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人魚姫とお魚王子  作者: 只野透四郎
424/553

第424話 孤島で選挙

ポルタ大学のサバイバル合宿に向かう船が難破し、フェリペ皇子たち105人の学生が漂流した孤島で、相変わらず騒ぎは続いた。

特に多いのは、海賊学部のマージョと人文学部のロゼとの争いで、魔法学部のアメリアが介入はすると、双方から罵倒されて争いに加わり、ますます騒ぎを大きくする始末。



その日も三つどもえの騒動。

三人を取り巻く野次馬たちも、その口汚い罵倒の応酬に頭を抱える。

「どーすんだ、あれ」

そう、困り顔で魔法学部生の一人が言うと、人文学部生の一人が「だれか止めてくれる奴がいればなぁ」

「巻き込まれるだけだぞ」と先ほどの魔法学部生。


海賊学部生の一人が「この島のリーダーを決めたらどうかな?」

「だったら王様の孫が居るじゃん」と人文学部生の別の一人が言い出す。

「六歳の子供だぞ」と魔法学部の別の学生が・・・。

先ほどの人文学部生が「フランス王だって今は六歳児だよ」

「あれは父の先代王の傀儡だろ」と海賊学部生の一人が・・・。


するとフェリペ皇子が「彼は僕の友達で、僕は父上のヒーローの座を継ぐロキ仮面だ」

「けど、闇のヒーローって、正義の味方に対抗するライバルだよね?」と海賊学部の別の学生。

魔法学部の学生の一人が「悪の美学って奴?」

人文学部の学生の一人が「闇武士道みたいなもんか?」

「それはさすがにマイナー過ぎ」と、先ほどの海賊学部生。

「けどアンチヒーロー、かっこいいじゃん」と、海賊学部の男子たちが口々に・・・。


すると・・・・・。

「何を隠そう、このマージョ海賊団の先祖こそ・・・・」

何時の間にか野次馬たちの井戸端会議に加わっていたマージョがそう言い、同じく、何時の間にか野次馬たちの井戸端会議に加わっていたロゼが「ただのやられ役は黙ってなさい!」

「誰がやられ役よ!」とマージョが言い返す。



言い争いの再発の流れを断ち切ろうと、マゼランが強引に話を戻した。

「とにかく、こんなので無駄なエネルギーの浪費とか、さすがに駄目だろ。さっさとこの島のリーダーを決めようよ」

すると人文学部の男子の一人が「なら、王様の孫のフェリペ皇子。ここはヒーローの出番だよね? で、本人は子供なので、傀儡という事で陰の実力者としてマゼラン」

「いや、そういうのは勘弁して」と、面倒な役目を拒否るマゼラン。

「ってか、人文学部のトップは私なんだけど」

そう自己アピールするロゼに、マージョは「あんたの先祖はマージョ海賊団の子分でしょーが!」


その場に居る全員、唖然顔で「そうなの?」

ロゼは「無能な主を見限って実力で公爵に上り詰めたのよ」

「あいつ等ってそんな因縁が・・・」

そう、口々に言う学生たちを他所に、マージョはロゼに言った。

「あんたの先祖は赤鼻出っ歯のブサイクオヤジよね?」


ロゼは「その赤鼻出っ歯が発明するビックリドッキリ機械で何とか主役に対抗出来てた悪玉トリオのボスが、その子分に見放された結果がこのザマって訳よね? 才能ある部下の上に胡坐をかいて落ちぶれた事に反省は無いのかしら?」とマージョに言い返す。

