表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅亡間際の異世界へ〜オリジナル戦国スキルで異世界無双英雄伝〜  作者: さいぞう
第一章 はじまりのダンジョン編
5/53

第五話 はじまりのダンジョン

朝目覚め、カイルは「んーっ」と伸びをする。


昨夜は蘭丸にもたれながらそのまま眠りについた。少し獣臭いが温かみがあり、寝心地は悪くない。


「さて、少し体力作りをしよう。」


そう言いながらランニングを開始し、辺りを散策しながら走り回る。


拠点に戻り、腕立て、腹筋、背筋、スクワットを行っていく。


この世界では体力が資本だ。生き抜くために強い身体を作る必要があると考え、始めることにしたのだ。


筋トレが終わり、ランニングの途中で仕留めた一角ウサギの解体を始めた。朝ごはんである。


一角ウサギは出会い頭に白光一閃突きをお見舞いした。もはや恐るるに足らずだ。


ウサギの解体を始めると、今までずっと寝ていた蘭丸がいつの間にか後ろにいた。


「案外めざといやつだな、お前は」


少し呆れながらも笑い、蘭丸に話しかける。


「お前は賢いな。昨日は助けてくれてありがとな。」

昨日一角ウサギの突進を食らいそうになった時、蘭丸が横槍を入れてくれたから助かった。


そのお礼を言いながら頭を撫で、蘭丸の分の肉をあげる。


昨日同様に白光一閃突きによる摩擦で火をつけ、肉を焼いて食べた。


今回は血抜きを行った分、昨日よりも美味しい。


「ん〜、これは中々の味だ。蘭丸も焼いた肉食べてみるか?」


そう言いながら蘭丸に差し出すと、ガツガツと食べ始めた。


「そうか。うまいだろ〜。焼いた肉はうまいんだよ」


カイルも満足そうな顔をしていると、蘭丸が自分の食べていた生肉をカイルの前にドサッと置いた。


「ん?お返しはいらないぞ。」


そう言いながら蘭丸を見ると明らかに何かを訴えている。


「もしかして、焼いてほしいのか?」


そんな雰囲気を感じ、肉を枝に刺し、焼き始めると、嬉しそうにハッハッハッハッと言っている。


「ははっ!人間みたいだな、お前。」


思わず笑いながらも、焼いた肉をあげたら嬉しそうにがっついていた。


腹を満たし、本格的に辺りの探索を始めることにした。


さぁ、出発しようというところで蘭丸が目の前に来た。なんだか背中に乗れと言っている気がした。


「いいのか?じゃあ、お言葉に甘えてっ!」


カイルが背中に跨ったのを確認し、蘭丸が走り出した。


「うおおおお!速い速い!いいぞ!蘭丸っ!」

蘭丸の背中でカイルが楽しそうに叫ぶ。


蘭丸が森の中を颯爽と駆け抜ける。


帰り道を確認しながらもしばらく蘭丸に任せ走り続けた。


ーーーーーーーーーーーー


30分以上は走り続けているんじゃないだろうか。

蘭丸は止まることも無く走り続けている。

カイルはだんだんと不安になって来ていた。


「おいっ、蘭丸。どこに向かってるんだ?ちゃんと目的地はあるのか?どんどん拠点から離れていってるぞ!」


最初の頃は覚えていた帰り道もここまで来ると大体の方角しかわからない。


(まぁ、特に何か荷物があるわけでも無いしなるようになれか。)


