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人魚姫とお魚王子  作者: 只野透四郎
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第459話 弓射のオブジェ

エンリ王子たちが難民たちを保護するアテナ修道会に協力し、行く手を遮るオッタマ帝国の軍を破って辿り着いたサンクチュアリ。

十二の階層のダンジョンに挑む五人の聖闘士と、彼等を助けるエンリたちは、天秤座の階層で謎のカルト教祖を倒すと、そこを出て洞窟の通路に入った。



蠍座の階層に出ると、石がゴロゴロした荒野に、大きな蠍魔獣が居た。

蠍魔獣は言った。

「私がここの階層主よ。通りたくば、私を倒してみなさい」

「お前、雌の蠍か?」

そうエンリが言うと、蠍魔獣は「そうよ。蠍座の女は怖いわよ」


そんな蠍にイッキが「・・・・・・・・お前、女じゃ無くてオカマだろ」

蠍はブチ切れ声で「言ってならん事を!」

「オカマなのかよ」とセイヤ達は溜息。

そんな彼等に蠍は「私は紅白の常連よ」

「けどあそこじゃ、白組だよね?」

そうエンリが指摘すると、蠍はブチ切れ声で「LGBT法違反だわ。フラップ訴訟で訴えてやるわよ」

「ってか紅白って、ケーポップとかいうのの宣伝用に,国家ブランド委員会っていうどこぞの半島国の工作組織に買収されて、相手にされなくなって消滅した代物だろ」とエンリは突っ込む。



