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人魚姫とお魚王子  作者: 只野透四郎
500/513

第500話 遊園地でヒーロー

「みんなの中に、ガリベンと一緒に戦ってくれる勇気のある子供たちは居ないかしら。この特殊戦闘スキルを付与するガリベンメガネと、戦闘員を倒す事のできるモノサシブレードを貸してあげるわ」


フェリペ皇子が三人の令嬢との掛け持ちデートをする破目になった開園日の遊園地。

二人の同級生、ビーノとゼスを仮面変形で替え玉に仕立てて、ようやく難局を乗り切ったフェリペは、担当したローズ嬢と一緒にヒーローショーのイベントに行った。

そして敵役の女幹部が観客たちを人質にとったという設定の中、ヒーローの助手役が観客の子供たちに、戦闘シーンへの参加を呼び掛ける。

その呼びかけに答えて3人の子供が手を上げた。

全く同じ顔に同じ背格好に同じ服装。フェリペと、仮面変形で彼に変装したビーノとゼスだ。



「フェリペ殿下が3人」

「これはいったい」

そう呟き、唖然とする彼等のデート相手の3人の幼い令嬢。

そして、目一杯の困り顔を見せる、フェリペに変身したビーノとゼス。

そんな彼らにフェリペは「とにかくヒーローを助けるのが先だ」


助手役の巨乳お姉さんは「勇気ある三つ子君が名乗り出てくれたわ。他に誰か居ないかしら」と、他の会場の子供たちにも参加を呼び掛ける。

何人かの子供がつられて手を上げる。

助手役のお姉さんは参加希望の子供たちにメガネとモノサシを渡す。


メガネをかけモノサシを振るって、戦闘員役の役者たちに立ち向かう子供たち。

もちろん、渡されたアイテムに魔法の類がかけられている訳でも無いが、相手は悪者役の役者だ。

モノサシを振り回す子供を相手に、やられた演技で倒れる戦闘員役の役者たち。


その一方で、戦闘経験を積んだフェリペと、それなりに剣術を身に着けているビーノとゼスは、本気でモノサシを振るって役者たちを次々に倒した。

そして女幹部もヒーローに倒されて大演壇。

「ありがとう、ガリベン。ありがとう、勇気ある子供たち」

そんな司会のアナウンスにより、ショーが終わって観客たちは散る。



「お疲れ様、みんな上がっていいよ」

そう役者たちに呼びかける監督に、司会の女性が困り顔で「あの、監督・・・」

「どうした?」

「戦闘員の人たち、気絶してるんですけど」と、あちこちで倒れたままの何人もの役者を指して・・・・・・・・。



そして・・・・・・・・・・・。


「それで、殿下が3人というのはいったい・・・」

そう言って説明を求める3人の令嬢を前に、困り顔のフェリペと、彼に変装したビーノとゼス。

「もしかして殿下って三つ子?」とロゼッタが言い出す。

フェリペは困り顔で「いや、そういう訳じゃ・・・」

リリアも「本当のお母さまが殺されて、犯人を捜すために一人のフリをしてイザベラ様に引き取られて・・・」

「そういう訳じゃ・・・」と、フェリペは困り顔で・・・。


ロキが現れて言った。

「主よ、これは本当の事を言うしか無いと思うぞ」

「けどそれだと・・・」

そう言ってビーノとゼスが顔を見合せる。そして小声でひそひそ。

「さすがに替え玉でしたはショックが大きいだろ」


そんな彼らを他所に、ロキは「実はな」

「ちよっと待って」と、ビーノとゼスはロキの言葉を遮ろうとするが、ロキはそれを無視して言葉を続けた。

「この二人は分身なのだよ」

「へ?・・・・・」

ロキは語った。

「ヒーローの新技として、主は遠坂準教授から、影分身という忍者の術を習得する訓練を受けていてな。その一環として、本物と見分けのつかない完全な分身として行動できるかどうかをチェックするために、君たちに協力して貰ったのだよ」

三人の令嬢は声を揃えて「そうでしたの」


「それじゃ、あの、"ござる"というのも」

そうロゼッタが言うと、ビーノが「あれは忍術の世界の口癖でござる。ニンニン」

何とか誤魔化して貰えたと、ほっとするビーノとゼス。

「では、テストも終わったので分身には消えて貰うとするか」

そうロキに言われて、青くなるビーノとゼス。

「いや、消えるって、ちょっと・・・」


  

フェリペに変装したビーノとゼスは、その場から姿を消した。

後に残されたフェリペと3人の令嬢。


「ごめんね、騙すような事をして」

そうフェリペが言うと、ロゼッタが「いいえ、あんな術が使えるなんて、尊敬しますわ」

リリアが「あの技、また見せて頂けるかしら」

「いや、そう簡単には・・・。僕にもよく解らないんだ」と、困り顔のフェリペ。

ローズが「術というのは体で覚えるものだと聞きますものね」


「ヒーローの修行、頑張って下さいまし」

そう三人の令嬢に言われ、フェリペは「ありがとう。次は何に乗ろうか」

4人でデートを続けるフェリペと令嬢たち。



そのころビーノとゼスは・・・。


気が付くと、二人は離れた所に居た。

そして、手に鉄の仮面。

ロキが現れ、二人が被っていた仮面が外れ、元の姿に戻る。


「これって・・・」

そうゼスが言うと、ロキは説明した。

「仮面転送と言って、離れた所にある仮面を転送座標に使う魔法だ」

「そうだったのか。本当に消されると思ったよ」と、ビーノが安堵顔で・・・・・・。



ロキが去り、残されたビーノとゼス。


「どうだった?」

そうビーノが言うと、ゼスは「どうと言われても・・・。ああいう小さい子は、やっぱり離れた所から見てるに限るって話かな?」

「それより、ヒーローショー、それなりに楽しかったよね」とビーノ。

ゼスは「子供向けだぞ」

「子供になってたじゃん」

そうビーノが言うと、ゼスは「確かに・・・。俺たちがやってる魔法とか剣術の訓練も、ヒーローになるためのものなんだよな」


「ヒーローってか、騎士だけどね」

そうビーノは突っ込むが、ゼスは「誰かを守って戦うってのはヒーローだよ」

ビーノは言った。

「そうだな。いつか強くなって冒険に行かないか?」

ゼスも「いいね、それ」


彼等は知らなかった。仮面変形の影響で、思考が変身したフェリペの影響を受けていたという事に・・・・・。



翌日、エンリ王子の執務室では・・・・・。


「ニケさん、遊園地はどうだった?」とエンリが、ウキウキ気分で算盤を弾くニケに言う。

「大盛況だったわよ」と、ニケは目に$マークを浮かべる。


「あのガリベンとかいうヒーローショーは?」

そうエンリが言うと、ニケは「大成功だったと思うわよ」

「けど、あんなので学校に来て勉強しよう・・・なんてアピールになるのか? 随分方向性が斜め上だと思うんだが」と、エンリは疑問顔。

「けどガリベンって、勉強を頑張って高学歴エリートになる人の事よね?」

そうニケが言うと、エンリは「いや、親に勉強しろって催促されて我慢してガリガリやってるってイメージな気がするんだが」と突っ込んだ。

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