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第13話:商人の街・リュード

新キャラ登場です!気に入っていただけるか不安でいっぱい。。。このまま読んでいただけたら幸いです。

 ここは新しい島『北西の島』、そして一番最初の街『リュード』。

 『リュード』は別名、『商人の街』と言われている。『リュード』には多くの船舶が入港するため、貿易も盛んで、『リュード』の近くの山からは珍しい鉱石が採れるため取引も多いので、必然的に商人が多く住み着くようになった。

 町中ではどこに行っても商人達の威勢の良い声が飛びかい、商談を持ちかけられる。

「そこのお嬢さん! これ買っていかないかい? これはねぇ」

「遠慮しておきますわ」

 まずはアイラがおじさんに話し掛けられる。宝石を売っているようだ。返し方がアイラに似合わず気品が良かったので思わずノイは苦笑した。

「お姉さん。これ買って!」

 次は小さな子供が薬草をコイルに売りにきた。

「ちょうどよかった、足りなかったのよ…はい、ありがとう」

 コイルは手にもっていた鞄から小さな袋を取出し、コインを数枚子供の手に乗せてやる。

「お姉さん、ありがとう!」

「こちらこそ」

 子供は満面の笑みでコイルに礼を言うと、元気良く駆け出していった。

「ちょいと、そこのおにーさん! 彼女に花を買ってやったらどうだい?」

「……おれぇ!!?」

 二十代の女性が手招きしてノイに花を買わないかと誘うが、当のノイは自分ではないと思いつつも辺りを見回し、自分だと確信し必要以上に驚く。

「ちょっと待った! 彼女ってのは誰のこと!?」

「え、それはもちろん」

 もちろんノイは多少混乱気味だ。何故なら、女性が意味わからない言葉を吐いたから。オレの隣にいるのはアイラとコイル。友人ならわかるが、何故彼女なのだろう。

「そちらの金髪の方は彼女ではないんですか?」

 女性はためらいもなくコイルを指差す。ノイは腹のそこから笑い、コイルはなんだか嬉しそう。まあ、若い男の彼女に間違われたことが嬉しかったのだろう。一方、アイラはその言葉にむかついたのか一人で先を歩き始める。

「あーあ…」

 直りかけた機嫌が再び悪くなり面倒臭いという感じで頭を掻く。

 その時、アイラの目の前の角から大声を発しながら走ってくる音が二つ。

   ダダダダダッ

「まて! おまえは何度やったら…!」

「おやじー! ありがとさぁーん!」

「だれも見逃すなんていってねぇ!!」

   ダダダダダッ

 若い男の声とおじさんの声、交互に叫びながらこちらに向かってきているようだ。そうすると考えられるこのあとの展開は…。

  ダン!

「いったぁー…」

「いてぇ…」

「アイラ、大丈夫か?」

 予想通りの展開ではあったが、あまりにも角からでてきた男と思いっきし当たったのか直ぐに起き上がらないアイラに声をかけるノイ。

 アイラに当たった男は髪は綺麗な黒で顔の作りは良く、女性にもてそうな感じだ。格好はあまり見たことのない服装である。

 後からコイルに聞いたが、この島に昔から居る民族の衣装ではないかという。

 この民族の女性は魔族の力をもっており、精霊を身に宿し会話することができ、男性は独自の剣術を創りだし最強部族として世界に名をとどろかせたらしい。しかし、その民族は十年ぐらい前に山賊に襲われ絶滅したといわれているらしい。

「ごめんよ、大丈夫だったかい?」

「え、ええ…」

 立ち上がった青年が、いまだ座り込んでいるアイラに手を差し出し、アイラが手を取ろうとしたとき。

  パン!

