まるで愛の押売り? 一種タイプ2について見てみる
今回は一種タイプ2を紹介する。この性格の特徴を一言で表せば「愛の押売り」である。
まず、タイプ2に共通する「感情の内容」について考えてみよう。
タイプ2は、有能感≧自律性≫関係性の順で関心が強い。したがって、あくまで自分のやり方で、本当に自分の価値が得られることへの関心がつよい。単純に側にいるだけでは満足せず、自分のしたことで他者に喜んでもらい自分の有能感を高めることを最大の喜びとしているのがタイプ2である。
この関心のうえで、各感情の内容は次のようになる。
PS 自分のあたえた愛に答えるべきという処罰心。
PO 他人に愛してもらえない恐怖。
GO 自分を愛してくれるという期待。
WO 他者は自分を愛してくれないという諦め。
IS 自分は愛されるような存在であろう。
IO 自分を愛してくれる他者への甘え。
BS 自分を愛してという怒り。
BO 他者が自分を愛してくれないことへの嫌悪感。
WS 自分は愛されないという悲しみ。
GS 自分の愛を他者に与えようという自主性。
AS 他者はどうして愛してくれないんだろうという解釈心。
AO 自分が愛されたいことを他者に解釈してほしい。
本来タイプ2の統合先はタイプ4であるが、私の理論ではタイプ5としている。タイプ2は確かに自分の本来の個性を見失いがちでありタイプ4の影響で自分を見いだせるようになるという側面は否定できないだろう。しかし、タイプ5のように客観的で自分以外からも、知恵を取り入れ実際に自分の居場所をもつ技術も愛を押し売りがちなタイプ2にとって、必要なのではないかと考える。仏教の世界では慈悲と智慧の2本柱が重要になっていることを想起して貰えば、私の理論にも説得力が増すだろうか。仏教だけでなく、キリスト教においても、博愛の精神とともにディシプリンなどを説いている。
次に、あらためて、一種体癖の特徴を復習しておこう。
WSやWOは発生した後、GOで防衛される。GOは巻き込みをつかってBOを引き起こす。
BOはPOに防衛され、それに対してPSで同一化する。PSはしばしば内在化した父の命令によって、ISに遷移する。
これをタイプ2において具体化すると次のようになる。
他者が自分を愛してくれない。
→他者に自分を愛してほしい。
→他者が自分を愛してくれないことは嫌なやつだからだ。
→自分他人に嫌われていて愛してもらえないのかもしれない。
→いや、そんなことはない、自分のあたえた愛に答えるべきという処罰心。
→自分のことを愛してくれるためにより一層尽くそう!
自分は誰からも愛されない存在なのかもしれない。
→自分が愛されるように他者を愛そう!
→他者にも自分を愛してほしい。
→自分を愛してくれないのは嫌な奴だ。
→自分はもしかしたら愛してもらえないのかもしれない。
→いや、そんなことはない。私を愛するべきだ。
→自分を愛してくれるためにより一層尽くそう!
自分のことを愛してくれないのは嫌な奴だ。
→自分はもしかしたら愛してもらえないのかもしれない。
→いや、そんなことはない。自分は愛されるべきだ。
→自分を愛してくれるためにより一層尽くそう!
自分を愛してという怒り。
→自分はされるべきだ。
→自分を愛してくれるためにより一層尽くそう!
一種体癖タイプ2の場合、タイプ2の愛を求める心と一種の処罰感情が混じり合わさって、自分が愛されるべきという考えを強く信じることになる。自分の愛をしばしば他者に押し付けてしまうのである。
これを避けるためにもやはり解釈の心を持つ心が大切である。
相手が愛してくれなくて嫌な気分になった。
→他者はどうして愛してくれないんだろうという解釈心。
→愛されないとしても本当に他者に必要なことのために愛そう!
こういった気持ちを持つことが重要になる。
ここからは一種タイプ2を主人公にした物語を考えていく。
一種タイプ2は関係性を求める心が阻害されていて、他者と側にいるだけでは満足できないという問題を抱えている。特に一種は、自分の間違いをあまり受け入れるのが得意ではないため、やたらと愛を押し売りがちである。
一種タイプ2を導く存在は、十種や十一種やタイプ5である。
タイプ5は客観的な知識をあつめて本当に必要な他者に提供することで、自分を活かしている。
タイプ5とに関わりを通して、一種タイプ2は、愛とは別の本心から相手の求めているものを提供できるようになる。
また、十一種は他者を解釈する力に秀でており、一種タイプ2が許しの心を身につけることへ寄与する。十種の自己主体性を身につけることも他者に愛の意図が伝わりやすくなるためには必要である。
一種タイプ2を描く上でも注意してほしいことがある。
一種タイプ2は愛にこだわる性格であるから、ある程度、その愛は本心からのものであることは承知しておいてほしい。
もし、タイプ2はたしかに自分が愛されたくて愛しているが、決して偽善者というわけではなく本当に他者に喜んでほしいという思いは存在するのである。
一種タイプ2は決して偽善な存在ではなく、他者に役立って喜んでもらうために自分も他者も律しする努力をする性格である。