第11話:計画
お久しぶりです。そして、ごめんなさい。また滞納。。。懲りない奴ですよね、本当に。番外編も頑張って更新します!少々、お待ちを。。。
「コイルさん、俺たちってこれからどうするんです?」
宿屋の一室で夕飯を食べながら目の前にいるコイルに話し掛ける。
卓上には様々な料理が並べられている。なかでも一番目につくのが『スライムの味噌漬け』。一口サイズの紫色のスライムの身を二日間味噌に付け込んだ一品、見た目は気持ち悪いがなかなかおいしいらしく、食事処に行くと誰もが頼むという人気メニューの一つである。
「どうするって?」
「あの、だからルイを倒しに行くっていってもまだ力不足だろうし」
「ノイ!」
「な、なに!?」
アイラが驚いて目を見開き大声をだす。もちろんノイもコイルもその声にびっくり。
「いつからそんな賢くなったの?」
「…物凄くムカつくんですけど」
お遊びはこのくらいにして本題に入りましょう。
「確かにノイの言うとおりね。そこで、これからは大精霊達に協力を仰ごうと考えてるの」
「大精霊?精霊は精霊だけじゃないんですか?」
「精霊は役割によっていくつかに分類できるのよ」
ここでアイラがずいっと横入り。手に持ったフォークにはウィンナーが突き刺さっている。
「世界を見守る者《神官》、バランスを保たせる者《六大大精霊》、循環させる者《四元素》、区域を守る者《大精霊》、それを支える者《中・小精霊》って感じかな」
「…役割多いな、魔術士とか召喚士はそんなのみんな覚えてるの?」
「必須だし。それに、六大大精霊にはさらに区分があって」
「あー、もういい。頭が痛い」
気持ち良く話すアイラには悪いが、ノイは勉強とか、堅苦しいことは大の苦手なのだ。 パン! コイルの手から音が響く。
「はい。話を戻すわね、これから大精霊に協力を仰いでいくんだけど精霊によってはクロックキャットみたいに力試しをしなきゃいけないことがあると思うの」
席はコイル一人で座っている向かい側にノイとアイラは並んで座っている。コイルは前のめりになって真剣に二人に話すが、当の向かい側の二人は少し引き気味だ。
(クロックキャットって大精霊だったんだ…)
コイルの話の中で理解したことはまず最初に“クロックキャット=大精霊”ということ、ノイの脳内で一つ目の図式が成り立つ。
ここからは時々ノイの思考を入れていきます。
「私たち三人だととてもじゃないけど勝てないような精霊もいるし、最終的に戦うルイにも勝てるか分からないわけ、そこで、行く先々で仲間を集めようと思うの」
「仲間、ですか?」
コイルの口から思いがけないフレーズ、仲間を増やしていくのだ。つまり、関係の無い一般人を巻き込むということだ。まあ、ノイ達も一般人なのだが。
「そう、事情を話せば協力してくれる人はいるだろうし」
ちょっと能天気コイル。
「う〜ん、集まりますかねぇ。相手はルイですもん、みんな怖気付いちゃいますよ」
脅すノイ。
「やってみないと分かんないでしょ?やる前からそんなんじゃ何も進まないわ」
ポジティブなアイラ。
「コイルさん。あと、シルフの能力も上げないといけないんじゃないですか?」
アイラは野菜のたっぷり入ったスパゲティーをフォークで巻き取りながら話す。
口のなかに物が入っていたため『んー!』と唸る。どうやら忘れていたらしい。
「シルフの能力?」
ノイは首を傾げる。
「シルフにある程度の力が身についたら、シルフ達の故郷『緑の泉』にいる『四元素』の一人、風の長『青龍』から力を与えられるのよ」
一息で全てを話されたが、ノイはなんとか整理しきれたようだ。
「なら、次の行き先決まったじゃないですか」
二人の視線がノイに集まる。
「緑の泉ですよ」
結果、『緑の泉』に向かった後はとにかく別の大陸を目指し、大精霊を集めながら仲間を集めることとなった。
翌日、三人は城に向かう。一応顔を出したほうがいいとコイルの言われるがまま城に向かった。
城内は広々としているが兵士や術士だらけ、床には人が通る道に赤い絨毯が敷かれている。
謁見の間は二階にあるらしいのだが、遠回りしないと辿り着けない構造になっているらしい。
「セラフィー様、お久しぶりです。任務はどのくらいで終わりますの?」
きれいなまだ十四・五の女の子。軍服らしき服を着ているのでコイルの部下だろうか。
「ごめんなさい、まだいつ終わるかわからないわ」
「そうですか…」
残念そうに片手を頬に添えて下を俯く、そしてコイルの後ろにいるノイ達に気付いたのか微笑む。もちろんそれに応えるかのようにノイ達は会釈をする。
「これから国王と面会してくるからこれで」
「はい。お気を付けて」
コイルを敬う人、一人目。あとから聞いたら、彼女は王女さまらしい。たが、コイルと話している最中でも何度か後ろに居る人物を見ていた。
「セラフィー殿」
真っ白な髭を生やした老騎士が声を掛けてきた。
「お久しぶりです」
「今度、うちの部隊の若いのを鍛えてはくれないだろうか」
「よろこんで、ではこれから国王と面会なので」
「ああ、引き止めてすまなかった」
「いえ」
彼は物凄く位の高い騎士らしく、王国内にある十数ある部隊のまとめ役なのだそうだ。
こんな会話が何人も続く、謁見の間に着くまでの約五分の間に二十人くらいの人に話し掛けられただろう。コイルの凄さが分かる。
コイルに話し掛ける人は皆、必ず後ろにいるノイとアイラのことを尋ねる、そしてコイルは必ずこう答える『旅のお供』…。
立派な扉を二人の兵士が開ける。
扉の向こうには広い部屋に老人一人が椅子に座り、初老の男が横に立つ。老人は自分の真っ白な髭を触りながらこちらを見ている。
部屋の入り口から彼らまでの距離はかなりある、例のごとく床には赤い絨毯が敷かれている。
「陛下、お久しぶりです」
コイルは入り口で一礼してから入る、もちろんノイとアイラもそれに習って一礼して入室。
「ご苦労、セラフィー君。そして、久しぶりだね、インフェルノ君。初めまして、クローゼ君」
「お久しぶりです。閣下」
いたって冷静に挨拶をするアイラ、二度目となるとやはり慣れるものなのか。
「は、初めまして」
ノイは緊張してしまって動きが硬い、国王も少し苦笑してしまう。
「して、セラフィー君。急にどうしたんだね?なにか困り事かね」
「いえ、一度二人に陛下に会ってもらいたいと思いまして」
「おぉ、そうか」
「お父さま」
国王の話の最中に堂々と遮る女性の声、どこかで聞いたことのある声。
ノイ達が入ってきた入り口とは違う、部屋の横に位置する扉からゆっくりと一人の少女があらわれる。
「おぉ、シフォンか。まだお客が居るのだが、どうした?」
先程、廊下でコイルに話し掛けてきた軍服を着ていた少女だろうか、今は美しい青のドレス姿だ。
「私もそのお客様とお話がしたいんですの」
ゆっくりと国王の下に近づいてゆく。
「ほっほっほっ、セラフィー殿は逃げはせぬぞ」
「違いますわ、私がお話したいのは…」
少女がやんわりと否定してむかったのは、客人の中で唯一男性のノイの前。少女はにっこり。
「貴方ですわ」
「お、オレですか!?」
「「えぇ!!??」」
「ほっほっほ…」
意外な展開を見せたこのお話、一体どうなってゆくんでしょうか。
私にも分かりません。