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人魚姫とお魚王子  作者: 只野透四郎
488/513

第488話 大学の令嬢

ポルタ大学人文学部。

ここには、留学生としてここに在学している、六歳のフェリペ皇子が居た。



女子学生たちにちやほやされるフェリペ。

そして、そんな彼等を遠巻きに眺める、数人の男子学生が居た。


そのうちの一人の太目な体形に眼鏡をかけた学生が「子供の入学っていうなら、何故女の子が来ないでござるか?」

「だよな。萌えって言ったら幼女でござろう」と、もう一人の同様なタイプの学生。

そんな二人に、他の普通系男子たちが「・・・女子がドン引きしてるんだが」

周囲の女子学生の視線が痛い。


だが、先ほどの太目眼鏡の男子は「年増に興味は無い」

「そんな事言ってると、本当に来ちゃうぞ。今日びの子供は下手すると"超絶ブランドのJSな私を、あなたのようなキモいオタクが"・・・とか言っちゃうからなぁ」

そう一人の普通系男子が言うと、もう一人の太目眼鏡が「要は包容力でござるよ」



そんな中、担任教授が来て、朝の諸連絡。

「新入生を紹介する。入りなさい」

その担任の言葉とともに、数人の新入生が教室に入るのを見て、学生たちは唖然。

そしてあれこれ・・・・・。


「一度に六人かよ」

そう一人の男子が言うと、その隣の男子が「しかも、うち三人は幼女・・・って」

その後ろの席の男子が「残りの三人はその付き人かよ」

「つまり、どこぞの貴族令嬢?」と、隣の席の女子。

その前の席に居る男子が「まあ、ここはそういう人向けの学部だものな」


「けどあれ、六歳くらい」と一人の女子が・・・。

その隣の女子が「フェリペ君もそうだけどね」

その前の席の女子が「つまり天才児の飛び級?」

その隣の席の男子が「いや、三人となると、さすがにその理屈はきついぞ」



新入生たちが自己紹介。

「スパニアから来たロゼッタ・トンズラなの。よろしくね」

「その従者のベルナーだ」

「リリア ボヤッキと申します」

「従者のロンドです」

「ローズ・ワッフルですの」

「従者のアネモネよ」


ベルナーとロンドは、いかにも騎士といった十代後半で、それなりにイケメンだ。

女子達のテンションが上がる。


アネモネは女性騎士。それを見て一部の男子のテンションが上がる。

「つまり百合主従という奴?」

そんな彼等の会話が耳に入った新入生のローズは、隣のアネモネに「あなたのせいで変な誤解を招いているみたいだけど」

アネモネは「これも作戦です」


そして三人の幼女の登場に一部の男子がテンションMAX。

そんな男子たちを見てドン引きする女子達。



クラス連絡が終わって教授が退室すると、数人の男子は三人の幼女を遠巻きにしてあれこれ・・・。

「お前、声をかけてみろよ」

そう一人の男子が言うと、太目な眼鏡の男子が「今日びの子供は・・・なぁ」

そして「お前、包容力がどうとか言ってたよね?」と言い返される。


そんな彼等を他所に、女子達は三人の令嬢を囲んで"かわいー"を連呼。

だが・・・・・・。


三人の中のリリアが「私たち、そういうオネロリに興味はありませんの。ごめんあそばせ」


三人は席を立つと、フェリペの所へ。

そして「フェリペ様―」

そんな彼女たちを見て、学生たちは合点がいった風な声で呟く。

「要するに、将来のお妃候補が追いかけて来たって訳ね」


フェリペの周りに陣取って、幼い令嬢たちはあれこれ・・・。

ロゼッタが「合いたかったです」

リリアが「追いかけて来ちゃいました」

「けど受業とか大丈夫なの?」

そうフェリペが言うと、ローズが「フェリペ様の隣に居るために、死ぬ気で頑張ります」



そして最初の講義で、三人の幼女は五分で爆睡した。



講義が終わるとフェリペを囲んでわいわいやる三人。

フェリペが席を立つ。

ローズが彼に「どちらへ?」

「お供しますわ」とリリアも。

フェリペは「トイレに行きたいんだけど」



ぐったり状態で次の講義を受けるフェリペの隣に座っている従者のマゼランが、フェリペの耳元で小声で「お疲れですか?」


「あの三人の相手はちょっと疲れる」

そう小声で答えるフェリペに、マゼランは言った。

「お妃は一緒に国を支えるパートナーですから、大事にしないとですよ。幼馴染は最強と言いますし、粗末にして関係が途切れた状態で中高生になった時、"あの子可愛かったのに"・・・って後悔する奴は大勢居ます」


