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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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96. 悪役令嬢、今年の秋はトラブル続きで困りますわ

読んでくださり、ありがとうございます

誤字脱字の報告してくださった方、ありがとうございます。

 そして月曜日。


 「ごきげんよう♪リリー。 おめでとう、いつお義姉様って呼べるのか楽しみにして居るわ」

 「まぁ!マリーったら。 呼び方はそのままで良いと思いますわ」


 周囲の友人達も口々にお祝いの言葉を述べている。中には少々残念そうにしているご令嬢も居たけどね。しょうがないわ、お兄様狙いのご令嬢方はとても多かったのだもの。中にはリリー狙いだったと思われる令息の哀愁漂う顔も見受けられた。うんリリーは美人で賢く可愛いから分かるわ。お兄様は早く決断して良かったわね!



 剣術の模擬試合が終わったと思ったら、週の半ばにはもう収穫祭だと言う事が朝のミーティングで知らされた。

 学生達は急な催し(イベント)スケジュールに騒めいている。学生側に準備する事は何も無いのだけど、もっと早く知らせて欲しいものよね。


 なるほど?たぶん民間で行われている収穫祭とお茶会の時期を合わせたくて、剣術の模擬試合の開催時期を早めたのね。

 今年は帝国全体だと豊作だったらしく、盛大に祝う地域が多いと言う。我が領地でもかなりの豊作で、祭りは賑やかなものになるだろう。普段稼がせて貰っているから『ルゥナ工房』からも花火の提供をしようかな?自分で作っちゃえば高額使い捨て魔術道具『夜空を彩る火花』も安く済んじゃうし、オリジナルも出来るなぁ~安定の守銭奴と好奇心だわ!今日家に帰ったら領地に飛んで作り方教えてもらおう!


 ちなみにうちの皇都の別邸(タウンハウス)は皇城に近過ぎて、毎年上げられる魔術道具の『花火』をいいロケーションで見ることは叶わない。多分クロスディーン家と、スチュワート家からなら皇城を背景に素晴らしく見えるでしょうけど。パドウェイ家はギリギリかな、屋根に登ればいい感じに見られるかもしれない。


 でも学園の収穫祭はやはり名ばかりでただのお茶会。今年は昨年とは違うから期待していいと担当教諭は言ったけれど、どんなものかしらね。


 「何かサプライズでもあるのかしら?」

 「さあ?昼に見える火花とか?」


 皆んなで予想を立て合ったりするものの、収穫祭と言う名のお茶会でのサプライズなど思いつきもしなかった。




▽▲▽▲▽


 昨年はガーデンテーブルの用意が少な過ぎだったと聞いていたけど、今年は十分足りているっぽいわ。薔薇の生垣を後ろに席に座った私は会場の様子をさっと一周見渡した。

 席に座って落ち着いてお茶と談笑を楽しみたい人も多いのだけど、意外と流動的にあちこち動きながら談笑したり、時折席が空いているテーブルにお邪魔して話に入ったりと言う積極的な社交上手さん達が一定数居るようだった。

 だから全員の席次を決めずに、基本は立食パーティーで席次フリーにしようって事になったのね。

 でも私たちは早くから席取りして、いつものメンバーでのんびりとティータイムを楽しんでいた。テーブルは会場の隅の方で、全体が見渡せる。その時ディナが気が付いて言った。


 「あらマリー、新しいスウィーツを持って来てるみたいよ。 ちょっと見に行ってみません事?」

 「ディナ、いいわね。 わたくしも行くわ」


 そう言って、食いしん坊令嬢の二人が取り皿を手にスウィーツスタンドに向かった。今回用意されたスウィーツは、食堂調理のものでは無く、貴族街(マートル)でも人気のスウィーツ店にデリバリー注文したもので、中々に美味しい。特にチョコレートを使用したスウィーツが秀逸!他はうちの方が勝ってると思うのだけどね。


 「うーん、食べ過ぎかしら?」

 「まぁ!マリーはもっと食べても良いくらいだと思いますわ! 好きなだけ食べられるなんて羨ましいかぎりだわ」


 私とディナは笑いながら席に戻った。戻る途中にヒロインの姿が見えた。相変わらずいつもの食堂ランチメンバー、攻略対象者達と殿下の護衛四人で隣接する二つのテーブルに分かれて座っていた。ヒロインの両隣は殿下とノブレスィージ侯爵令息で殿下の侍従で側近だ。ヒロインはあちこち、隣のテーブルにまで声をかけながら、側から見ると皆に気遣って話しかけているように見える。けど、彼女が積極的に話しかけるのは初期攻略対象者達だけだ。そこまで視界の端で確認して、友人達とのおしゃべりに興じる方に神経を傾けた。

