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滅亡間際の異世界へ〜オリジナル戦国スキルで異世界無双英雄伝〜  作者: さいぞう
第一章 はじまりのダンジョン編
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第十二話 新武将開放

カイルは後の先によりシェイドを打ち倒した。


いつものように魔石を回収しようとすると、魔石では無くカードが落ちている。


それを手に取り、見ると忍者っぽい格好をした男が描かれていた。

手は何かの印を作っているカードだった。


「忍者?なんでこんなものが。」


ボスからドロップした謎のカード。この世界には明らかに存在しないはずのものだった。

不思議に思って見ているとカードは光を放って消え去ってしまう。


[服部半蔵を入手しました]


いきなり目の前にウィンドウが現れ、更にその内容に驚いた。

どうやら新武将を入手したらしい。


「スキルオープン」


武士ウィンドウを確認すると先程のカードが下段に追加されている。武士スキルに新たな武将が開放されていた。


意識を向け、服部半蔵の説明画面を確認することにした。


服部半蔵(はっとりはんぞう)

固有スキル:分身の術

スキル:索敵、忍流短剣術

説明:伊賀の忍。徳川家に仕え、半蔵の名は世襲制のため複数の半蔵の逸話が服部半蔵の逸話として語られている。伊賀越えで大いに活躍する。


「ふむ、なるほど。服部半蔵ね。色々気になるが、シェイドはクラムが新たに作った魔獣と考えるべきだな。ーーーどうりであんな動きを。」


無限大を描くようなあの動き。思い当たるのは記憶を読まれた時の事だ。戦国武将に関すること以外にも色々見られたらしい。記憶をヒントに魔獣にギミックとして追加したと予想した。


「新武将は魔獣の姿をしているということか。そして、それを倒して集めろと。」


クラムは別れ際に強くなりたければカードを集めろと言っていた。

それがこのカードの事なのだろう。

クラムの意図は理解できた。しかし、今後出てくる魔獣にどんなギミックが仕込まれているかが不安で仕方が無かった。


他にどんな記憶を読まれたのか検討もつかないが人間離れした技なんてカイルの記憶にはいくらでもあったのだ。


「はぁー。遊び心にも程があるってもんだ」


そう思うとなんだか一気に疲れが襲ってきた。


「蘭丸、一旦帰ろうか。」


この階にはボス撃破後の宝箱は出現していないようだ。カードが報酬ということだと納得し、拠点に戻ることにした。


ーーーーーーーーーーーーー


ダンジョンを入り口に向かって戻って行き、いくつか戦闘がありながらもダンジョンの外に出た。


「蘭丸、晩飯を頼む!先に拠点に行ってるぞ。」


指示を出すと、蘭丸は勢いよく走り出して行った。


「ほんとに賢いな。助かるよ。」


走り去っていく蘭丸の背中に向かってお礼を言い、先に拠点に戻りまず火起こしをした。

ついでに火がついた木をいくつかアイテムボックスにいれる。

これで火起こしが格段と楽になるはずだ。


何回か出したり、しまったりしたが火はずっとついていた。ボックスの中は時間が止まっているようだ。


次に武器を出したりしまったりしてみる。

ふと思いつき、着ている具足をしまうイメージをしてみると、すっと着ていたはずの具足が消え去った。


次に着た状態で出すイメージをする。

今度はパッと着た状態で具足が現れた。


とんでもなく便利な仕組みだ。

この世界は色々なものがイメージと連動しているようだ。想像の力が色々可能性を広げているように思えた。


(逆に凝り固まった頭ではこの使い方に辿り着かないかもしれない。この世界では柔軟な発想力を持つことが重要なのか。)


