エピローグ~”彼”との日々
人生何が起こるかは”ダレ”も分からない
素性も分からない「居候」との物語
なぜこうなったのか、なってしまったのかあまりにも不思議なことが起きた。
急に始まった「居候」との同居生活。素性も分からず成り行きでこうなってしまったが、この出会いは無くてはならないものだった。
ある日の昼下がり、家で寛いでいたら不意に質問をされた。
「ふたりのなれそめは?」
「なれそめは?なれそめは?」
急な質問に戸惑いながらも思い出していると、
「どうなの?」
「どうなの?」
私 「急にどうしたの笑、そうだな~それはね~」
と、少し間を開けてから話し始めた。
それは急な出会いで歪なものだった。
私は、巷では名前が知られている有名商社で、営業部のトップとしてバリバリ働いていた。 いわゆるキャリアウーマンだ。
上司、同僚、後輩、はたまた取引先の方達からも頼られ信頼されている。
仕事の商談は文句なしと言われるほど完璧にこなす。また、プライベートも完璧とまではいかないが付き合い始めて5年経つ彼氏がいる。お互い結婚を考えながら付き合っている。
彼氏も有名企業の営業マンで、成績トップの優秀な人である。お互い仕事熱心で、デートをするのも月に2回有るか無いかほどだが2人ともそれほど気にしていなかった。それに同棲はしていない。仕事人間の2人なので両方のプライベートな時間を確保するためとして同棲や半同棲などはしていない。
ある休みの日、今日は朝から遠くに足を伸ばしてプチ旅行をしようと、前々から話して準備をしていた日だ。
朝、彼が家に迎えに来てくれた。
彼 「おはよう、もう準備出来てる?これ荷物?先に持っておくね!」
私 「おはよう。そんなに大荷物じゃないから自分で持てるよ。」
彼 「いいの!朝から大変なんだから力がある人が持った方がいいでしょ!」
私 「そこまで言うのなら、お願いしようかな」
彼 「かしこまりました!」
プチ流行とはいえ日帰りなので荷物はそこまで多くない。それでも私の荷物を持ちたいと言う彼はすごく楽しみにしていたのだろう。
だが、移動中の新幹線で座席に座った瞬間に
彼 「あぁ~腕が~これは飛ばしすぎたかな~」
私 「まだこれからなんだから無理はしないでよね」
彼 「はい、気をつけます。それにしても楽しみだね!」
私 「なんか子供に戻ったみたいにはしゃいでるよ」
彼 「それはそうだよ、前々から準備してやっと今日になったんだから、楽しみなのは仕方ないだろ。 そっちだって楽しみにしてたんでしょ!普段朝は苦手なのに、今日は起きてるし、準備万端だったし。」
私 「当たり前でしょ!楽しみにしてたんだから。」
と、談笑していたらあっという間に目的地の最寄り駅に着いていた。
駅から出ると早速一つ目の目的地へと向かいだす。早くから計画していたからか一つ目、二つ目と次々と目的の場所へと行動していた。たまには寄り道や視線に入った所にもよりながら旅行を満喫していた。
だが、この旅行を境に私達の関係が危うくなっていった。
とある日の休日、今日は何処へ行く事も無く彼の家でのんびり過ごしていたら、彼の携帯に電話が掛かってきた。相手は同僚からでどうしてもの急用らしく渋々対応していた。このあたりからだろうか、彼が私と一緒に居ても仕事をするようになり、仕事が優先になり始めたのは。そして、2人で会う頻度がますます減り始めた。始めは“まぁ~忙しいなら仕方ないか”と、思っていたが少しずつ彼の態度の変化が気になり始めていた。そう思いつつも私は自分のための時間が増えたのだと、少し現実から目を反らしていた。
始めてweb小説を書きました。
つたない言葉の表現だと思いますが、読みやすく、わかりやすくを意識しながら書いています。
お気に召しましたら応援のほど宜しくお願い致します。
天野 タツキ