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苺畑で君と

作者: 物語のあるリボン作家/いろいと

物語のあるリボン作家『いろいと』です

私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります

手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています


関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております




ぜひ、ご覧下さい♡



Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい

hhtps://www.instagram.com/iroit0

穏やかな日差しが優しく体を暖める

少し眩しく感じる太陽を、少し目を細めて眺めた

ぽかぽか陽気に思わず顔がほころぶ

ひんやり冷たく美しい雪と共に、寒い冬は、どうやら引っ越しの準備が出来てきたようだ

たまに冬の薫りのする生温い風は、私の頬を軽く撫でる

そよそよとそよぐ風に身を移しながら歩いていると

『もうすぐ春だね』

待ち合わせをしていたはずの君が、突然目の前に現れ私へ微笑んだ

ビックリする私を見た君がクスリと笑うのを待ってから、私は、ゆっくり言葉を飲み込み返事をする



『待ち合わせはここだった?ええ。春は、わくわくするし好きよ』

私も、可愛く微笑んで返す

すると、私が歩き出すのを邪魔するかのように、目の前にいる君は、またにっこり微笑む

そして、自分の手のひらに赤い宝石を乗せて、私の目の前に差し出した

何だろう?と小首をかしげる私

よく見ると、手のひらには可愛らしい、いちごがコロンと一粒オシャマに座っていた

『甘酸っぱい薫り、いちご?』

『いちご好きでしょ?』

そう言って君は可愛い苺を摘んでパクリと、自分の口に入れた

『私にくれるんじゃないの?』

『え?欲しかったの?』

『くれるから見せたのかと思ったのに』

『そうだよ?』

『え?食べちゃったじゃない』

少し膨らませた私の頬を、君は両手でつまむ

『にゃにしゅるのよ』

両手でつままれた私は、話しにくい

『今日は、大好きなあなたへ贈り物。たぁんと、お食べよ』




待ち合わせの場所が、いつも遊びに行く森と違うとは思っていた

今日は、ペガサスのルマは隣の国へ駆り出されていると聞いていたのだが、まさかここにいるとは

精霊族と言っても、色んな種族がいる

私達はペガサスを守護とする精霊で、いわゆるペガサスのお世話係のようなものだ

戦闘へ行くペガサス、王族を護るペガサス、民と暮らすペガサス

あらゆる仕事をこなすペガサス達のお世話をするのが私達

国の足でもあるペガサスをお世話する事は、とても大切なお仕事なのだ

そんな大切なお仕事も、今日はお休み

お休みと言っても、結局はペガサスの羽を艷やかにする薬草を、二人で森へ取りに行くことにしていたので仕事のようなものだったのだが

今日は、どうしてかいつもの森とは別の森へ薬草を取りに行くと言うので、おかしいなぁと思いながらも、私は君との約束の場所へとやってきていた



『たぁんと、お食べよ』

と、言った君の後ろを少し覗き込めば、あたり一面に咲く小さな白い花と真っ赤な可愛い苺

『この間、新しい薬草を探しにここへ来たら、苺があるのを見つけてさ。どうしても連れてきたかったんだ』

苺畑から視線を君に戻すと、両手でつまんでいた頬をパッと離した

『ルマが駆り出されて仕事が休みだと言って?』

少し口を尖らせて話す私に、君は、ニッと口角をあげ、その優しい目を私に向ける

『そうでもしないと、あなたは仕事を休まないからね。仕事に身を置く姿も好きだけど、たまにはデートもしたいんだよ?ふふ』

照れて紅く染まったのか、つままれて紅くなったのかは分からない、薄紅色の頬が、私の目を泳がす理由にはならなかった


『あ、ありがとう』

『どういたしまして。愛するあなたが喜んでくれるなら、それだけで充分さ』

目を合わせられない私の顔を覗き込んで、頭をポンと包み込むように撫でる

『あ!でも、たまには、あなたの口からも愛の言葉が聞きたいな?』

きっと今、ものすごく意地悪い顔をしながら私を見ているのだろう

うっかりチラッと君を見た私は、思わず口を一文字にする

『ねぇ?苺食べたい?』

どこから出してきたのか、口にくわえた苺を私の口元へ近付ける

間近に見つめられる君の目に吸い込まれてしまった私は、少し口を開き、そのままジュルリと二人で味わう

甘酸っぱい苺の味は、徐々に君の味へと変わっていく

最後の一口をひと舐めした君は、今度はペロリと自分の唇を舐めた


『・・・で?』

もう一度聞き返された私は、甘い苺を感じながら答える

『私も、君が大好き。ずっと一緒にいてね?』

『ふふ。もちろんだよ。どこにもいかせないよ』

ギュッと抱き締める腕は力強く、私を安心させる

『ちゃんと休み取るから、今度はちゃんとデートしよ』

『そう?サプライズ楽しいけど』

『何か、ちょっと意地悪』

『全然意地悪じゃないよ?』

頬を膨らませて私は君を下から見上げる

『もっかい苺食べたいの?』

『・・・たべたい』

『意地悪い?』

ふふっと笑う君は、どこから出してきたのか、また苺をくわえて、意地悪く私に苺を食べさせるのだった


最後まで読んで下さり、ありがとうございます


色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです


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