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人魚姫とお魚王子  作者: 只野透四郎
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第207話 航海士の幼馴染

オランダに対抗するポルタ東インド会社設立がうまくいかない中、試験的に始まった事業の資金を、ニケが持ち逃げした。そんな中でイタリアのポコペン公爵から、武装集団への対策を求められたエンリは、イタリアにニケが居る可能性があると考え、この依頼を受けた。



エンリは宰相の追及をまいて、タルタ海賊団は、ポコペン公爵家が派遣した船とともにイタリアに向かう。

ニケの代わりに公爵家から来た航海士のエドが舵を握る。

海の上でエンリはエドに、ニケについて尋ねる。

「コソ泥ニケとは幼馴染ですんで」とエドは答える。

「もしかして仲良かった?」

そう問うエンリに、エドは「まあ・・・それなりに」



炊事場でその話題が出る。


「幼馴染って、アーサーとマーリンさんみたいな?」と、大鍋で味付けをしながらカルロが言う。

調理の手伝いで魚を捌きながら、若狭が「初恋の相手だったりして」

「それだったらコソ泥とか言わないだろ」とエンリ王子。

アーサーが「いや、恋愛感情ってのは複雑だからな」

「好きの拗れが女性不信に発展した人が言うと、説得力ありますね」とカルロ。

「放っとけ」と言ってアーサーは口を尖らす。


エンリは「止めておけ。下手に触れると古傷に当たるぞ」

「けど、他人の恋バナくらい盛り上がるものは無いですよね」とカルロ。

「そりゃ女子会の発想」とアーサー。

ファフが「興味ないの?」

アーサーが「そういう訳では無いけど」



その時、エドが調理場に来た。

何やら盛り上がっていた雰囲気を感じて「何の話ですか?」

「ななな何でもない」と仲間たちは口を揃える。

するとファフが「あのね、エドさんってニケさんの子供の時の彼氏?」

「お前なぁ」とエンリはファフにあきれ顔で・・・。


エドは言った。

「それはぜーーーーーーーーーーーーったいに無いです」

アーサーが「ああいう人だから色々痛い目に遭ってるだろ」

「そりゃもうあんな事やこんな事」とエドは残念顔で・・・。

するとファフが「アーサーとマーリンさんもそうだったんじゃ」

「あ・・・」


「ってか具体的に何があったの?」とエンリが問う。

エドは語った。

「公爵様の大好きなお菓子を買い出しに行って、途中で犬に追いかけられて落として駄目にしたからとウソ泣きされて、小遣いを騙し盗られた」

「やりそう」と仲間たち。

「他には?」

そうエンリが問うと、エドは「公爵様の弁当を届けに行って途中で犬に追いかけられて落として駄目にしたからとウソ泣きされて、小遣いを騙し盗られた」

アーサーがあきれ顔で「さっきと同じような話なんだが・・・」

「それから、公爵様の・・・」

そう言いかけたエドに、エンリは「もういいよ。ってか、普通懲りるよね?」


すると、エドは言った。

「それにあいつ、もっと仲のいい男子が居たから。スパルティカっていう奴隷でね」

タマが「そいつ、今、どうしてるの?」

エドは辛そうな声で「転売先で殺されたんだ」



港に着いて、公爵邸へ行くエンリ王子たちタルタ海賊団。

ポコペン公爵に話を聞く。


「武装集団ってどんな奴らなんですか?」

そう問うエンリに、公爵は「海賊ですよ。かなりの数の兵隊を抱えて、山に立て籠もってましてね」

ジロキチは「いや、おかしいだろ。海賊なら普通、無人島とかでしょ」

「それが、空を飛ぶ船を持ってるというんです」と公爵。

「どんな海賊なんだ?」

そうタルタが訊ねると、公爵は「ポルコ海賊団と名乗ってるそうです」

「立て籠もってる山って、どこなんですか?」とアーサー。

「正確な場所は不明でして、鎮圧隊が何度も派遣されているんですが、近づくと海賊団に襲われて返り討ちに・・・」

カルロが「陸上からは?」

「地形が険しくて、案内できる奴が居ないんです」と公爵。


そしてエンリが訊ねた。

「ところで、うちのニケ、知りませんか?」

ポコペン公爵は「来ましたよ」

「えーっ!」


カルロがダウジング棒を取り出すが・・・。

「反応しませんね。どうやら妨害魔道具を使っているようです」

「どこに居るか解りますか?」とエンリ。

「昔の私物を取りに来て、すぐ行っちゃいました」と公爵。

「何か言ってませんでしたか?」とアーサー。

公爵は「近くの港の船の出入りについて聞いていました」



港に行って聞き込みを開始。

アーサーは使い魔を放ち、タマは猫たちに情報収集。


そして・・・。

タマが猫たちから情報を掴んだ。

「今夜、港の船着き場に来るらしいわよ」



張り込んでいると、ニケが現れた。金貨の袋を持っている。

タルタが「あいつ、こんな所に・・・」

ジロキチが「あれ、騙し盗ったお金だよね?」

エンリは、飛び出そうとする仲間を制止して、言った。「まあ待て、何のためにここに来たか、探る必要がある」


しばらくニケが港の海面を眺めていると、沖から港に入って来るボートがあった。

そしてボートから一人の男が上がって来る。

ニケが駆け寄り、男が振り向く。


しばらく話し込み、ニケは金貨の袋を差し出した。

「あいつニケのヒモか?」とタルタ。

エンリは「まさか、あの銭ゲバ女に貢がせる奴なんて・・・っておいタルタ、ちょっと待て」



タルタが飛び出して叫んだ。

「ニケさん、そいつから離れろ」

男は驚き顔で、声のした方に振り向くと、ニケを睨んで「俺を売ったのかよ」

「違うの」とニケが叫ぶ。


男は金貨の袋を払いのけてボートに飛び乗り、漕ぎ去った。

ニケは離れて行くボートに向けて叫んだ。

「待ってよ、スパルティカ」


仲間たち唖然。

「スパルティカだって?」

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