蠍魔獣は尻尾を振りかざして「ととととにかく、かかって来なさい」

「気を付けろ。奴の尻尾には猛毒があるぞ」

そうエンリが言うと、シリューが「あれに刺され無きゃいい訳だよな?」

「甘いわね」

そう蠍魔獣は言うと、尻尾の先から毒霧を放出した。


「みんな、防毒マスクをつけて」

そう言ってニケが出した防毒マスクを見て、エンリは「三つしか無いんだが、あいつ等の分は?」

「大丈夫。シルバークロスの毒耐性は無敵よ」とニケ。


毒霧が全く効かないのを見た蠍魔獣は、二つの鋏を振りかざして襲いかかった。

右の鋏をセイヤがペガサス流星拳で破壊。左の鋏をシリューがエクスカリバーの手刀で斬り落とした。

シュンの鎖で蠍魔獣の動きを止め、ヒョーガがダイヤモンドダストの凍気で凍らせ、鳳翼天昇の炎でついに蠍魔獣は倒れた。


「これで勝ったと思わない事ね。蠍の毒は後で効くのよ」

そう言い残して息絶える蠍。



「あっけなかったね」

そうシュンが言うと、イッキが「五人でかかればあんなものさ」

「けど、寄ってたかって袋叩きって・・・」とシリュー。

エンリが「ダンジョン攻略ってそういうものだろ」

「けど、さっきの教祖は?」

そうリラが言うと、エンリは「あれは戦いとは言わない」


「それより、紅白って何ですか?」

そうシュンが言うと、エンリは「ギャングエイジって奴だな」

「アルカポネとかいう親分さんが居た時代?」とヒョウガ。

エンリは言った。

「じゃ無くて、小学校高学年では男子と女子がグループを作って対立するよね? ああいうのをいい年した大人が続けてる、残念な年末イベントだよ」



蠍座の階層を出て洞窟の通路に入り、しばらく歩いて射手座の階層に出た。

石造りの巨大なドームの中央に、ケンタウロスを模った黄金のオブジェがあった。

そのオブジェを見て、あれこれ言う五人の聖闘士とエンリたち。


セイヤが「もしかしてゴールドクロスのオブジェ形態?」

「ってかさっき双子座でも、こんなのあったよね」とヒョウガ。

「つまり、何かのトラップ・・・」とシリュー。

「持ち帰っていいのよね?」

そうニケが言うと、エンリが「駄目だよ。ってか懲りろ!」

リラが「まあ、動かないようですし、スルーで・・・・」

するとシュンが「動いてますけど」



ケンタウロスの二本の腕がゆっくり動き、その横にある五本の矢を置いた矢台に右手を伸ばす。

一本の矢を摘んで左手に持った弓につがえる。

「あれを射る気かよ」

そうイッキが言うと、セイヤが「こっち向いてないけど。あれだと、あさっての方向に飛ぶだけだぞ」

するとリラが言った。

「いや、超巨大戦艦の砲弾は自分で方向を変えましたよね?」

エンリは緊張に満ちた声で「気をつけろ!」



オブジェは矢を放つ。

そして、放たれた矢は曲線を描いてエンリたちの所へ・・・。

「ペガサス流星拳!」

矢は、これを迎え撃つセイヤの必殺技で破壊されたが、彼の右の拳もダメージを受けた。


オブジェは再び矢台に右手を伸ばし、二本目の矢を摘んで弓につがえた。

「させるか! ダイヤモンドダスト!」

ヒョウガはオブジェを破壊しようと必殺技を打ち出すが、ケンタウロスの首が動いてヒョウガへ向き、口から炎を吐く。

そしてヒョウガの拳が放つ凍気を相殺した。


エンリはその矢をつがえ引き絞る様子を見て、思考を巡らせた。

そして彼は脳内で呟く。

(どこかで見た動きなんだが・・・。そうだ。ムラマサが持ってた弓射童子だ)

エンリは言った。

「これは機械で動く人形だ。また来るぞ。だが、あのオブジェは本体じゃ無い。次を凌いだら残りの矢を奪うんだ」

「けどあの炎は?」

そうシュンが言うと、エンリは「あれは自動防衛機能だ」

「だったら俺が牽制します」とヒョウガ。


ケンタウロスが二本目の矢を放つ。

「廬山昇龍覇!」

シリューの拳が曲線を描いて飛んできた矢を粉砕し、彼の右手はダメージを受けた。


ケンタウロスが三本目の矢に右手を伸ばした時、再びヒョウガがダイヤモンドダストを放ち、ケンタウロスの口から吐く炎と衝突。

「今だ!」

シュンが放った鎖が、ケンタウロスの右手が伸びた先にある矢台へと延び、そこに残っていた三本の矢を絡め取る。

ケンタウロスの右手は空の矢台の所でつまむ動作をし、左手の弓につがえる動作を繰り返す。



空中でピンと張ったシュンの鎖の先端には、絡め取った三本の矢。

「どうした?」

そうイッキが言うと、シュンは鎖を掴んで綱引きしながら「抵抗しています」


エンリは、シュンの鎖に絡め取られたまま空中で抵抗を続ける三本の矢に問う。

「お前がここの階層主か?」

三本の矢は「そうだ。我らはケンタウロスアロー五兄弟。二人の兄はお前たちと相打ちとなったが、まだ三人居る。お前たちを先には行かせない」

「こいつ・・・」


シュンと綱引きを演じている矢へと、イッキはつかつかと歩いて、その矢の束を掴んだ。

イッキの手の中で、三本の矢は言った。

「俺たちを折るなど不可能だぞ。矢は一本ならたやすく折れる。だが、三本束になれば、けして折れない。兄弟三人が力を合わせればどんな敵にも負けないという、神聖な故事だ。諦めて・・・って、おい!」


イッキは束ねた三本の矢を両手に持って、そのままへし折った。

そして「三本あるから・・・ってんなら、普通の三倍の力をかければいいだけだろうが。俺たちは常人を遥かに超えた力で神の敵と戦う聖闘士だ」



空になった矢台から矢をとって弓につがえて撃つ動作を五回繰り返し、ケンタウロスのオブジェはようやく動きを止めた。

ニケがその動きを止めた黄金のオブジェを見ると、嬉々とした声で「それじゃ、貰って帰るとしますか」

「駄目だってば」と言って、エンリはニケを止めようとするが・・・。


オブジェをお持ち帰りしようとしたニケに向けてケンタウロスの首が動くと、彼女の顔面にケンタウロスは炎を吐いた。

チリチリに焦げてアフロ化した髪と、真っ黒に煤けたニケの顔。

「ゲホ・・・・・」


エンリはあきれ声で「だから言わんこっちゃ無い。リラ、火傷の回復を頼む」

セイヤとシリューも「俺たちの拳も頼みます」

リラが三人に回復魔法を施すと、彼等は次の階層へと進んだ。

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