「パートナーってルナやメアリ姉様じゃ駄目なの?」とフェリペ。

マゼランは「メアリさんは正体を明かせない立場ですし、そもそも性格がアレですから。ルナは妃となるにはハードルが・・・・・」



講義が終わる。

フェリペが頑張って三人の相手をすると、そのうち三人がフェリペの取り合いを始める。

そんな彼女たちを見て、フェリペは(勘弁してよ)と脳内で呟いた。



昼休み・・・・・・。


「お弁当を用意して来ましたの」

そう言って三人の令嬢は、三人とも重箱弁当を出す。

フェリペ、困り顔で「こんなに食べきれないよ」

「なら私のだけでも」とリリアが他の二人を押し退ける。

ロゼッタも負けずに「いえ、私のお弁当を」

ローズも負けずに「私の方が美味しいですわ」

言い争いを始める三人に、フェリペは困り顔で「みんなで食べようよ」


フェリペと三人の令嬢、そしてマゼランたちと令嬢たちの付き人計10人、中庭の芝生の上でお弁当を囲む。

そんな中、ライナたち三人の元女官が、各自お弁当を持って「フェリペ様」

「来たね、みんな」と彼女たちに手を振るフェリペ。


「・・・・・・・・」

三人の令嬢を見て、凍り付くライナたち。

リリアは三人を睨んで「あなた達、よくも私たちの前に顔を出せたものね」

「お嬢様方、何故ここに・・・」

そうルナが言うと、ローズは「今日からこの大学で学ぶ事になりましたの」

「まだ六歳ですよね?」

そうライナが言うと、ロゼッタは「殿下だって同じですわ」

「授業について行けるんですか?」

そうリンナが言うと、リリアは彼女を睨んで「何か言ったしら?!」


そんな令嬢たちにフェリペは「とにかく仲良くしようよ。君たち、そんなキャラじゃ無かったよね?」

「はい・・・・」

「いや、フェリペ様の前で猫を被ってただけかと」

そうルナが言うと、リリアは彼女を睨んで「何か言ったかしら?」



お弁当を囲んでわいわいやる、計13人。

「キャンプみたいで楽しいですね」とライナ。

リンナも「西方大陸で水を補給した時も、こんなでしたね」


海外に逃亡した時の冒険の話題に花が咲く中、フェリペにあーんをするルナ。

三人の令嬢のこめかみがピクリと反応する。


マゼランにベタベタするライナ。

アネモネのこめかみがピクリと反応する。

そんな彼女たちを見て、冷や汗顔のベルナーとロンド。



昼休みが終わりに近づき、弁当を食べ終えてライナ達は魔法学部へ。

立ち去ろうとする三人の元女官に、リリアがそっと小声で言った。

「フェリペ様を自分達のものに出来ると思ったら大間違いですわよ」


魔法学部棟に向かう中、ライナたちは三人の幼い令嬢について、あれこれ・・・。

ルナが「もしかして怒らせちゃった?」

「そりゃあの人たち、殿下を追いかけてこんな所まで来たんだものね」とリンナも・・・。

「どうしょう」と一様に呟き、表情を曇らせる三人。



講義室に行くと、三人は魔法学部の同級生たちに、令嬢たちの事を話した。


「フェリペ殿下のお妃候補が三人も?」と、あきれ顔のチノ。

「それで、仲のいい君達に嫉妬してるって訳か」

そうジョルドが言うと、ドミンゴが「大丈夫。ルナたちは俺たちが守る」

「友達だものね」とルチアも・・・。


ライナたちは安堵顔で「ありがとう、みんな」

すると、アメリアがドヤ顔で「この私がクィーンとしてここに居る以上、人文学部の人たちなんかに好き勝手させませんわよ」

「いや、人文学部が敵って訳じゃ無いんだけど・・・・・」と困り顔のルナ。



翌朝、諸連絡前の魔法学部の教室に、三人の令嬢が各自の従者をつれて現れた。  


「昨日から人文学部に入学した者ですが、ここに私たちの元使用人が居ると聞いて、ご挨拶しようと」

そんな三人の幼女を見て、魔法学部生たちは一様に「か・・・可愛い」と呟く。

女子達が三人を囲んで可愛い連呼。一部の男子も遠巻きで萌え連呼。


テンション高めで彼女達を迎える同級生たちを見て、ライナたちは呟いた。

「駄目だこの人たち、頼りにならない」

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