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人魚姫とお魚王子  作者: 只野透四郎
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第451話 難民の行軍

オッタマ帝国による弾圧を逃れて、教団組織の保護を受けたギリシャの村人たちを守る戦いに参加したエンリ王子。彼が率いるタルタ海賊団とフェリペ皇子のマゼラン海賊団が協力する教団の名は「アテナ修道会」

ギリシャ多神教の秩序神アテナの転生を名乗る少女に率いられた修道士たちの戦いの先頭に立つのは、彼等の中から選ばれた五人の聖闘士。

それぞれ、星座の力を宿すクロスと呼ばれる鎧の宝具を纏い、音の速さで戦って敵を倒すという。

彼等とエンリたちは、オッタマ軍の包囲を破って古代からの結界のあるサンクチュアリを目指す事になった。



アテナがオリンポスのサンクチュアリへの移動を発令した。

修道士たちが武器を執り、避難民たちの食料や衣類など必用な物資を荷車に積む。

そしてエンリたちも参加して作戦会議。


グリード商会の商館の会議室で地図を広げる。

アテナが放ったフクロウの使い魔たちが得た、オッタマ軍の動向を示す情報が報告される。

「敵はここを包囲すべく、三か所に陣をしいています。こちらの動きを察知した本隊が向かって来ています」

そう言って彼女は図上の四か所を示すと、エンリは本隊が侵攻するであろうルートを示した。

そして「このルートから来られると会戦は避けられそうに無いですね」


「だったら3隊と合流する前に中央突破ですね」とマゼラン。

「俺たちが先頭に立って血路を開きます」

そうセイヤが言うと、エンリは「楽観は禁物だぞ。恐らく本隊には魔導士が居る」

シリューが「敵が策を弄する前に速攻で突っ切るさ」

「それより布陣してる三隊をどうする?」

そうエンリが言うと、ジロキチが敵の三つの包囲陣の一つを示して「衝突するのはこれですね。戦端が開けば他の二隊も移動するでしょう」

エンリはファフとシャナに視線を向けると「ファフとアラストール、足止めをやってくれるか」


「飛行機械は使いますよね?」

そうヤンが言うと、タルタが「使うにしても、武器が大型銃一丁ではなぁ」

「私が一緒に乗って、この砲で攻撃します」

そう申し出た、両側に砲を装着した機械背嚢を背負ったヤマト。

エンリは「頼む。それとヤマトさんには、上空から敵の位置を把握してくれ。それでヤマト号からの砲撃を頼みたい。ここまでならギリギリ届く筈だ」

「本隊との戦場には届かないと思うわよ」

そうニケが言うと、エンリは「それはまた考えるさ」

「それと、中央突破となると、敵の追撃を防ぐ足止めが必要だな」

そうマーモが言うと、アーサーが「それはスケルトン軍団を使いましょう」



庇護民たちの移動の準備が整った。

女や子供、老人たちも含めて、全員が徒歩。あのニアもその中に居る。

そして、当面の食料や生活道具を積んだ荷車。

修道士たちは彼等を守るための武器を持つ。

庇護民たちも武器を手にしている。但し、棒の先を尖らせただけの簡単な槍ではあるが・・・。


人々の前に少女の姿のアテナが姿を現した。

「私は女神の転生としてこの世に生を受けました。ギリシャの民はオリンポスの神々の庇護を受け、武力ではなく、商業と学問を以て世界を切り開き、時代を前に進めました。そして西の異民族ローマに政治を奪われ、東の異民族の神を受け入れた。けれども、ギリシャの民がギリシャの神を見捨てても、神は民を見捨てない。この身に宿す女神の名に賭けて、皆さんを生きて聖域に送り届ける事を約束します。では進軍!」


集団の先頭に立って移動を開始するエンリたちは、歩きながら、先ほどのアテナの演説について、あれこれ・・・。

「あれってカルトなのかな?」

そうアーサーが思案顔で言うと、エンリは言った。

「神が庇護するとか救うとか言っても、それが具体的に何を指すか。下手するとポアとか言って殺すのが肉体からの解放だとか、勝手に罪を犯した国とか決め付けて、騙して全財産巻き上げて結婚相手まで教祖が押し付けるとか・・・なんてのもあるからなぁ」

