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キノは〜ふ! Return  作者: 七月 夏喜
第1話 キノとマコとおんなキノと
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その6


「マコさん、前よりもずっと可愛く、綺麗になってた」

 千秋は、『石井 睦』を前に話し始めた。

「人妻になって、色気が出てきたのかな。愛情一杯?」

 二人は顔を赤くして含み笑をする。

「何話したの?」

「そうね、色々。最近の向こうの高校のこととか。鈴美麗家の生活こととか」

 石井は興味津々で聞いていた。

「うん、うん。それで、夫婦生活の方は?」

 千秋は石井の顔を凝視した直後に、手を上げる。

「夜の営みまでは、さすがに、申し訳ない」

 千秋の肩を叩きながら、石井の顔が赤くなった。

「ち、ちょっと、勘違い、勘違い。そんなことじゃなくて普通に2人の日常生活のこと」

 二人は妙に騒ぎ出す。石井は小声で言った。

「でも、マコさん。その事については」

「ノーコメントだった」

 昼休みの教室の二人は、異様な雰囲気に包まれている。

「やっぱり、二人が夫婦だなんて、今考えても凄い」

「キノちゃんは?」

 千秋の動きが止まった。

「会わなかった。というか、会うのを今回はやめた」

 彼女の声が幾分か、小さくなる。

「そっ、か……」

「ねえ、睦さん」

 石井は、千秋の前に向き直った。

「あなた会える、キノちゃんに」

 彼女の声は更に低くなる。

「私は……、会えると思うよ。だって、好きだったんだもん。男らしいキノちゃんが。それがもう、そのものなんて」

 石井の目が煌めいた。

「そう言えば、そうだったね、睦さんは。私としてはレイズ王子そのものか」

 二人は神妙な顔つきになる。

「会ってみる?」

 石井は問いかけた。

「どうしよう。でも、先に延ばしても状況は変わらないか」

 千秋は腕を組んで、唸る。

「男共は、どうする」

 二人は、如月と海原を探した。如月はいないが、海原がいる。どうやら二人の大騒ぎが気になっていたようだ。彼は地獄耳である。海原は石井と目が合うと、机を揺らした。

「まあ、しょうがないから、連れていってやるか」

 彼女は海原が顔を赤くして、はにかんでいるのを見て、そう呟く。

「今日、マコさんに連絡取ってみる」

 千秋は答えた。

「本田さん、キノちゃんに直に連絡してみたら?」

「え」

 彼女は一瞬、躊躇した。

「王子に、コールよ」

 親指を立てて石井は微笑む。

「そうだね。そうしてみよう、かな」

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