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人魚姫とお魚王子  作者: 只野透四郎
454/553

第454話 クイズなラスボス

難民たちを保護するアテナ修道会に協力するエンリ王子たちは、アテナに従う聖闘士たちとともに、結界に守られたサンクチュアリを目指し、行く手を遮るオッタマ軍と戦う。



暗殺教団のアサシンたちを倒し、エンリたちは森を抜けた。

「向うに見えるのがオリンポスの山岳です」

そう言って遠くに見えた山影を指すアテナに、タルタは「すんなり辿り着けるかなぁ」

エンリも「あの森に敵が居たという事は、我々の目的地を知っているという事だ。もう一戦くらい覚悟しておくべきだろうな」


その夜、山岳の見える草原で野営する。

そして日の出とともに進軍開始。



オリンポスの麓に近付くと、モンスターの大群が待ち構えていた。

多数のオーガと、その足元に目が赤く光る無数の人型の魔物が刃物を持って構える。

その足元に、額に角の生えた兎の群れ。


「あの人型はグールだな」

そうエンリが言うと、アーサーは「兎はアルミラージですね」

「すばしっこそう」

そう言ってリラが表情を硬くすると、ファフが「あんな奴、ファフが丸飲みにしてあげるね」

「待てファフ」

そう言ってエンリが止める間も無く、ファフはドラゴン化し、翼を広げて空を飛び、モンスター軍団に向けて突進。



エンリは慌てて叫んだ。

「あいつを止めろ。あの兎は危険だ」

「どう危険なの?」

そうリンナが言うと、エンリは「奴は硫黄を食べる。腹の中は危険物でいっぱいだ」

「それじゃ・・・・・・」

「自爆攻撃だよ」とエンリ。

「それって、あのイ✕〇ム原理主義の得意技・・・・・」とタルタが表情を曇らせる。

エンリは「飲み込んだりしたら、腹の中でドカンだ」



タルタは鋼鉄砲弾で宙を飛んで、敵の真っただ中に飛び込む。

ファフが魔物たちの中に降り立って口を開けると、多数の兎が一斉にファフの口目掛けて跳んだ。

タルタは兎たちより一瞬早く、ファフの口に目掛けて両手両足を広げて飛び込んで鉄化。ファフの口に飛び込んだタルタの両手両足がその牙にひっかかる。

ファフの口の中に飛び込んだ兎たちは、タルタの鋼鉄の体に跳ね返され、その鼻先で立て続けに爆発した。


ファフはダメージを受け、撤退して人の姿に戻る。

「主様、鼻が痛い」

エンリは困り顔で「誰か回復してやってくれ」

「どーすんだ、あれ」とエンリの部下たちも困り顔。


その時、セイヤが言った。

「要するに、爆風より早い速度で離脱すればいいんですよね?」

「そんな無茶な」

そうアーサーが言うと、セイヤは「音の速さで動ける聖闘士なら簡単だ」



五人の聖闘士は敵のど真ん中に飛び込み、拳でグールたちをなぎ倒す。

兎たちが飛び掛かり、自爆した瞬間、彼等は高速で離脱。

「無茶苦茶な奴らだな。あれじゃ体力がもたないぞ」

そうジロキチが言うと、エンリは「とにかく俺たちも参加するぞ」


エンリは炎の巨人剣を伸ばしてグールと兎の群れごと薙ぎ払う。

シャナも灼熱の剣を振るい、その衝撃波がモンスターたちを焼いた。

ジロキチが、マゼランが、チャンダが、若狭が、剣を振るってグールたちを薙ぎ払う。

そんな彼等に多数の兎たちが飛び掛かる。

「まずい。切った瞬間に爆発するぞ」

そうエンリが叫んだ時、ライナが風魔法で兎たちを吹き飛ばした。飛ばされながら自爆する兎たち。

「これならいける」


本格的な反撃が始った。

グールを剣で倒し、兎を風魔法で吹き飛ばす。

オーガたちはアラストールが空中から距離をとりつつ雷攻撃。

その頭上でヤマトが機械背嚢の砲で砲撃。

タルタが鋼鉄砲弾でオーガを次々に仕留める。

回復を終えたファフが翼で兎たちを吹き飛ばし、炎を吐いてグールたちを焼く。そしてオーガを次々に殴り倒す。



魔物たちが一掃された敵陣に残ったのは、巨大な四つ足の魔物。

獅子の体に人間の頭。背中に鷲の翼で尻尾に蛇の頭。

「スフィンクスですね」

そう警戒顔でアテナが言うと、セイヤたちは「こんな奴、囲んで袋叩きだ」

「そううまくいけばいいんだが・・・」と言って身構えるエンリ。



そんな彼等に、スフィンクスは重々しい声で言った。

「我が問いに応えよ」

いきなりその場に居た全員の体に負荷がかかる。

「何だこれは。体が重い」

そう呟く聖闘士たちに、アーサーは「相手をルールで呪縛するスフィンクスのスキルですよ」


そしてスフィンクスは発問した。

「朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足。これは何か」


残念な空気が漂う中、エンリは答えた。

