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滅亡間際の異世界へ〜オリジナル戦国スキルで異世界無双英雄伝〜  作者: さいぞう
第一章 はじまりのダンジョン編
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第三話 転生

「ん、んん!わっ!なんだ?や、くすぐったい!」


何かにしきりにほっぺや顔を舐められている感触で目が覚める。


目が覚めると、森にいた。

目の前には、大きな狼がいる。


「うわっ!!狼!!」


咄嗟に慌てて後退りをした。


狼はハッハッハッハッ!と息づかいをしながら、特に襲ってくる様子もなく、お座りをしてこちらを見ている。


「よ、よーし。怖くないぞ〜。ほら、怖くない。」


ビビりながらも近づき、頭を撫でることに成功する。


大丈夫そうだった。不思議と自分に好意を向けてくれている気がする。


「なんだお前、かわいいな!よしよしよし。」


ひとしきりそばにいた狼を可愛がり、ふと我に返る。


自分の手や服装を確認し、前の自分の身体じゃないことを知った。


「俺は転生したんだな。」


改めて自分の声を聞き、かなり声質が若い事がわかる。


「俺は今何歳なんだ?」


色々疑問が湧いてくるが、

とりあえず状況整理から始める事にした。


(さて、どうするかな)


自分が寝ていたすぐ脇に川が流れている。

川の水面で自分の顔を洗い、そのまま川を覗き込む。

そこには少し茶色がかった髪の可愛らしい少年が映っている。


「へー、これがこの世界での俺かぁ。」


顔を角度を変えながら眺める。


(これは大きくなったらイケメンになれるかもな。)


とりあえずかわいらしい顔をしていたので満足だった。


「折角だから、名前も変えようかな。」


ふとそう思いつき、腕を組みながら考える。


「名前を考えるのは案外苦手なんだよな。

海人からもじって、カイルにするか!

うん、カイルにしよう。


あとは年齢か、、、」


改めて水面で自分の顔を見た。


「これは、、小4?小5くらいか。。10歳でいっか。キリがいいしな。俺はカイル。10歳だ!」


とりあえずこの世界での自分の設定が決まった。


「出身とか、親とかの設定はどうするかな。

まぁ、記憶喪失ってことでいっか。」


そこまで決めたところで、ふと狼の方を見る。

相変わらずハッハッハッハッと息づかいをして座っていた。


「よし、お前にも名前をつけてやろう。

んー、そうだなぁ。」


(ポチ、ワンコ、んー。パッとしないな。)


相変わらず名前をつけるのは苦手だ。


「そうだ!蘭丸!お前の名前は蘭丸だ!」


折角なので戦国にちなんだ名前にした。

織田信長が可愛がっていた森蘭丸の蘭丸だ。


「そうかそうか!気に入ったか!()い奴じゃのう!はははは!」


お腹見せ寝転がった蘭丸を存分に可愛がる。


可愛がったあとに川で手を洗い、喉が渇いたので少し水を飲んだ。


「それにしても川が綺麗だ。流石異世界って感じかな。環境汚染みたいなのも無いんだろうな。

元の世界では川の水なんて飲めるようなもんじゃないもんな」


川が綺麗で、空気も澄んでいる。

ただ、それだけですごく新鮮に感じる。


(なんだ。とってもいい世界じゃないか。スローライフをしたくなる気持ちもわかるってもんだ。)


前世では田舎で育ったが成人してからはそれなりの都会に住んでいた。


この田舎を思い出す感じはなんだか懐かしく、気持ちがいい。


思わずその場に大の字に横たわる。

今は昼頃だろうか。ポカポカしていて気持ちがいい。


辺りを見渡し、川があり、危険な魔獣もとくにいそうな気配もない。ここは平和な空間だと感じた。


(とりあえず安全そうだし、ここを拠点にするのもいいかもな。)


何からしようかと考え、思い出す。

まずはオリジナルスキルの確認だ。


「スキルオープン」

そう唱えると、目の前にTVゲームによく出てくるようなウィンドウが現れる。


枠が縁取られていて、文字が書いてある。


「おぉ、なんだかゲームみたいだな。」



〜スキルウィンドウ〜

スキル:

固有スキル:武士


「えっと、スキルは。何もなしか?

固有スキルが武士、、」


スキルと固有スキルは何が違うのかまだよくわからない。とりあえず分かるのは武士がオリジナルスキルだろうということだ。


「武士か。ははっ、武士ね。いいじゃん!」

なんだか武士という響きに嬉しくなってニヤニヤしてしまう。


(武士か。武将でもよかったな。いや、サムライとか?まぁ、そんなこと考えても無駄か。)


スキル武士に意識を向けると新たなウィンドウが開いた。武士スキルのウィンドウのようだ。


ウィンドウは触る必要はないみたいだった。ただ意識を向ければいい。スキル武士のことを考えると次のウィンドウが開く仕組みになっている。

これには、便利なものだなと感心する。


武士ウィンドウには上部中央にカードをはめるような枠があり、下部には一枚の戦国武将の絵柄が書いてあるカードがあった。


「おおー!これは!可児才蔵か!可児才蔵だ!」

黒い具足(ぐそく)に槍を持ち、腕を組み立っている。具足と言うのは戦国武将が着ている鎧の事だ。


一番大好きな戦国武将だと念押ししておいたのでちゃんと盛り込んでくれたようだ。



戦国時代が好きになったきっかけは漫画だった。そのうち小説を読むようになり、ネットで逸話を調べ知識が増えて行くと、色んな戦国武将の魅力に取り憑かれていき、すっかりハマりこんでしまった。