拠点の事を考えるのはもうやめて、諦めの境地で蘭丸の背中で仰向けに倒れた。


しばらく蘭丸の背中の乗り心地を楽しんでいると、森を抜け、視界が変わる。


ガバッと上半身を起こすと、岩肌が見えた。


「ん、、あれは。」


岩肌に何か建造物が見える。

小さな神殿のような作りの建造物があり、そのまま神殿の前で蘭丸が足を止めた。


「なんだ、これは。ーーー扉。」


柱があり、ちょっとした屋根が岩山に隣接してできている。扉はまるで岩山への洞窟に繋がっている入口のようだ。


「ほー、こんなところに誰がこんなものを建てたんだ。」


明らかに周りに人の気配はない。

この建造物に何の意味があるのか検討もつかなかった。


触りながら色々調べていたら、特に力を入れた訳でもないのに、ゴトッと扉が開いた。


「おぉ。」


開けた扉の中には異空間につながっていそうなゲートがあり、思わず驚きの声が漏れる。


「蘭丸、ここに俺を連れて来たかったのか?」


ゲートを指先でツンツンしながら様子を確かめ、蘭丸に話しかける。


「お、おいっ!」


いつものようにハッハッハッハッと息づかいをしていた蘭丸がスタスタと歩き、そのままゲートに入ってしまった。


「う、、ええい!行くしか無いか!」


腹を決め、蘭丸を追ってゲートに足を踏み入れた。


ーーーーーーーーーーーーー


ゲートの先に出ると、そこはレンガ作りの迷路のような場所になっていた。


壁、床、天井の全てがレンガで出来ており、壁にはところどころ灯りがついている。


右と左に道が続いており、その先は曲がり角になっているためどうなっているかわからない。


「これはーーーーきっとダンジョンだろうな。」


人の気配のない場所にも関わらず、建造物があり、灯りがついている。そしてゲートと扉があると言えば、ほぼダンジョンとみて間違いないだろう。


蘭丸に連れられ、たどり着いた先はダンジョンだった。この事でカイルの中で疑問に思っていた事が確信に変わった。


「蘭丸。ーーーお前、クラムが用意した存在だろ。」


起きた時点で蘭丸はそばに居た。

明らかに魔獣のような存在にも関わらず自分を襲うことも無く、すんなり懐いてくれた。


そして、このダンジョンに俺を導く様に連れてきた。


「俺にこのダンジョンを攻略しろってことか。

なるほど。ーーーはじまりのダンジョンってことね。」


転生してから、何を目標にしようか手探りの状態だったが、創造神であるクラムはちゃんと進む道を用意してくれていた様だ。


(とりあえずここで強くなれってことだろうな。)


明確な目標が定まり、やる気がふつふつと湧いて来る。


「やってやろうじゃないの!」


そう意気込み、とりあえず右の道を進むことにした。


ダンジョン内にはきっと魔獣がいるはずだ。

そう考え、背中に刺していた木の棒は手に持ち歩く事にした。

道はそれなりに道幅があり、棒を振り回して戦う事も出来そうだ。


「さっそくいたな。」


道の先に魔獣が見える。よく見た魔獣だ。

一角ウサギだった。


ダンジョン内では出来るだけ力を温存しながら進むのがRPGゲームでは基本だ。

最初からガンガン全力では戦わず、ボス戦に備えて出来るだけ[たたかう]をベースにする。


一角ウサギ程度に一閃突きを連発したくない。

なんとか槍術で倒したい。


木の棒を構え、一角ウサギと相対する。


(一角ウサギは素早い。動き出してからでは捉えるのは至難の技だ。となると、狙うは(せん)(せん)か)


先の先とは、相手の動き出しを見極め、仕掛けてくる前にこちらから先に仕掛けることだ。


カイルは一角ウサギの動きを注視する。

そして、一瞬身体が沈み込む瞬間を見逃さなかった。


(ここだ!)


一角ウサギが沈み込んだとほぼ同時に木の棒をウサギに向かい突き出した。


ドスッ!


スキル槍術の補正効果もあったのかもしれないが、突き出した木の棒に向かって自ら突進をしたようで、顔面が木の棒にめり込んでいる。


ドサッと地面に倒れ、しばらく様子を見ていると地面に吸収される様に消えていった。


「ふっ、先の先を制するものは武芸を制す。」


得意げに呟いたが、内心はまだドキドキしている。


(ダンジョンでは死んだら消えるみたいだ。)


「ん?これは。」


ウサギがいた位置に何か落ちている。

青く小さな石の様なもの。


カイルの異世界知識からそれは魔石だろうと結論付ける。


ダンジョンでドロップするものと言えば魔石だ。

魔石はきっと何かの動力源など活用方法があるはずとズボンのポケットに入れた。


「蘭丸!先に進むぞ!」


蘭丸に声をかけ、改めてダンジョン探索を開始した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