そう思うとなんだかクラムの笑顔を思い出してしまう。


「まったく、クラムらしい世界だな。ははっ!」



そうこうしていると何かが走ってくる音が聞こえ蘭丸だとすぐに気づく。

蘭丸はリトルボアを咥えていた。


「今日もご苦労様。」


蘭丸の頭を撫でお礼を言い、川で洗いながら解体に取り掛かる。もはやこの作業にも慣れたものだ。


肉を焼き、晩御飯を堪能する。

今日はよく働いた。焼肉がいつも以上にうまく感じる。ふと隣を見ると蘭丸も満足しているようだ。   


「しいていうなら、やっぱり調味料がほしいかなぁ〜。」


このままでも充分美味しかったがやはり前世の調味料が忘れられない。

あれがあればもっと美味しいと考えてしまうのだ。


ご飯を食べ、お腹も落ち着いたところで検証タイムに入ることにした。


「スキルオープン」


武士ウィンドウで服部半蔵を確認し


「セット 服部半蔵」

と唱えるとカードが服部半蔵に切り替わる。


~スキルウィンドウ~

スキル:槍術3、索敵、忍流短剣術1

固有スキル:武士、分身の術


「おっ、槍術が3に増えたか。索敵に短剣術。白光一閃突きが消えて、分身の術が追加か。なるほど。なるほど。」


どうやら武将の固有スキルはセット毎に変わるらしい。索敵はおそらく敵の場所がわかるのだろう。使ってみたが特に周りに魔獣はいない。


次に短剣を取り出し構えてみると、動きのイメージが頭に流れてくる。ここら辺は槍術の時と同じだ。


「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」


短剣を振り、動きを確かめた。

忍流なだけあって動きは回転斬りや回避斬りなど動き回る動作が多い。


「これはこれで中々いい。」


槍術とは違った戦い方が新鮮で楽しかった。


「最後はこれか。」


そう呟きながら、おもむろに手を重ね印を作る。


「分身の術」


スキルを唱えると真横にカイルの分身が出現した。やはり分身をするにはこのポーズは外せない。もちろん戦闘の時にこんなポーズをするつもりなどない。


このスキルでまず驚いたのは分身の目線が自分も見えるということだった。感覚共有というのだろうか。頭の中で別の視界が同時に情報化されている。


「これは驚いたな。ーーーだけど、ちょっと気持ち悪いな。これ。」


はじめての共感覚に酔いを覚えてしまう。


試しに分身だけを動かそうとすると思い通りに動き出す。だが、自分が動くとつられて分身も動き出してしまう。


「これは慣れるのに時間がかかりそうだ。」


すごいスキルだが一朝一夕にマスターできるようなものでもないらしい。


「分身は更にいけるのかな?」


ふとそう思い立ち、試してみることにする。


「分身の術」


すると2体目の分身は現れたが同時に強烈な頭痛がカイルを襲った。


「いたたたた!か、解除!解除ー!」


思わず頭を抱えながらも分身を解くと頭痛はすぐに治ったが、代償としてか全身にひどい倦怠感が残ってしまった。


「な、なんだこれ。情報過多で脳がパンクしたのか?それとも魔力切れ?」


とりあえず分身は一回までと心に決める。

こんな状態ではまともに戦うこともできない。

たまらずポーションを飲んでみると身体が楽になる。これはやはりすごい効果を持っていると改めて知る。


この世界にあるのかわからないがMPも回復する仕様なのかもしれない。


「うん、今日からこいつをエリクサーと呼ぼう。」


エリクサーを手にしながらふと思う。


(ここでしか手に入らないものかもしれないな。)


こんな効果の代物が世に出回っているはずがない。ダンジョン攻略するのに必要だとクラムが用意してくれた物な気がしている。


今の状況はカイルはアイテムボックスを手に入れている。持とうと思えばいくらでも持てる事にふと気づく。


「蘭丸、明日からはゴブリン退治だ!分身の練習も兼ねて集めまくるぞ!」


とりあえずダンジョン攻略は一旦休憩し、今後の備えに全力を注ぐことにする。


「備えあれば憂い無し!よーし、やるぞー!!」


蘭丸にもたれながら両手を伸ばし、カイルは新たな目標を定めやる気をみなぎらせた。



ーーーーーーーーーーーーー


あれから1ヶ月近く経過しただろうか。


カイルと蘭丸はダンジョン2階層でひたすらにゴブリンを狩り続けていた。


「ハッ!ハァ!ーーハッ!」


ゴブリンは分身を使い短剣で倒している。

分身の扱いは最初はかなり手こずったが、だいぶ慣れてきており、今では自分と分身を同時に操り戦う事ができるようにまでなっている。


忍流短剣術はスキルレベルが2に上がり、新たに動きのパターンも追加された。


エリクサーはもはや数えてすらいないが1日200本以上は集めている。5000は軽く超えているはずだ。これで当分困ることはないだろう。


拠点も大きな葉っぱとツルを組み合わせて簡易的な家を作り、色々と充実させた。

アイテムボックスの中が時間が停止していることも利用し、食料も毎日少しずつ蓄えていったお陰で今ではかなりの量になっている。

ちょっとした長旅もいける量だ。


いつものようにダンジョンを終え、日課の走り込みと筋トレ、槍術と短剣術の訓練をこなしてから

晩御飯を食べる。


「準備は万事整った。蘭丸、明日からダンジョン攻略の再会だ!」


この1ヶ月でやりたい準備は全てやった。

あとは一気にダンジョンを攻略するだけだと気合を入れ、蘭丸と簡易小屋の中で眠りについた。


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[良い点] レビュー全文 【簡単なあらすじ】 ジャンル:ハイファンタジー 前世で死亡してしまった主人公は生前、”なんか面白いことないかな~”と呟いたことがきっかけで創造神から異世界での第二の人生を与…
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