 ノイが青年の手をたたき、アイラの腕を掴み、立たせる。ノイは青年を睨み、青年はノイを睨み返す、二人の間にはただ重い空気が流れる。

「ちょ…ノイ?」

「怪我はないか?」

 青年に対しての態度とは一変、アイラにはいつもの顔で応える。

「手ぇ擦り剥いてんじゃん」

「あ、本当だ」

「なんなら…」

 ノイはあくまでも自然に怪我が見えるアイラの右手を取り、怪我の具合を見る。そんな二人に水をさすようにアイラの後ろに立ち、アイラに囁くような姿勢で話す。ノイの顔は再び冷たいものになる。

「なんなら俺の家で手当てしてやるよ、怪我させたのは俺だし」

「そんな必要ねぇよ」

「ノイ!」

 青年はアイラを自分のほうに引き寄せ、ノイから離し、続ける。ノイは対抗するようにアイラを引き戻す。

「俺はお前には聞いてないんだがな、決めるのは怪我をしたお嬢さんだろ?」

「くっ…」

 青年も対抗するかのように、ノイに対し冷たくあしらう。

「どう? 俺の家に寄っていくかい?」

「あっ…」

 青年はアイラの右手を取り、その手に軽く口付けをした。アイラの顔は真っ赤になり、ノイはおもしろくないという顔をする。もちろんコイルはこの状況を見て焦っている、そこで。

「行きます行きます! 私行きたいわ」

「…そう…」

 コイルが答えてみる。アイラが答えるとこの後色々と大変だと考えたからだ、自分が答えればなんとかノイとアイラの関係が崩れることがなくなる。

 元気良く答えたはいいが、予想していた通りちょっと冷ややかな目と距離をおきぎみの返答。




 そんなこんなで、とにかく青年の家まで歩いていくことになったわけだが、何も会話はなし。青年とコイルは先頭を歩き、その後ろにノイとアイラがついているわけだが、ただもくもくと歩いている。周囲の賑やかな声が妙に耳に響いてくる。

「そういやぁ自己紹介がまだだったな、俺はウィーク、ウィーク・シード。あんたらは?」

 ウィークが話しだしてくれたおかげか、少しだけ空気が軽くなった気がした。ウィークは三人の顔が見えるように少し後ろを向いて話してくれている。

「私はコイル・セラフィー、コイルってよんでね。後ろのは赤毛がノイ・クローゼ、茶髪がアイラ・インフェルノ」

「よろしくお願いします」

「……」

 コイルがノイとアイラを紹介してくれたが、ノイは無口のまま何も言わずに歩く。思わずアイラがノイの頭を叩く。ノイは仕方ないという感じで、小さな声で挨拶。

 パシ

「よろしく…」

 その後に会話が続かず、また沈黙。




 先頭のウィークが足を止め、三人に振り返り、

「到着! ここが俺の家」

 到着したは良いが、三人の感想は嬉しいものではなかった。

「一軒家じゃないんだ」

「集合住宅ってやつですよね?」

「はじめて見た…」

 口々になんだか厳しいお言葉。三人が言っていたとおり、ウィークの家は『アパート』というやつで、小さな家がいくつかくっついているような形だ。ノイ達の村では基本は一軒家で二階建。ウィークのような住まいは見たことがなかった。

「まてまて! あんたらは俺の家をけなしにきたのか?」

 あまりにも好きかって言う三人の言葉に、さすがに頭にきた。それに答えたのはコイルだ。

「いえ、アイラの怪我の手当てをさせてもらいにきました」

「だよなぁ? だったらあーだこーだ言わないで黙ってついてこい、ノイ」

 腕を組んで睨んだ先に居たのはノイ。ノイは自分だけ言われるのが気に食わなくて抗議する。

「は!? なんで単体? アイラとコイルさんだって言ってたじゃん!」

「こっちだよ。足元に気を付けてね、お嬢さん達」

「無視すんなよ…!」

 簡単にシカトされ独り淋しくアパートの前に立つ。アイラとコイルはウィークと共に行ってしまった。

「おい! ノイなにしてんだ、こっち来いよ!」

 やっと呼ばれた自分。こうなると先程まで憎かった奴も優しく見えてしまう。

「うるせぇ! 今行こうとしてたんだよ!」

 ウィークの後ろからアイラとコイルも顔を出してノイを呼ぶ、なんだか嬉しくなって急いで三人のもとに駆け寄った。

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