「それは人間ですよね。始めは赤ん坊で這って歩くから四本足。成長すると立ち上がって二本足。老いると杖をつくから三本足」

拍子抜けな声でヒョゥガが「余裕だな」

セイヤも「古すぎるクイズで数千年前にネタバレ済み」

イッキも「チョロ過ぎだな、おい!」

「では第二問」とスフィンクス。

「・・・」


残念な空気の中、アテナは「敵を甘く見てはいけません」

聖闘士たちは声を揃えて「ごめんなさい」



そしてスフィンクスは発問した。

「世界一長い名前は何か」


ジロキチが「"じゅげむ"だよね」

「ざんね・・・」

そう言いかけたスフィンクスの言葉を遮り、エンリは「いや、正解は"長井さん"だ」

スフィンクスは残念そうな声で「第三問」



スフィンクスは発問した。

「ローマ帝国の成立は何時か」


セイヤが「紀元前509年」

「それ帝国じゃ無くて共和国な」とイッキが反論。

「だったらオクタヴィアヌスの尊厳者称号だろ」とシリュー。

シュンが「世襲制が固まったのはその次では?」

ヒョゥガが「カエサルで既に皇帝なんじゃ・・・」


そんな彼等を見てスフィンクスはほくそ笑んだ。

(歴史上の出来事なんて解釈次第でどうとでも言える。"あれは厩戸王子だから聖徳太子なんて居なかった"と言い張るのと同じさ。せいぜい悩むが良い。苦しむが良い )


その時、ファフが答えた。

「"昔"だよね」

スフィンクスは残念そうな声で「・・・・・・・第四問」

エンリたちはあきれ声で「いいのかよ」



スフィンクスは発問した。

「車田正美のデビュー作は何か」


「簡単でござる。セイントせ・・・」

そう言いかけたムラマサの言葉を遮って、エンリは「違うぞ。"スケ番あらし"だ。代表作とデビュー作は違う」

スフィンクスは残念そうな声で「第五問」



スフィンクスは発問した。

「世界三大料理といえばフランス料理、中華料理とあと一つは」


マゼランが「トルコ料理」

「残念。正解は・・・」

そう言いかけたスフィンクスの言葉をエンリは遮って「まさかエジプト料理とか言わないよね?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「居るんだよねぇ。前の二つに比べて知られてないからって、地元の料理を無理に押し込もうとする、残念な食文化自慢」

エンリがそう言うと、チャンダが「そーいやどこぞの半島国が、隣国の料理が世界遺産になったのを羨んで、だけど自慢できるのが漬物しか無いって事で、それをやたらアピールしたら、お人好しな隣国が買ってくれたんだが、調子に乗った半島国が、"あの隣国は漬物宗主国の地位を奪おうとしている"とか言い出して・・・」

聖闘士たちも口々に「ああはなりたくないよねぇ」

スフィンクスは顔を真っ赤にして「・・・・・・第六問」



スフィンクスは発問した。

「上は大水下は大火事、これは何か」


リラが「お風呂ですよね」

「ざんね・・・」と言いかけたスフィンクスの言葉を遮って、ジロキチが言った。

「いや、正確に言うべきだ。風呂にだっていろいろある。下から火を焚くのは五右衛門風呂」

「ざんね・・・」と言いかけたスフィンクスの言葉を遮って、今度はエンリが言った。

「それは違うぞ。火事とは火の事故と書いて火事と読む。湯を沸かすため、秩序立った炎によって薪を燃すのを火事とは言わない」


「厳密過ぎだろ」

そう突っ込むタルタを無視して、エンリは「正解は"集中豪雨で河川が氾濫すると同時に起きた地下室火災"」

「いや、そんな偶然・・・・・」

そうヤンが物言いすると、エンリは「如何なる悪条件における事故にも対応して被災した命を救うレスキュー魂こそが救命のオレンジを着る資格」

セイヤが「問題の趣旨とずれてるような気がするんだが」

シリューも「ってかそういう他所の漫画の話はいらないと思う」


だが、スフィンクスは残念そうな声で「・・・・第七問」



エンリたちはスフィンクスの問いに次々に答えた。

そしてスフィンクスは発問した。

「では最終問題。アテナの下着の色は?」


セイヤが確信を込めて「白」

「では確認を・・・」とスフィンクス。

アテナはスフィンクスの後頭部を杖で思い切り叩き、モンスターは倒れた。

そして顔を真っ赤にして「セイヤ、何故解ったんですか?」

「清純派は白しか着ません」と真顔で答えるセイヤ。

アテナは残念そうに溜息をつくと「そういうのを清々しい顔で言わないで欲しいんですが」



残念な空気が漂う中、ファフはエンリの上着の裾を掴んで、言った。

「ねえねえ、ファフは熊さん柄なんだけど、清純派じゃ無いの?」

エンリは溜息をつくと「そういうのを自己申告するのを清純派とは言わない」

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