心癖論の執筆への応用について見てみる
具体的な性格の分析に入っていきたいところだが、私の性格論の特徴と小説への活かし方を改めて抑えていきたい。
性格論の視点で分析できるのは、「感情の内容」「感情の振る舞い」「精神の成長と挫折」の3点である。
「感情の内容」は何に対して、関心を持つかをざためたものである。
有能感への欲求は自身の有能感を高めるや下げかねないことに関心をもつ。
自律性への欲求は自身の自律性を高めることや下げかねないことに関心をもつ。
関係性への欲求は誰かとともに行動をすることや行動できなくなることに関心をもつ。
「感情の振る舞い」は関心を持ったものに対してどのように感じやすいかを規定している。
一種は処罰的になりやすい。
二種は臆病になりやすい。
三種は他者に期待しやすい。
四種は期待を諦めやすい。
五種は自分を強く見せやすい。
六種は他人に依存しやすい。
七種は積極的に行動を見せやすい。
八種は他者をディスりやすい。
九種は自分に満足しにくい。
十種は他者を支配しがち。
十一種は解釈をしがちである。
十二種は解釈を他者に求めがちである。
精神の成長と挫折には、「感情の内容」に関するものと「感情の振る舞い」に関するものの2種類存在する。
まずは、「感情の内容」の成長と挫折から説明する。
「感情の内容」の成長と挫折は、エニアグラムの統合と分裂に相当する。
エニアグラムの統合は良い師匠や仲間にめぐり合うことやライバルと競い合うことで、低くなっている欲求を高めることで実現する。
エニアグラムの分裂は悪い人間関係や過度のストレスによって、自分にとって重要な欲求が阻害されることで発生する。
次に「感情の振る舞い」の成長について、説明する。
「感情の振る舞い」の成長と挫折も「感情の内容」と同じく他者との関わりの中で成長する。
「感情の振る舞い」の成長は、他者との交流で他者の「感情の振る舞い」の良さをしり、それを取り入れることで実現する。
「感情の振る舞い」の挫折は、他者との関わりの中で、無理に振る舞いを偽装しつつけたり、自分の振る舞いを他者に押し付けたりすることで発生する。
以上のことを踏まえて、性格論は執筆にどのように応用できるか?
まず、物語の内容がどのようなものかというのが決まっているとする。この段階で、主人公の性格と成長と挫折が決定される。
(ex. 夢みがちで愛されたい性格の女の子が、他者を愛せるようになる話を書こう! →三種タイプ2の女の子が成長する話!)
次に、主人公の成長と挫折の具体的な作中の人物と出来事との相互関係性が決まる。
(ex. 三種六種タイプ7w8の恋のライバルに振り回されながらも、十種タイプ8w9の憧れの人に愛されるために、交流を深めていく。途中、物語の重要な鍵を握っている九種タイプ5w4のキーパーソンが現れ、主人公はキーパーソンを救い出し、真実の愛に至る。)
この格子に具体的なキャラの名前や世界観を肉付けしていく。
すると、次のようなあらすじになる。
主人公の赤原ヒカリは夢みがちな優しい女子中学生。
クラスメイトとの仲も良いのだが、中々深い親友と呼べる存在はできないでいた。
そんなヒカリの前に、異世界のプリンセス、エイワン・リヒュルテが現れる。
エイワンの魔法で、ヒカリの夢を叶えてくれるという。
ヒカリはエイワンの魔法で意中の男の子白浜ショウトくんと付き合おうとする。
ショウトくんはクラスの中でもイケメンでスクールカースト一軍の男の子。
しかし、エイワンはショウトくんの姿をみると、魔法をかけて自分に惚れさせてしまった。
エイワンがショウトといちゃついているのをみて、愕然としていたヒカリ。
そんな最中、謎の少年が現れてショウトにかかった魔法を解いてしまう。
エイワンと謎の少年は口論になるがエイワンに謎の少年は折れてしまう。
謎の少年を追いかけるヒカリ。
少年はエイワンが異世界から王女職を抜け出してしまったため、彼女を追っている召使いのユリトだと名乗った。
ユリトとエイワンを仲直りさせたいと思っているヒカリ。
エイワンにユリトについてどう思っているのかを聞こうとしてもはぐらかされてしまう。
そんな彼女の前にショウトくんが現れ告白をしてきた。
ヒカリはショウトくんの告白に喜んだが、今は返答まで時間が欲しいと答えた。
返答までにどうにか、エイワンとユリトの関係をよくしようと奮闘するヒカリ。
しかし、その間に、エイワンはユリトとの関係に打ちひしがれてショウトくんに甘えて告白し付き合うことになったのだった。
ショウトくんのあまりにもない態度に腹を立てるヒカリであったが、ユリトがそんなヒカリをさとし、ヒカリはショウトの優しすぎる性格と弱さを理解する。
エイワンとショウトの関係を振り返る中で、ヒカリは自分がユリトにいつからか、惚れていたことに気づいてしまう。
そして、ヒカリはユリトに「好き」と告白する。
そして、ユリトの答えは、自分は実は女であり、普段は変身魔法を使っているということだった。
それを知ったヒカリは、ユリトに、「それでも構わない」と答えたのだった。
数年後、ユリトとヒカリ、シュウト、エイワンが、仲良く、異世界に遊びに行ったとか行かなかったとか。
ってな感じで、性格はそこまで工夫しなくてもギミックを工夫すると面白い話になっていくと思う。
ただし、この物語においてはヒカリが「自分の愛されたいという期待だけでなく他者との関係性を追い求めていく力がユリトに導かれることで達成していく」という構図になっているということに注意してほしい。
また、深く書ききれてないが、ショウトの優しさももしかしたらヒカリがユリトの弱さを受け入れる上で役だったかもしれない。
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