分かる?」

「ええ。あそこには良い薬草が採れるから」

 無視されてちょっと不貞腐れているのか、ウィークは何だか冷たい。

 ウィークが何故薬草のことを持ち出したのかというと、彼は定職には就いていないが頼まれれば何でもやる。いわゆる『何でも屋』なのだ。

「私たちをそこに連れてってくれない?」

にっこりと自然な笑みをうかべる。反対にアイラは驚きの表情でコイルを見ている。

「いいけどさ、一体そこに何の用? あそこは何にもないただの岬だよ。内容によっては協力はできないよ」

 すごく嫌そうに対応するウィーク。頭を掻き、欠伸をする。コイルは少しためらって、

「わかった、話しましょう。これよ」

 と言い、先ほどアイラに見せた紙をウィークに見せた。紙はしわくちゃになってしまっている。

「コイルさん!」

 アイラはウィークに全てを伝えて良いものか悩み、止めようとしたが遅かった。

 紙は既にウィークの手に渡っていて読み始めている。しかし、読みづらいのか眉間に皺が寄っている。

「ふーん」

 暫らくしてウィークは手に持っていた紙を机に戻した。

「了解。案内しよう」

「ありが」

「ただし!」

 オーケーを出したはずのウィークが、コイルがお礼を言うのを妨げた。もちろんコイルもアイラも一時停止状態。

「ただし、ちゃんと君たちの口からこの行動をおこす理由を教えてもらおうか」

 腕を組み、仁王立ちで椅子に座っている二人を見下ろすウィーク。なんだか威圧感があり、はい。と言わざるをえない感じだ。

「…わかった、話すわ。一度ならず二度も関わるんですものね」

 そう言って立ち上がるコイル。アイラは二人を見上げていたが、コイルがこちらをじっと見ているのに気付き、急いで残りの二人が寝ている部屋に向かう。


 覚悟を決めたようなコイルとアイラ、どっしりと構えるウィーク、そして眠そうなノイとドール。五人が顔を突き合わせている。

「つまり、あんたら三人はかつての英雄の子孫で、それを探り当てた王様が封印を解いたルイを再び封印するために三人を向かわせて、あんたらはやつに対抗できるだけの力を今現在集めている最中。ってことかい?」

 ウィークはコイルとアイラが説明したことを復唱してみせた。

「その通りです」

 不思議と負けた気分になったコイルはうなだれている。ウィークはまだ眠そうにしている妹の方を向き、

「どうする? ドール」

「私はどっちでも。お兄ちゃんに付いていくよ」

 突然、兄妹しか理解できないような会話が交わされる。心なしかドールは面倒くさそうに対応している。

 ウィークは目を閉じて考える。机の上に置いてあるコップに入った氷がカラン、と音を出す。

「それじゃあ、俺たちはこれからあんた達に付いていく」

「え!?」

 いきなりそんなことを宣告されても付いていけない。先程の兄妹の会話はそういう内容だったのか。とアイラは思った。

「協力してくれるのは嬉しいんだけど、ドールが心配ね」

 コイルは目の前にいるウィークからその隣に居るドールに目を向ける。ドールは焦って、

「あっあれは、昔からそういうのが多くて、つまり、そういう体質なんです!」

 弁解しようと言ったつもりなんだろうが、完全に逆効果だ。

「だったら尚更よ、連れていくことはできないわ」

 やっぱり。

「行く! 絶対行きます!」

 引き下がりません。

「ダメよ。これから毎日精霊に会っていくんだから、耐えられないでしょ?」

 むきになるドールとは反対に、コイルはかなり落ち着いている。絶対意思は曲げない。と言うように。

 ここで黙っていたウィークが口を開く。

「コイルさん、ドールの体質を和らげる方法があるんだ。それで和らげれたら連れていっていいか?」

 ドールは知らなかったのだろう、驚いた表情で兄を見る。

「良いわよ」

 コイルが承諾すると、彼はすぐに立ち上がり自分の寝室に向かった。

 寝室から出てきたウィークの手には二十センチ四方の箱があった。

「これです」

ウィークが机の上に箱を置き、皆に見えるように箱を開く。中には金色の輪っかが二つ入っていた。何も装飾が入っていない、ただの金の輪。



 これが何なのかは次話。

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