 まぁ、ヒロインはいつも通りってことで放っておいて良いわね。近くにはお兄様方も居ることだし問題無さそうだわ。そう思った。




▽▲▽▲▽


side.Heroine


 私は月曜日に教室に入って初めてランディ様の婚約を知った。いや、時期が遅くなっただけでシナリオ通りの事だと思おうとしたけど、私の心はドロドロに沈んで行った。どうして今更?でも先週末は学園の生徒達の父兄が集まって居たから、そこで親同士で話が弾んで政略結婚を決められてしまったのかもしれない。状況を探りたいけど、先ずはお祝いを述べる。これの反応を見るだけでも何か分かるかもしれない!


 「ランディ様、ご婚約おめでとうございます。 お相手はどんなご令嬢ですの?是非お聞きしたいわ」


 そう言ったら、ほんの僅かにはにかんで、髪の中に指を通しながら少し横を向いた。ちょっと恥ずかしがっているのかな??とてもレアな反応で、状況が状況でなければ萌え転がりそうな麗しい表情なんだけど!


 「あー、こいつほぼ決定しているのに、それじゃ納得行かないって、正式発表前に自分から告ったんだ。 黙っててもそのまま婚約まで一直線なのに、良くやったと褒めてやりたいね!」


 フィー様がそう言うと、ランディ様は明らかに照れたような表情に変わった。うわぁーっ!何か見て居られない幸せオーラを感じるんだけど気のせい?気のせいだって誰か言ってよ!ゲームシナリオでは完全な政略結婚だったのに違うのね!これを覆すのって、どうするの?どうすればいいの?wikiさん教えてーーーっ!


 私は頭の中で現状の整理を始めた。先ずアル様は大丈夫!一推しだもの外せないわ。アル様ルート確定でハーレムエンドが一番良いのだけど……。

 ジル様とフィー様は『彼女』を取り合っている状態はまだ継続中なの?先ずその『彼女』が分からないとどうしようもないわよ!

 ヘイム様とランディ様は婚約者とどうやらラブラブだ!!ヘイム様とランディ様の婚約者を悪役令嬢にするにはどうしたら良いの?ヘイム様の婚約者は殿下の婚約者と同じく一年下で接点が無いのよねぇ……。ランディ様の婚約者は?

 エリン様は婚約者が同じ組に居るけど、淑女の距離感ってやつなのか、毎朝と帰りの挨拶は欠かさないし、座学の学力試験の順位を大幅に上げて一組に四年生から入ったと言う、十分な才女、努力で勝ち取った同級生という立場であるにもかかわらず、教室内や学内では一定の距離を置くようにして居るっぽい。最近では逆にエリン様の方から挨拶をしたり、座学の授業で婚約者が難しい問題を解いた時等に話し掛けに行く様になって、最初は冷えた関係に見えたはずが、今はそこそこ修復されているように見える。とにかく今はランディ様だ!


 「恋愛結婚って感じですか? 良いですね、どこのご令嬢なんですか?」


 私は直球で聞いた。


 「まぁ、もう両家から正式発表されて、教会からの婚約宣誓書も出ているから隠すことでは無いかな。 アマリリス・ラキランス伯爵令嬢だ。 うちとは武家と商家で違うように見えて、互いに領地経営に熱心な家柄だから親同士も気が合うみたいなんだ」


 なんと!公爵家嫡男のお相手ってごく普通の伯爵家令嬢でも良いのね!ちょっとびっくりだわ。だって、ヘイム様と、エリン様の婚約者は侯爵令嬢なんだよ。でもこの幸せオーラ、崩す自信無いわぁ~。どんな令嬢なのか見てみたいわ。そうだ、ラキランスって伯爵家序列トップの大金持ちだ、デボワール伯爵家とは大違い。そう考えていたら、担当教諭が入って来てミーティングが始まった。


 そこで先ず知らされたのは収穫祭が行われると言うこと。今週半ばってもう明後日じゃ無いの!