戦国武将の絵柄が書いてあるカードをじっくりと眺めて楽しんでいると新たに説明画面が現れた。


可児才蔵(かにさいぞう)

固有スキル:白光一閃突き

スキル:槍術

説明:関ヶ原の戦いで17の首級を討ち取り、家康に称賛された。常に戦場の最前線を求め、主君を代えながら戦場を生きた武将


「ふふ。わざわざ武将の説明文まであるなんてな。」


クラムのサービス精神に思わず笑いが出る。

嬉しいサプライズだった。


どうやら白光一閃突きという固有スキルを持っているみたいだ。

可児才蔵は宝蔵院流槍術を扱うと言われている槍の名手だ。槍術だからこそスキルも一閃突きなんだなと納得する。白光については、白く光るんかなぐらいしかわからない。


こういうのを見るだけでずっとニヤニヤしていられる。戦国物のソシャゲをやっていたのも武将の事をあれこれ考えながら育てるのが楽しかったからだ。


ひとしきり説明画面を見終わったあと武士ウィンドウの可児才蔵カードを改めて見る。


「いいねー。やっぱかっこいいなぁ。絵柄も申し分ない。」


可児才蔵カードをじっくり眺めていると、ウィンドウ下部にあった可児才蔵カードが上部の枠に移動する。すると一瞬ウィンドウが光を放った。


(なんだろうか。可児才蔵がセットされたみたいな。)


改めてスキルウィンドウに戻り確認する。


〜スキルウィンドウ〜

スキル:槍術1

固有スキル:武士、白光一閃突き


「おっ、槍術を覚えたのか。なるほど、あそこにはめることで効果が出るんだな」


とりあえず、なんとなくだがスキルの事がわかってきた。


「よしっ、設定は決めた。スキルも把握した。あとは今からどう行動していくかだな。」


これから色々調べていこうと決め立ち上がる。


ーーーーーーーーーーーーー


今いるのはアウゼフ王国のどこかだと言うことはわかっている。


しかし、現在地がよくわかっていない。


(街は近くにあるのか?)


旅をするにも準備が必要だ。


「まずはここを基盤として、色々準備を整えるか。」


まず始めたのは武器を手に入れること。

スキル槍術を活かすためにも棒のようなものが欲しい。


辺りを見渡し、ちょうどいいサイズの枝を探す。

落ちている枝は大体が腐っていたりするものだ。

強度に不安がある。

狙っているのは木に生えている枝だった。


「おっ、あの枝が良さそうだな。」


目標の枝を決め、木に登り始める。

身体が若いためかスイスイと上に登ることができた。


「ははっ、身体が軽い軽い!」


前世では中年に差し掛かろうとしていた年齢だった。PCの前にずっと座る仕事だったこともあり、常に運動不足気味だった。


枝の根本で、他の枝を掴みながら反動をつけて体重をかける。


「ふっ!ふんっ!....おわっ!」


突然バキッと枝が折れた事で落ちそうになった。


「わわわ、あぶねー!」


なんとか枝に捕まり、足元に気をつけながら降りる。


落ちている枝を掴み、余分な枝部分を手でもぎ取り棒形状にしていく。


「太さ、少しでかい。握りは、ゴワゴワする。あとは、折れた部分をどうするかか。」


槍術として使うにはまだ改造が入りそうだ。


「刃物が欲しいな。。」


呟くように言い、何かを思いついたように次の行動を始める。


地面を見渡しながらウロウロとし、お目当てのものを見つけた。


「刃物が無ければ作るべし。」


そう言いながら、大きめの石を持ち上げる。


「んおおおおおー!!」


石を持ち上げ、岩に向かって投げつけた。

ゴトンっと言う音がして、石が転がった。


「ダメか。石の刃ってどうやるんだ。」


知っている知識を振り返り考える。


(確か力点、支点、作用点か。杭みたいなものをあてがってハンマーで叩く。これを再現しないとダメだ。)


なるべく尖った部分を探し、ついに少し離れた岩に自然に出来た凸形状があるのを見つけた。

近くまで大きめの石を運び、一気に持ち上げる。


「んあああああああ!!」


思いっきり投げつけた。

石は真っ二つに割れ、床に転がった。


「よし、何回でもやってやる!おりゃああああ!」


目当ての石の刃ができるまで大きめの石を見つけては何度も何度もぶつけていく。

地面に転がっている石の破片を吟味し、ついに尖った石をゲットする。


「よしっ!これで枝を改造だ!」


石の刃でゴワゴワした部分を削っていく。

何度も何度も擦るように削っていき、感触を確かめる。


「うん、とりあえずなんとか使えそうかな。」


まだ折れた枝の切れ目はそのままだが、持ち手の部分と先端部分はそれなりに使えそうな感じに出来上がった。


だが、先端に関しては突き刺すと言うよりは、突き立てて打撃を食わえるような感じになりそうだ。石の刃は切れ味が悪く、これ以上はちゃんとした刃物が必要だ。


ふと蘭丸の方を見ると寝ているようだった。

なんだか懐いてくれているようだ。

離れようとする気配はない。


木の棒を両手で持ち構えると、身体が型を覚えているような感覚があり。ハッ!と言いながら突きを繰り出すとなんだかそれっぽく扱えるように思う。


「まぁ、可児才蔵だからな。やっぱ槍を使わないとね」


転生して最初に手に入れたもの。

木の棒、石の刃、蘭丸

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