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嘲笑  作者: とにー
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序章

今日も飲みながら歩いている。

ストロング缶なのかウイスキーの水割りなのかそれは気分次第だ。

会社から自宅までの道のりはおおよそ20分。歩きながら飲むには丁度いい。

かれこれ異動してから2年になる。

別段野心があるわけではないが、キャリア形成のためといった大義名分で表向きは栄転だ。

実際のところ自分でもわからない。誰に聞いてもわからない。

サラリーマン稼業は気楽なもんだと言ったもんだが、それはいかがなものか。

長老たちの指先一つで行き先が決まる。簡単に人生が左右されるものだ。

まぁ、これは人によるところが大きいだろう。

仕事はいたって順調だった。右から左にモノを売り、左から右へとカネが入る。

要は仕組みを作れば良いのだ。

これがわからない奴は意外と多い。

気合と根性は若さとともに消え、狡猾さとしたたかさが増す。その調和がとれた時が人の全盛期と言える。

今がまさにその時なのだろう。

若干の体力の衰えは自覚しているが、気力はまだ衰えていない。幾分かの知識と経験はある。


風が音を立てて吹く。多分ビル風だろう。

某地方都市の発展の仕方は歪だ。

国鉄時代からの再開発プロジェクトが功を奏して、見上げるだけで首が痛くなるようなビルがそびえたつ。

一方で、数分歩いただけで長屋みたいな家やスナックやら飲食店の成れの果てが立ち並んでいる。

そこに生活する人たちの顔は見えないが、若い外国人が母国の曲を流し談笑する声は聞こえる。

多分留学生たちだろう。

大体夜行性で、帰宅途中にちょうどかち合う格好だ。

彼らは何をしに異国へ来たのだろうか。少なくとも学校へ行っている様子は見受けられない。

丁度飲み終わったので、コンビニで晩酌用に酒を買い足す。

コンビニからマンションはすぐだ。

家賃は8万円、1LDK、52㎡。

築年数は経っているが、リノベーションによって住みやすくなっている。

一人暮らしには広いが、会社が借りたものだからどうでもよい。

オートロックの錠を開け、7Fへエレベーターに乗る。

フロアへついた。

セキュリティのためか、2つのシリンダーを廻し(といっても、どちらも同じ鍵で開くので意味があるのか?)部屋に入る。

大柄のソファーにスーツとネクタイを脱ぎ捨て、換気のために窓を開けた。

ここからの夜景が気にっている。

同居人が置き去りにした熱帯魚に餌をあげ、晩飯を作り出す。

バラ肉と残りのキャベツをさっと炒め、パックご飯を解凍。

早さと手軽さが重要だ。先ほど買い足したビールと一緒に流し込む。

テレビをつけるか迷ったが、めんどくささが勝り何もしない。

熱帯魚用のエアーポンプの音がBGMだ。

慣れるまではうるさくて仕方なかったが、意外と一定のリズムが心地よい。

ウイスキーの水割りを作る。国産の安物ウィスキーだ。

以前はこだわりがあったが、最近は酔えればよくなりつつある。

明日に備えメールをチェック。退社時と変わらない。

少しうとうとしてきた。水割りが聞いてきたのだろう。

リビングを後にし眠る。

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