感情の振る舞いについて全体像を見てみる
さて、これからキャラクターの性格分類をおこなっていきたいわけであるが、その前にエニアグラムと体癖の全体像を捉えていきたい。
とはいえ、これから議論していくエニアグラムと体癖は私なりの独自解釈を加えたものであることには注意をしてほしい。
体癖やエニアグラムの主流とは外れている部分もあるし、意図的に改変している部分も多い。
これは、私の無理解のせいではない。むしろ、体癖とエニアグラムを扱いやすくするためである。
ではまず、体癖について説明する。体癖は6つの型と陰陽の気の組み合わせから成立している。すなわち、12種類の体癖が存在している。
私は、この体癖12種類の違いを「感情の振る舞い」に対応付けている。
そのためには「感情の振る舞い」を構成しているメンバーを紹介しなくてはならない。このメンバーは体癖と同じように12種存在する。
それを私が用いている独自の略記法で示せば{PS, PO, GO, WO, IS, IO, BS, BO, WS, GS, AS, AO}ということになる。
これだけ示してもなんのこっちゃということなのでその意味を説明する。
PSは処罰感情を意味する。マスク警察や正義マンはこの感情を所持している。ざまぁといった復讐心もこれに関係する。
PSが高いと加虐性が強くなる。
他方で、逃走闘争反応という生命の重要な反応の闘争部分を生み出している感情であり、数学のような厳密性を重要とする場面でも必要である。
POは恐怖感情を意味する。これは臆病さ、神経質さに関係している。
POが高いとヒステリックな性格になってしまう。
一方で、リスクを想定し、秘書職に活かすことが可能である。逃走闘争反応の逃走を担っている。
GOは期待感情を意味する。甘いものや美味しい食べ物に胸を踊らせたり、他者の凄さを崇拝したりすることに関係している。
GOが高いと他者に無意識に身勝手な要求をしてしまったりすることがある。
他方で、恋愛やお笑いには欠かせない感情であり人間らしい楽しく生きる力の源にもなっている。
WOは諦め感情を意味する。他者への絶望や諦めに関係している。
WOが高いと期待を抱いてもすぐに「どうせかなわない」と無意識に諦めてしまう。
他方で、諦められることも人生には重要である。期待が外れたときに怒らなくすることや、他者の弱さを思いやる心の種になる。
ISは自己優越感情を意味する。ビジネスの場面で他者に自分を強く見せることに関係している。
ISが高いと素直になれず傲慢や高飛車になってしまう。
他方で、ISの高さは優秀にみなを引っ張るリーダーに必要なカリスマでもある。
IOは甘え感情を意味する。他者への依存や将来への希望に関係している。
IOが高いと他者に甘えてばかりの腑抜けや自分は何もしないのに嫉妬深い人になりやすい。
他方で、IOの高さは他人に弱さを見せられるという強さでもあり、人気なVtuberのなかにはIOを無意識にうまく使っている。
BSは怒り感情を意味する。他者へ怒りぶつけることに関係している。
BSが高いとはじめから攻撃的になってしまう。
他方で、スポーツにおいては積極的なプレイで活躍したり、勝利へむけて努力する力にすることもできる。
BOは嫌悪感情を意味する。他者の行動や状況に悪口をいうことに関係している。
BOが高いと些細なことで攻撃的になってしまう。
他方で、不利な状況を瞬時に理解し乗り越える力にもなる。
WSは悲哀感情を意味する。自分の弱さを感じとることに関係している。
WSが高いとどれだけ高みに至ってもなかなか満足しない。
他方で、自分の弱さを乗り越えるべくストイックになることができる。
GSは自己主体感情を意味する。GSは他者を深く思いやることに関係している。
GSが高いと自分だけの意志で単略な行動してしまい本当の他者を理解できないことがある。
他方で、世間に良い影響をおよぼすことも多い。
ASは解釈感情を意味する。ASは世界を深く理解しようとすること英雄に関係している。
