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人魚姫とお魚王子  作者: 只野透四郎
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第213話 海空の死闘

ポルコ海賊団の本拠地に乗り込み、ヴェスヴィオ公に抗う彼等の戦いに加わったエンリ王子たち。

ポルタ諜報局から得た敵の情報を元に作戦を立てる中、カルロとポルコの決闘の再戦の準備も整う。

そして再戦を開始しようとした時、彼等を襲うヴェスヴィオ公の艦隊が発進したとの知らせが入った。



決闘を中止し、直ちにポルコ海賊団は戦闘体勢に・・・。

スパルティカたち反乱奴隷軍団も集結して港と街の防衛体勢をとる。

エンリたちのタルタ号も出港した。

アーサーは鴎の使い魔で上空を、リラは魚の使い魔で海中に警戒網を張った。

やがて敵艦隊の進路を捉える。


海図を広げて敵艦隊のルートを書き込み、ニケが会敵地点を予測する

「島影からの襲撃を警戒して、海岸から離れた所に進路をとっているわね」

「巨大艦は?」とエンリ。

リラが「遅れて来るそうです」と・・・。

「普通に動けば小回りの利かない足引っ張り要員ですからね」とアーサー。



やがて、水平線上に敵艦隊が姿を見せた。

そして戦闘が始まる。


ポルコ側は小舟を多数繋いだ集成艦を前面に出す。そして大砲の撃ち合い。

敵の前面に異形の船が出て来る。船の船首に長い角が付いている。

エンリがそれを見て「あれで体当たりする気かよ」

ポルコは「近づいた所を大砲で一撃かけてやるさ」


その時、タルタがそれに気付いて、言った。

「あの船、帆柱が倒れてないか?」

帆を張ったままの帆柱が後ろに傾き、船の背後を覆うような形となる。


角のついた船が一斉に前進を開始すると、どんどん速度を増す。

「何か、やたら早くないか?」とエンリが慌て顔になる。

角だけでなく、艦の前部を鉄製防護板で覆う敵船が、砲弾が降り注ぐ中を高速で突入して来る。

「あいつ、風魔法で動いてるぞ。背後に風の魔道具を装備して風を噴出して推力にしてやがる」とアーサーが言った。

「そんなので長距離進めるのかよ」とタルタ。

エンリが「だから帆を持ってるんだよ。戦場で高速機動が必要な所だけ帆柱を倒して風の抵抗を躱してやがる。来るぞ」


前方に出ていた筏もどきの集成艦に体当たりする角付の敵船。密集配列で固定されていた集成艦の小型船を一気に破壊する。



その背後の通常艦の前で旋回し距離をとると、帆を立てて移動し隊列を組みなおす。

エンリが「また来るぞ。ファフ、あいつに勝てるか?」

「ドラゴンの鱗なら大丈夫だよ」とファフ。

「私もウォータードラゴンで出ます」とリラ。

「俺の鋼鉄砲弾でぶち破ってやる」とタルタ。


そしてポルコが言った。

「後部の風の魔道具の推力機があるなら、飛行機械隊の銃撃で撃ち抜けばいい。いくら早くても空を飛ぶ我々には勝てない」

ポルコの赤い飛行機械がタルタ号の甲板から発進。彼の部下の飛行機械隊も海賊船団の甲板から発進。


横一列で高速で突進してくる角付きの敵船。

側面からファフのドラゴンが突入し、次々に薙ぎ払う。

突進して来る船の前面を覆う防護版を、タルタの鋼鉄砲弾がぶち破る。

海中から頭をもたげたウォータードラゴンが船底を持ち上げ転覆させる。


そして、複数の飛行機械が各敵船の背後から、敵船上からの銃撃をものともせずに高速で接近。

風を噴出する魔道具を銃撃する。推進力を失った敵船は味方艦の砲撃の餌食となった。

角付の突撃船を失っても、なお数十隻の適艦船からの砲撃。



その時、ゴイセンの超巨大艦が向かって来るのをリラの魚の使い魔が探知。


エンリは通信魔道具でポルコに連絡した。

「あの長距離砲の射程に入る前に撃破する必要があるぞ」

ポルコの指揮の元、十数基の飛行機械が、敵艦隊背後の超巨大艦の居る海域に向かう。

カルロもジーナから貰った機体でこれに参加した。

彼等をサポートするための潜水艦も発進した。


飛行機械隊は海に浮かぶ巨大な船を発見。

「あれがゴイセンの巨大艦かよ」と、その大きさに唖然とするポルコ。

カルロが「中軸線に沿うパイプみたいなのが固定砲です」



飛行機械は高度を上げ、敵からの攻撃の届かない上空から、戦艦の真上へ急降下による突入。

シールドに接近した所で転移魔道具を使って爆雷をシールド内に転移し、艦の側面へと旋回し離脱する、という作戦だ。


超巨大戦艦が上空からの攻撃に対応して迎撃態勢に入る。

甲板上に居る多数の兵がアームの上に乗った大型銃から一斉に対空射撃。

魔導兵による光の矢や雷の矢を使った迎撃がこれに加わる。

援護を試みようと飛行機械から放った魔法攻撃は全てシールドに弾かれた。


「あれが防御シールドか」とポルコは呟く。

そして通信魔道具で味方機に号令した。

「あのギリギリまで接近しないと魔法転移できない。とにかく接近するだけ接近しろ」



急降下する飛行機械だが、あまり高速で突入すると転移後の旋回が間に合わず、シールドに激突して木っ端微塵だ。

ある程度接近した所で減速し、激しい銃撃の射線を必死に除けながらシールドまでの距離を詰める。

だが、減速すれば飛んで来る銃弾の的となり、シールド真近まで到達するのは困難だ。

次々に被弾して脱落する味方機。

爆雷を転移したものの、接近距離が足りず、シールドの外に転送されて爆発する。

そんな味方機を見てポルコは呟く。

「これでは駄目だ」


ポルコは数基の仲間とともに、再度の突入を試みる。

赤く塗装されたポルコ機の急降下を見てカルロは呟いた。

「あいつ減速して無いじゃないか。死ぬ気かよ」


軌道を調整し銃弾を回避しつつ高速で突入するポルコ機は何発もの銃弾を喰らう。味方機が次々に被弾して脱落する。

そんな中でポルコ機は突入を続け、爆雷を転送。そして旋回する時、機体はシールドに触れた。

激しい衝撃を受けて破壊された機体から放り出され、宙を舞うポルコの体。


彼の脳裏に様々な記憶が過る。

飛行機械の部品を組み込むジーナを眺めるポルコ。

試作した飛行機械で初めて空を飛んだポルコ。

ジーナの歌を聞きながら仲間と酒を酌み交わすポルコ。

「楽しかったな」と彼が呟いた時、斜め上方から叫び声を上げて突入して来るカルロの声を聞いた。

「ポルコーーーーーーーーー!」

高速で飛来した飛行機械から手が伸び、ポルコの右手を掴んで海上へ離脱。



彼の体を機内に引っ張り込むと、カルロは「無茶しやがって」

「どうなった?」

そう問うポルコに、カルロは「やったよ」と一言。


超巨大戦艦のシールド内にポルコが放り込んだ爆雷が、超長距離砲弾装填機の真上で爆発し、積んであった砲弾用の火薬に引火し誘爆。

戦艦が轟音を上げて爆発を繰り返しているのを確認し、傷ついたポルコを乗せたカルロ機は帰還の途へ。

味方の飛行機械は殆ど飛行不能となり、潜水艦に収容された。

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