マージョは「その才能はあんたの先祖のものであって、あんたのものではないわよね?」

アメリアが「そういうくだらない海賊学部と人文学部の争いには、魔法学部の私が間に立って・・・」

「くだらない争いって何よ!」と口を尖らせて声を揃えるマージョとロゼ。



そんな彼女たちをうんざり顔で横目に見ながら、魔法学部の学生の一人が言った。

「そもそもこれ、学部どうしというより、あの三人の争いだよね?」

人文学部の学生の一人も「そうだよね。俺たち本当はズブズブ仲良しな同期のサクラ」

別の魔法学部の学生も「盛り掛け蕎麦を食べながらお花見する仲だもんね」

海賊学部の学生の一人が「一緒にマスコミのバッシングと戦おう。アガペーとか言ってる坊主はただの宗教だ」

「何か違うような気がするんだが・・・」と、先ほどの魔法学部生。

「ガとぺが逆で濁音が撥音になってないか?」と、先ほどの人文学部生。

別の海賊学部生の一人が「そのうち自作銃を持ったテロリストな鉄砲玉がア〇シ✕連呼に流されて・・・」


「そういう危ない話は止そう。ここは貴族の集まったエレガントな人文学部だ」

そう人文学部の学生の一人が言うと、海賊学部の学生たちは「お上品なお坊ちゃんより庶民の実力だろ」

「自分が最強だと思ってるだけの下品なヒャッハーだよね?」と人文学部の学生たちが言い返す。

海賊学部の学生たちは「母親の腹から出て来る以外に何の苦労もしていない無能が!」

「言ってはならん事を!」と感情的になる人文学部側。


そんな他学部の言い争いを見て、魔法学部の学生たちはあきれ顔で「結局学部どうしで争ってるし」

「なので魔法学部の私が間に立って」

そう言って便乗しようとするアメリアを見て、ジョルドとドミンゴはあきれ顔で言った。

「ってか、三人ともトップだと思ってるのは自分と取り巻きだけだと思うよ」

賛同する魔法学部生たちに、アメリアの取り巻きの一人が「何でよ。クイーンがクラスを牛耳るのは学園ドラマのお約束よ」

もう一人の取り巻きも「怒らせると女子全員敵に回して、キモ連呼の標的になって生理用品が飛んで来るんだからね」



そんな中で、一人の人文学部の学生が言った。

「あのさ、こういう時って、共和主義理想論者が言ってる決め方ってあるよね?」

「確か選挙って・・・」と魔法学部の学生の一人も・・・。

「生徒会長ってのを決めるんだよね?」と海賊学部の学生の一人も・・・。

「どうやるんだ?」

そう誰かが言うと、全員、首を傾げて「さあ・・・・・」

するとジルが「異世界転生者なら知ってるかも」



みんなで魔剣に生徒会長選挙について聞きに行った。

魔剣は解説する。

「顔と名前を書いたポスターを貼って、たすきをかけて街頭に立って"お願いします"を連呼するんだよ」

「本人が?」

そうジョルドが確認すると、魔剣は「ウグイス嬢という女性が代行する場合もあるよ。それで選挙カーという荷車に乗って町を練り歩く。選挙パーティーとかいうのをやったりもするね」

「楽しそう」とお気楽な事を言う魔法学部の女子たち。

「最後に、晒し者台に立って施政方針演説ってのをやる」と魔剣。

「何のために?」

そうチャンダが問うと、魔剣は「自分に投票して貰うためさ。紙を配って支持する人の名前を書く。それで一番多い人が生徒会長だ」



「だったら先ずポスターだよね」と三人の自称トップ。

彼女たちの取り巻きたちが「それに選挙カーに選挙パーティに・・・」

そう言って一部の女子たちが盛り上がる中、魔法学部の男子たちは言った。

「ちょっと待て。候補者はどうする?」


「もちろんこのマージョが」「ロゼが」「アメリアが」

そう自己アピールする三人の自称トップを他所に、ジルが「誰も居ないのかよ」

「ってか、どうやって候補者を出すんだ?」

そうジョルドが問うと、魔剣は「やる気のある奴が立候補するのさ」

「そんな奴居るのかよ」と人文学部の男子たちも・・・。


「だからこのマージョが」「ロゼが」「アメリアが」

そう自己アピールする三人の自称トップを他所に、チャンダが「立候補者が居ないと生徒会長選挙は成り立たないぞ」

「普通は教師が適当に選んで、無理やり立候補させるんだけどね」と魔剣が解説。


「このマージョ・・・」「ロゼ・・・」「アメリア・・・」

そう自己アピールする三人の自称トップを他所に、ビスコが「誰か立候補しろよ。女の子にモテるぞ」

「そんなので立候補って、コンド―って人だけだろ」

そう海賊学部の学生の一人が言うと、別の学生が「けど結局、あの話でまともに彼女作って結婚したのって、彼だけじゃなかった?」



自称トップの三人、憤懣顔で「無視しないでよ!」

マゼラン、困り顔で「いや、聞いてるけどね・・・・・」

他の男子たちも口を揃えて「こいつ等がリーダーとか、さすがになぁ」


「マゼラン、立候補しろよ」

そう人文学部の学生たちが言うと、マゼランは即座に「嫌だよ」と断固拒否。

「ビスコがやれよ」

そうマゼランに言われて、ビスコも即座に「勘弁してくれ」

「ドニファンは? モテるぞ」

そうビスコに言われて、ドニファンは「そういう肩書に頼るのは色事師のポリシーに反する」


「それなりにプライド持ってナンパやってる訳かぁ」

そう男子学生たちが"見直した"といった口調で言うと、ドニファンは「そういう立場になるとパパラッチに追い回されるだろ」

「俺たちの感動返せ」とあきれ顔で言う男子学生たち。

そんな彼等を他所に、ドニファンが「ちょっと粉かけただけでセクハラとか」と続ける。

「だよなぁ」と男子学生たち。



その時、フェリペが言った。

「みんな、大丈夫だよ。母上が言ってた。王様なんて飾り物だって」

学生たちは「陰謀の女神がそれ言っても全然説得力が無いぞ」

フェリペは更に「ジロキチさんが言ってた。ジパング的経営ってのがあって、社長はただのお神輿で会社を動かすのはヒラも含めたみんなだって」

「けどそれって、押し売り貿易外圧でジパング企業が犯罪的にイジメ潰された後、責任転嫁の生贄にされて否定されて、グローバルスタンダードなCEOのリーダーシップとかいうのにチェンジしろとか・・・」

そう海賊学部の生徒の一人が言うと、別の海賊学部生が「それで入って来たゴーンとかいう奴は結局、追い出されたけどね」


すると魔法学部の生徒の一人が言った。

「けどポルタは商人が持ちたる国なんだよね?」

「そうだった。誰がトップになろうと、この島を動かすのは俺たちみんなだ。だからお魚王子でも王太子が務まる」

そう言って盛り上がる学生たちを見て、フェリペは「マゼラン、僕、こいつ等嫌いだ」


そんなフェリペを他所にわいわいやっている学生たちを不満顔で見る、三人の自称トップ。

「あのさ、これ、もしかして、いい話でまとめたとか思ってないよね? 私たちボロクソに言われて終わるんだけど」

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