 まぁ学校行事だから制服のままで用意する物は無いんだけど、もっと早く告知するべきなんじゃ無いの?でも内容はただのお茶会。立食パーティーみたいだけど、席も十分用意があるって言うから、初期攻略対象者達だけで座りたいなぁ~特にジーンが居ると自由に話せないんだもの。

 しかも、この日に出されるスウィーツは貴族街でも人気のお店のなんですって!それも楽しみだわ!その日だけでもダイエット忘れて食べちゃおうかな?でもイケメン達の前で食べ過ぎるのは恥ずかしいかな。


 そうだ、もしかしたらランディ様の婚約者チェックも出来るかもしれない。会えば挨拶くらいするよね?



 収穫祭当日、殿下がいい場所にある席をリザーブしてくれて居た。スウィーツスタンドも程良く近くて、飲み物の給仕達も近くて頼みやすい位置。そして笑いながら和やかに話が弾む。


 「昨年の収穫祭ではフィーの奴が煩くてね。 席が足りない!スウィーツが食べられない、紅茶が飲めないってすごかったんだ」

 「いや殿下、自分でも大人気無かったと反省して居ますからそのくらいにしてください」


 フィー様が少し照れながら肩をすくめた。うわぁ!今日のフィー様はちゃんとしたフィー様だ!そう思って居たら、ランディ様と、ヘイム様が、ちょっと挨拶して来ると言って、別の方に行ってしまった。来た!婚約者に挨拶だけはしに行くつもりだ。私は見逃さないようにそれとなく目で追う。2人が行った丸テーブルには美少女5人軍団が座っていた。そのうちの2人は殿下の婚約者マリノリアとヘイム様の婚約者ローザナス辺境伯令嬢で代表的な悪役令嬢達だ!

 『辺境伯』は感じ伯爵家より下っぽく聞こえるけど実は侯爵と同じ位の高位貴族なんだよね。辺境って田舎者っぽく聞こえるからって失礼が有ってはいけないんだって家庭教師に教えられた。


 そして、ランディ様は妹のマリノリアにはさらっと挨拶しただけで、別の金髪緑目の美少女に声を掛けていた。その表情はヘイム様と良い勝負だ、幸せオーラ全開って感じの奴だ。なんとまぁ!あの席には悪役令嬢が3人も座っている。これって何か出来ないのかな?いや、私が何もしなくても、何か起こらないの??私はどう動けば良いの?お茶会自体が新規イベントだから全然分からない。

 挨拶を終えた2人は戻って来たけど、幸せオーラ継続中で私は居た堪れなかった。


 その内、2人の悪役令嬢が席を立ち、スウィーツスタンドに近寄って行った。私もスウィーツを取りに行こうとしたけど、タイミング良く行けなかった。そのあと殿下が一緒について来てくれたのは嬉しかったのだけど、悪役令嬢との接近は出来なかった。うーん、本当に何かイベント無いのかな?

 この収穫祭って、新要素だよね?だってゲームシナリオには無かったんだよ。だから好感度が中々上げられずに困っている私のために用意されたイベントだって思うんだけどなぁ~~~。


 スウィーツは確かに美味しいんだけど、何か釈然としない思いでモヤモヤしてた。



 その時、「マリーっ!」って、複数の令嬢の声がした。誰のことだろうと思いながらも声のした方を見た。

 なんと悪役令嬢、マリノリアが真っ青な顔で倒れていた。側にはいつの間にかランディ様とフィー様が駆け寄っていた。早い!



 

▽▲▽▲▽




 首の後ろにチクリと針が刺さった感覚がした。私の頭の中には昨年春の建国記念パーティーで猛毒針を刺された時の記憶がせり上がるように蘇り、息を詰まらせ椅子から転げ落ちた。でも芝生の上に落ちてなかった、誰かが支えてくれている。これはリンデーン兄様だ。フィンネル兄様も居て、手を前方、私の後ろにかざしているみたい。


 「マリア!ただの蜂だ、気を持ち直せ。 フィーがやっつけたからもう大丈夫だ!」


 そうか。身体中が重いけど、少しだけ頭と目線を左に向けると、氷の針で貫かれた大きな蜂が見えた。クマンバチだろうか?とにかく大きいとだけ思った。私は蜂に刺された事は無いハズだからアナフィラキシーショックは無いハズなのに動けない。呼吸すら満足に出来ない。後ろからというより左斜め横からジル様の綺麗なストロベリーブリンドが見えた。どうやら幻覚まで見えてきたらしい。