ASが高いと何もかもを理解しようとしてしまい疲れてしまう。
他方で、優秀な哲学者や科学者として世俗に新たな価値を生み出すこともできる。
AOは許され感情を意味します。AOは他者や神の許しを常に求めている聖人に関係している。
AOが高いと自主性が低くなります。
他方で、倫理性の高さと考えることもできる。
これら12個の感情は2つずつでペアになっている。これらの12個の感情のうちどの感情が発生しやすいかが体癖の正体であると私は考えている。一種から十二種といった番号はそのまま上の順に対応している。
今までの話をまとめると
一種 PS 処罰
二種 PO 恐怖
三種 GO 期待
四種 WO 諦め
五種 IS 自己優越
六種 IO 甘え
七種 BS 怒り
八種 BO 嫌悪
九種 WS 悲哀
十種 GS 自己主体
十一種 AS 解釈
十二種 AO 許し
というようになる。
ここで注意してほしい点は、あくまで体癖の正体は感情の発生”しやすさ”であること忘れないでほしい。
時には、一種も恐怖するし、二種も処罰をしようとする。これらはあくまでも傾向性にすぎない。
感情の発生”しやすさ”についてより詳しく見ていこう。
実を言うと感情の発生は4つの感情にしか起きない。つまり、他の感情は4つの感情が遷移したものである。
また、4つの感情のうちのどれかだからといってそれが発生したのか遷移したのかは判定できない。
その4つの感情というのは、WS、WO、BS、BOの4つである。
遷移には防衛、解離、昇華、再発生、同一化、巻き込み、父の命令、善意化の八種類ある。
WS→防衛→IS
IS→解離→WS
WS→昇華→IO
IO→再発生→WO
WO→防衛→GO
GO→解離→WO
WO→昇華→GS
GS→再発生→WS
BS→防衛→PS
PS→解離→BS
BS→昇華→AO
AO→再発生→BO
BO→防衛→PO
PO→解離→BO
BO→昇華→AS
AS→再発生→BS
PS→同一化→PO→同一化→PS
IS→同一化→GO→同一化→IS
GO→巻き込み→BO
PS→父の命令→IS
PO→父の命令→IS
AS→善意化→GS
さてこれを踏まえると各体癖で使いがちな遷移を考えることができる。
一種体癖は、BSをPSで防衛したり、POからPSへ同一化したり、PSからISへ父の命令が働いたりする。
二種体壁は、BOをPOで防衛したり、PSからPOへ同一化したり、POからISへ父の命令が働いたりする。
三種体癖は、WOをGOで防衛したり、ISからGOへ同一化したり、GOからBOへの巻き込みが働いたりする。
四種体癖は、GOからWOへ解離したり、WOからGSへ昇華したりする。
五種体癖は、WSをISで防衛したり、GOからISへ同一化したり、父の命令が働いたりする。
六種体癖は、WSをIOで昇華する。
七種体癖は、PSからBSへ解離したり、BSをAOで昇華したりする。
八種体癖は、POからBOへ解離したり、GOからBOへ巻き込みしたり、BOからASへ昇華したりする。
九種体癖は、ISからWSへ解離したり、WSからIOへ昇華したりする。
十種体癖は、WOをGSで昇華したり、ASをGSへ善意化したりする。
十一種体癖は、BOをASで昇華したり、ASをGSへ善意化したりする。
十二種体癖は、BSをAOで昇華する。
また、複合体癖というものが存在する。
これは感情の2番目に発生しやすいものをもとにメインの体癖の後ろに2番目に発生しやすい感情の体癖を置くようなしくみである。
例えば、一種三種であれば、処罰感情が湧きやすいとともに期待感情も湧きやすい。
さらに、体癖には他にも外見と関係や体癖偽装、体癖界など興味深いアイデアがある。
このエッセイでどれだけ扱えるかは分からないが、興味がある読者は是非調べてみてほしい。
余談だが、私の体癖論には精神分析の考え方が影響している。より詳細な原理を知りたければ、ラカンやフロイトについて、学ぶことも良い策かもしれない。