破滅していく日常と重い代償
始まりであり
城ケ崎茜の人生最大の分岐点であった
ダンッ
「っう...」
誰もいないはずの夕日が差す教室には酷く鈍い音と共に誰かの声が聞こえる
もう一人は何も言わずに鈍い音と共に声を発する
またもう一人は怒声をかけながら笑っている
「アンタさぁ、ムカつくんだよね!今日は先生に褒められたごときで調子乗っちゃってさぁ」
この声はクラスのカースト上位である水原咲のもので間違いないだろう
いつもは机を囲んで女子たちと笑いながら話している
きっと、蹴られているのはクラスでは頭がいい方で頼られる存在だがあまり友達のいない学級委員の城ケ崎茜だろう
きっとこれはいじめ現場
こんなにも教室には音が響いているのに教師は誰も来ないことが不思議だ。
気づいていないのだろうか
はたまた゛気づいてないフリ゛をしているのだろうか
なんせ水原は家が企業の社長であり、社長令嬢としても知られている。
お金持ちであるからこそ人より少し我儘な性格として嫌っている人物もそう多くない。
そんな衝撃的な現場に何も知らずに足を踏み入れようとする人物が一名
城ケ崎の昔からの幼馴染である篠原凛だ
きっと一緒に帰りたいのだろう
教室に向かっている足音は先の見えない音にかき消されていて聞こえない
ガラッ
そう教室の扉が開いた瞬間篠原の目に映ったのは醜い現場
「あ、茜....と水原さん?」
「あらぁ?どうしたの?篠原さん、茜ちゃんに何か用?ww」
「水原さん、何してるか先に答えなさいよ」
「私に口答えするわけ?wおもろwもしかして親友のために庇っちゃうおバカさん?」
「水原...さん、やめて」
親友が自分と同じ身になるのに恐怖を覚えた城ケ崎は勇気を出して水原に抵抗するがそれは虚しくも切り裂かれてしまった
その瞬間に芽生えたのは初めての感情だった
絵具で表すのなら、水に溶ける黒色と赤色が交わるかのような
気味の悪い感情だった