 「針は取った」


 と聞こえた。

 ああジル様の声って心地よく響くなぁ。

 次いで首筋に何かが当たって吸い付いた、しばらくして離れ、何か吐き出す音がしたら、また首筋に吸い付く、そこが蜂に刺された場所だと言うことは痛みで思い当たったけど、意識が朦朧として、今自分の置かれている状況が分からなかった。そして吸い付いていたモノが離れ、冷たい指先が首筋に触れて滑る。その間、数人の多分お兄様の声がごちゃごちゃ聞こえている。


 「【治癒(ヒール)】 蜂毒は吸い出したし、傷口も癒したから大きな問題はないはずだ」


 私はどうやら治癒魔法を掛けてくれたらしいジル様の方を向いてーーー実際はほとんど動けなかったけどーーー掠れたごく小さな声で感謝の気持ちを伝えた、たぶん。


 「クロスディーン卿ありがとうございます……」


 反対側の、お兄様方の方を向いたら、二人の心配した顔が霞んで見えた。


 「お兄様方ありがとう、いつも……」


 それっきり口が重くて開かなくなった。意識はあるのだけど、身体が重くて目を開けられない。大丈夫だって伝えたいのに言えない。そのうち抱え上げられた。お姫様抱っこってやつだなぁ、なんて思いながら、その心地よい揺れに身を任せていた。


 「おい、ジル触りすぎだ!」

 「一応殿下も居たんだからな? まぁボーゼンとして役に立たない様子だったから無視して良いだろうが」

 「いや、他にやりよう無かった? ってかなんでそのまま抱えてる訳? 僕らとお前じゃ違うんだけど分かってる?」

 「それよりあの蜂……」



 ああ、なんだか賑やかだなぁ……そのまま意識が沈んで行った。




▽▲▽▲▽


side.Heroine


 私の目の前でショッキングな事件が起こったのよ!

 令嬢達の声は叫び声では無かった。ただ名前を読んだだけだったけど、周囲に危機的状況を伝えるのに十分な声。あーっ、これが淑女ってやつなのね。私は漠然と理解した。


 妹であるマリノリアに双子が駆けつけるのは解る、それでも羨ましいけど!

 2人は何も言わずとも連携が取れていて、マリノリアが地面に倒れないようにランディ様が肩を支え、フィー様が蜂を氷の針みたいな物で殺していた。今、呪文唱える時間あった?物凄く早かった!

 いつの間にかジル様がマリノリアの背を支え、首元に手を伸ばし何か、多分蜂の毒針を取った。

 何時駆け寄ったの??双子といい勝負、めっちゃ早っ!そして直ぐにその痕に唇を寄せたの!!


 ええええええっ!!!!!ジル様は潔癖症なのよ。だいたい蜂の毒なんて消毒すればいいじゃない、わざわざ吸い出す必要あるの?しかも2回もやったわよ!羨ましいわ!!だって吸い付いちゃってるのよ?ただのキスじゃ無いんだから!!キスマークなんて残ってたらどうするの?しかも指で撫でたわよ、ええ、分かっているわ!治癒魔法を掛けただけよ!


 ああっ!今度は何自然な流れで抱き上げちゃってるの?双子でもけしからんけど、ジル様だなんて余計に羨まけしからんって奴じゃないの??ジル様のお姫様抱っこなんて私立ち直れないわ!だってそんなのスチルにも無かったんだからね!女の肌に吸い付くなんてシナリオでさえも無かったわよ!ハッピーエンドですらホンの軽~く唇同士を合わせるだけの物足りないエンドスチルだったのよ!



 きーーーーっ悪役令嬢に”ご褒美”いいえ!これは”ラッキースケベイベント”よ!そんなモノが起こるなんて信じられない!この収穫祭ってイベントは私の為のイベントなんじゃ無かったの?一体どうなっているのよ?



 この時、私も混乱し過ぎて気を失ってしまった!

気を失ったヒロインは勿論殿下がお姫様抱っこで医務室に運んでくれます。

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[一言] はじめましてこんにちは。 いつも楽しく読ませて頂いております。 婚約者である殿下との絡みが全くないのが不思議というか、新鮮というか…主人公目線だから当然ですが、殿下がモブに見える…(笑)攻…
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