その7
「ちょっと、二人とも!」
宮島が手を振って、走ってきた。
「こんなところにいたのか、探したよ」
男はキマの手のアイスがほとんど溶け落ちていることに気がつく。彼女の足元では蟻が行列を作ろうとしていた。
「どうしたんだよ、紀乃さん。アイス溶けちゃってるよ……」
マコは一息ついて手を叩く。
「帰ろう、キマ。後で話そう」
ベンチから立ち上がった。
「きま? 誰だよそれ」
宮島は二人の顔を交互に見回す。
「私のこと」
溶けてなくなったアイスの棒を捨ててキマは立ち上がった。無造作に服で手を拭く。歩きだしたマコの後を追いかけていった。
「私? 僕じゃなくて? おい、紀乃さん!」
買い物後の車の中で、宮島は違和感を感じている。バックミラーに写る二人は、何故か一定の距離があるように思えたからだ。
「何か大丈夫、かな……」
そんな心配をよそに、彼女たちは黙り込んでいる。朝迎えに来た時とは大違いだ。
「あのさ、真琴さん。明日帰るんだよね」
「ええ。部屋掃除しておくね」
バックミラー越しにマコを見ていると目が合う。彼女は不思議そうに訊ねた。
「あと、何か、しておくことある?」
「べ、別に、何も」
宮島は気にはなっている。しかし、その訳を訊いても、答えなど返ってこないことぐらい知っていた。
「まあ、いいか。 二人で来年またおいでよ」
ステアリングを握りながら、さりげなく言う。
「ええ、来れたらね。ねえ……キ」
答えるマコの隣で、キマは酷く青ざめて俯いていた。
「もう一度……」




