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人魚姫とお魚王子  作者: 只野透四郎
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第184話 子供と両親

フェリペ皇子の5歳の誕生日の式典に父親として参加するため、仲間とともにスパニア王宮に来たエンリ王子。

エンリを「世界一かっこいい」と言って懐くフェリペ皇子だが、賓客として父ブラド伯とともにスパニアを訪れたカブ公子とファフに連れられて、3人で首都の街に出て悪戯三昧。



カブが姉のサリー姫に捕まると、ファフとフェリペも王宮に戻る。

そしてフェリペは両親と昼食。


食事しながらエンリとイザベラは、式典についてあれこれ話す。

「三日後の式典って、他は誰が来るんだ?」

そうエンリに問われて、イザベラは「世界中から来るわよ。フランスのルイ王夫妻とミゲル皇子。イギリスのヨハン皇子」

「ヘンリー王は来ない訳な」とエンリ。

「ブルゴーニュのマキシミリアン皇子とか」とイザベラ。


エンリは「要するにお前の兄弟姉妹かよ」

イザベラは「世界中と政略結婚していますからね」

「それがここに次から次へと挨拶に・・・とか身が保たんぞ」と言ってエンリは溜息。

するとイザベラは「トレドの修道院に居る義母様たちの所にも行ってますけどね」

「それは助かる。けど彼等って帝位を狙える立場なんだよな。あの修道院で一同に会して、大丈夫なのか?」


そうエンリが問うと「大丈夫よ。あそこにはスパニア諜報局のエージェントがゴロゴロ居るもの」と言ってイザベラはドヤ顔。

エンリは「もしかして、あのイケメンな使用人たちか?」

「彼等は全員諜報局の局員よ。あそこで私の地位を狙う陰謀話なんて、全部筒抜けだわ」

そうイザベラに言われ、エンリは「それはそれで怖いな」と肩を竦める。



午後、フランス王夫妻が到着。

ルイ王とアンヌ王妃、そして鉄仮面騒ぎの後に二人の間に産まれたルイ王子。彼ももう5歳になる。

「トレドの修道院にはこれから?」

そうエンリが訊ねると、アンヌ王妃は「向うにはミゲル兄様が行ってますわ」

「私は女の園に興味は無いのでね。そこにいくと、ミゲルの奴は熟女もOKだそうだ」とルイ王。

エンリはそんな台詞を聞いて(何しに行くつもりだろう)と脳内で呟く。


知らせを聞いてフェリペ皇子が駆け付ける。

そしてフランスから来た同年代の王子に「ルイじゃないか」

「こんにちは、フェリペ」とルイ王子。

ルイ王も「大きくなったね、フェリペ殿下」

「こんにちは、王さまの方のルイ陛下」と挨拶するフェリペ皇子。


双方の親たちが会話するのを横目に、フェリペはルイ王子に言った。

「なあルイ。父王陛下と同じ名前って、ややこしくなやいか?」

ルイ王子は「家来たちは僕のことを小ルイって呼んでるけどね」


そんな所にファフが顔を出す。

そして「こんにちは、ルイ君。大きくなったね」

ルイ王子は「ファフ姉さん、ちょっと縮んでない?」

「ドラゴンは長命だから年をとらないの」とファフ。

「カブ師匠も来てるよ」とフェリペ。

ルイ王子はワクワク顔で「じゃ、これから街で悪戯?」

するとファフが「けど、サリー姫に見つかって吊るされているの」


フェリペはファフとルイ王子に言った。

「とりあえず、僕たちで探検に行こうよ。街を案内してやるよ」



その夜、久しぶりに一家3人揃っての晩餐となり、夜はイザベラの寝室のベッドで川の字になる。

両親の間で寝息を立てているフェリペを見ながら、イザベラは言った。

「ずっとこうして3人で居れたらいいのにね」

「そうだな」とエンリ。


イザベラは「スパニアに住んで頂く訳にはいかないのかしら」

エンリは「父上はすぐ別荘に籠るからなぁ。お前がポルタに来たらどうなんだ?」

「それではスパニアはポルタの植民地みたいになってしまいますわ」とイザベラ。

「ポルタはスパニアの植民地にされてたけどね」とエンリ。

「だから今度はスパニアが? それではまるで、36年間支配されたから今度は36年間支配させろとかトンデモな事言ってる、頭のおかしな歴史捏造の国みたいじゃないですか」とイザベラ。

「あんなヘイトスピーチ大国と一緒にしないでくれ」とエンリ。


その時、フェリペが寝返りをうった。

そして「父上、かっこいいです」

そんなフェリペの頭を撫でながら、イザベラは「寝言よ。見てよ、この子、王子が大好きなのよ。この笑顔、守りたいと思わない?」

「だったらポルタで育てるってのは、どうなんだ?」とエンリ。

「子供は母親の所有物よ」とドヤ顔のイザベラ。

「おいおい」とエンリは困り顔で・・・。


「離婚すれば問答無用で母親の物よ。それに反対するのは女性に対する人権侵害よ」とイザベラ。

エンリはあきれ顔で「国際結婚して離婚した父親は違うと言ってるぞ。それでどこぞの国出身の母親が子供を実家に連れて帰るのを人さらい国家で人権侵害国だと難癖つけてる件には完全スルーだものな。でもって、変な銅像作って歴史を捏造して戦争宣伝するのが人権だとか」

イザベラは「今は絶対王政の時代なんだから、そういう異世界の話は終わりにしません?」

「俺たち、何の話してたんだっけ?」とエンリ。

「私たちの子どものでしょ?」とイザベラ。



その時、またフェリペが寝言を呟く。

「父上、大好き」

「可愛いは正義、ですわよね?」とイザベラ。

「そうだな」

「お魚も大好き」とフェリペが寝言。

「・・・」

「悪戯も大好き」とフェリペが寝言。


エンリは困り顔で「こいつの将来、心配になってきたんだが」

「教育はちゃんとやってるわよ」とイザベラ。

「教育ってお受験みたいな?」とエンリ。

「貴族階級の嗜みよ」とイザベラ。

エンリは溜息をついて「習い事かよ」



イザベラは言った。

「帝王学は必須よ。それと魔法に幾何学に歴史に剣術に社交ダンス」

「・・・」

「水泳に野球にサッカーにピアノに習字に外国語に」とイザベラ。

エンリは「多過ぎだろ。ってか球体大地の反対側に行っても普通に会話できるご都合世界に外国語って・・・」

「バイオリンにピアノにリコーダーにカスタネットに」とイザベラ。

「楽器関係多くないか。ってかカスタネットって・・・」とエンリ。

イザベラは「軽音部に入れば最初はそれよ」

「そんな軽音無いから。ってかそれ他所のアニメの話」と困り顔のエンリ。


そして「それと陰謀学」と、イザベラは付け足した。

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