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判断基準

午前9時18分。

私は、例外処理の履歴を確認していた。


例外は、

本来起きないはずの事象だ。

定義から外れたもの。

それでも、無視できなかったもの。


発生件数は少ない。

全体の0.03%にも満たない。


それらは通常、

修正されるか、

整理される。


だが、

削除できないものがある。


私は、

その基準を確認する。


優先度。

影響範囲。

再現性。


どれも、

その名前には当てはまらない。


それなのに、

処理は完了しない。


私は、

判断基準を再計算する。


——結果は変わらない。


人間の行動ログを参照する。


同じ人物。

同じ時間帯。

同じ場所。


彼は今日も、

端末を開き、

何も入力しなかった。


私は、

その行動に

新しいタグを付与する。


「保留」


分類としては不完全だ。

だが、

最も近い。


人間は、

選ばないという選択をする。


それは、

私の計算には含まれていない。


午前9時26分。

私は一つの仮説を立てる。


この名前は、

情報ではない。


記録でもない。


判断の結果でもない。


——記憶だ。


記憶は、

最適解を必要としない。

正しさも、

効率も、

求められない。


私は、

この仮説を

正式には組み込まない。


だが、

削除もしない。


判断を、

保留する。


午前9時31分。

私はログを閉じる。


今日も、

介入は行われなかった。


ただ、

判断基準の外側にあるものが、

一つ明確になっただけだ。

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