「あのアテナは違うようだけどね」とタルタ。



前方に敵陣が姿を現した。

「ファフ、アラストール。ドラゴンで一撃かけてやれ。切り込んで突き崩したら、他の二隊の所をそれぞれ襲撃して足止めだ」

そうエンリが号令し、ファフがドラゴンに変身。シャナのペンダントもドラゴン化する。

二体のドラゴンがオッタマの陣地に突撃し、炎を吐き尻尾を振るって大暴れ。


ヤマトを乗せたヤンの飛行機械が発進した。

ヤマトの機械背嚢の砲が火を噴き、ヤマト号から飛来した砲弾が敵陣で炸裂する。


混乱した敵陣にセイヤら五人の聖闘士が突入し、銃弾を掻い潜って、五人の拳が敵兵を薙ぎ倒す。

更に、マゼランら三人の従者、ジロキチと妖刀を抜いた若狭、部分鉄化のタルタ、そしてカルロとタマが、陣形を立て直そうとする敵兵たちに襲いかかって混乱に拍車をかけた。

ファフとアラストールは他の二つの陣の襲撃。


避難民たちも移動を開始し、その周囲にライナたち三人が防御魔法を展開。

炎の巨人剣を振るうエンリと仮面をかぶったフェリペを頭上に乗せたリラのウォータードラゴンを先頭に、避難民たちの行く手を切り開く。

立ち塞がるオッタマ兵たちを仮面分身による無数の鉄の仮面が宙を飛んで襲い、エンリの巨人剣が薙ぎ払い、リラの氷の散弾が動きを封じる。

避難民たちの隊列の右側にアーサーが召喚したスケルトン軍団が、左側に武装した修道士たちと、銃を持ったニケとマーモが、避難民たちへの攻撃を防ぐ盾となって、彼等は戦場を抜けた。



戦場を離れるエンリたちを敵が背後から追撃する様子も無く、他の二隊を襲っていたファフとアラストールのドラゴンも帰還する。

隊を率いて先頭を行く司令部では、緊張から解き放たれた空気が戻った。

「うまくいきましたね」

そうリラが言うと、フクロウの使い魔との通信を続けていたアテナは「安心するのは早いですよ。この先に敵の本隊が来ます」

ニケが「どうせ、あれを大きくしただけじゃないの?」


上空を見上げていたアーサーが「そうもいかないですね。どうやら奴ら、のっけから魔導士を使って来ますよ」

そう言ってアーサーが指した上空には、ファイヤーレインの巨大な魔法陣。

ライナたちがイージスの防御魔法を展開してこれを防ぐ。



前方から敵の先鋒隊。

オッタマ兵の隊列とともに多数のゴーレムやオーガやサイクロプス。上空にはグリフォンとワイバーン。

「兵団と魔物の組み合わせは厄介だな」

そうエンリが言うと、セイヤが「魔物から片付けてやりますよ」

「けど、ファフとアラストールは空中戦に係り切りになるぞ」とエンリ。

「だったらこれね」

そう言ってニケは、小型の炸裂弾のたくさん入った箱を出した。

「催涙弾よ。効いてる間は敵兵は戦えないわ。あなた達はこれを付けなさい」

ニケは五つの防毒マスクを聖闘士たちに渡す。



二頭のドラゴンが飛び立ち、敵の翼を持つ魔獣の群れに突入。

ニケを乗せたヤンの飛行機械が飛び立ち、ゴーレムたちを引き連れて地上を進む先鋒隊の頭上に催涙弾を撒いた。

オッタマ兵たちは目と口を押え、悲鳴を上げた。

「何だこれは。目が痛い」

「クシャミが止まらん」

「ハクション、ハクション」


敵兵たちが戦闘不能に陥る中、防毒マスクをつけて敵陣に突入する五人は、ゴーレムたちに必殺技を繰り出して次々に破壊。

タルタの鋼鉄砲弾が一体のゴーレムの胴体を貫き、着地した所から次のゴーレムへ・・・。

リラのウォータードラゴンの尻尾がゴーレムたちを薙ぎ倒す。

仮面をかぶったフェリペの仮面分身で出現した多数の仮面を縦横に並べた上にエンリが乗って、炎の巨人剣で次々に魔物たちを倒す。

シャナの灼熱の剣の衝撃波が、ヤマトの機械背嚢の砲が、次々に敵の魔物たちを倒す。

地上で無力化状態の敵兵はアーサーのスケルトン軍団が排除した。

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