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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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75. 悪役令嬢、やっぱり大神官の凝視はキツかったわ

 甘かった!そう、私も甘かったが、お母様でも想定外だったようで、いつになくソファーに深く腰掛け手に持ったカードを睨みつけていた。まさかの当日配達!つい先ほど顔を合わせた相手である。っと言っても四時間ほどは経過しているのだが。

 カードの送り主はもちろん大神官である。カードの内容は『久しぶりに親交を深めたい。ついては近日中にでもゆっくりお茶会の席でも設けたらどうだろうか』ってことだけど、大神官は今、領都内のルーラ教会に身を置いている状態だ。つまり居候。

 ちなみに教会名に付いているルーラはこの領都の地名だ。正式には『アトランタ地方ルナヴァイン領都ルーラ』と言った所だ。


 教会に居候している大神官が”ゆっくり茶会をしたい”っとは、要するに招待してくれ、と言う事だ。


 「流石あの皇帝(あに)に似ているだけあるわ。 図々しさは歳を取ると益々磨きが掛かるモノなのね」


 お母様、貴婦人の仮面が剥がれていますわ!怨嗟が漏れ出ていますわ。

 お母様は未だに自分達の結婚を反対し、仲を引き裂こうと画策した人達を許していない。理由はまだその件が現在進行形で終わっていないからだ。『結婚を認める代わりに娘が生まれたら皇太子の妃とすること』という内容の誓約書の存在。終わるのは私が皇太子妃になるか、それとも死ぬか。


 この”死ぬ”は勿論、命が無くなる事だけを指す訳では無い。手っ取り早いのが何らかの瑕疵による婚約破棄。実現すれば理由など関係無く私の貴族令嬢としての価値は暴落するだろう。学園は中退になる上、社交界からの抹殺だ。

 それでも私はあんな男と結婚するのはゴメンだ。一生結婚出来なくなっても良い。好きな人は居る。でも無理なのも分かってる。だからそれ以外の楽しい事を精一杯楽しめたらそれで幸せなの。せっかくこんなに健康な身体に生まれ変わったのだから人生楽しまなくちゃ!


 「まぁ!お母様、お茶会だけなら良いではありませんの。 速やかにお帰りいただきましょう」

 「そうねぇ、どうせ逃れられないのであれば、嫌な事はとっとと済ますに限るわね!」


 ああ、お母様ったら声が聞いたことの無いほど低いですわ。私も大神官は苦手だけど、お母様はそれ以上なのだわ……。



 そして、二日後にささやかなお茶会が開かれた。

 我が家勢揃いと、大神官様と言うレアなメンバーである。茶菓子はもちろん、紅茶も最高級品を取り揃えて、表向きは歓迎の体裁を整えられていた。流石にお母様、私情を混ぜずによく用意したものだわ。場所はテラス。とても景色が良いけどもちろん野外。まだ本邸にはガラス張りのテラスを作っていないの。ちょっと色々余裕が無くてね。でも今の時間は暖かくて気持ちが良い。

 話は主に魔法について。どうしても聖属性魔法や究極治癒の話に持って行きたがるのが困りモノ。私の闇属性がどれほどのものかも興味津々だけど、大怪我した彼を治癒したらふらついてしまったと言って、MP∞というチートを誤魔化した。どうも、ステータス部分の細かい数値までは分からないようだ。ただ大まかな魔力は分かる様だから気をつけないと、っていっても∞って普通じゃ無いから分からないわよね。


 「でもご令嬢は、特訓次第でまだまだ伸びるでしょう。 聖属性で無いのは残念だが、使用出来る属性は突然増えることもある。神殿で訓練し、癒し魔法をもっと極めてみてはどうかね?」

 「まぁ、大神官様から過分な評価をいただいて、何やら恥ずかしいですわ。 今は学園に通うだけで精一杯で、魔法はまだまだだと思っておりますの。 学園でも来年基礎からしっかりと学べますもの。それを楽しみにしておりますわ」

 「なに、そう堅苦しく呼ばれるのも寂しいものだ。大叔父と呼んでくれないか」


 うぬぅ……手強いってかシツコイ!やっぱりコイツ私のことも狙ってる!ちょっとー、殿下の婚約者〈仮〉で、巫女にも勧誘ってめちゃくちゃカオスになって来たじゃないの。言っとくけど私は闇属性ですからね!誰かが言い始めたらしい『月の女神の化身』なんて全く違いますから!ああもう、絶対に聖属性は隠し切らなくちゃ!


 「まあ、恐れ多いことですわ」


 ああ、早く時間過ぎてくれないかなぁ。そればかりを考えながら、私とお母様とで大神官様を接待した。だって他の男子達が口を開くのは食べるか飲むかだけだったんだもの。まいったわ!そもそもお父様とフィンネル兄様は社交嫌いだったわ。今回狙われてる当事者フィンネル兄様のだんまりは、『天災級』と言われたのがショックだったらしいとフォローはしておいたけど。でもリンデーン兄様も黙々と飲食していただけだった。流石にこちらはフォローのしようが無かったわ。


 「ほほほ、我が家の息子達はスウィーツに目がありませんの」


 なんて、扇子で口元を隠しながら喋っていたけど、引きつっているのが分かりますわよお母様。

 不毛な狐と狸とハムスターのお茶会は「そろそろ寒くなって来ましたわね」という言葉でお開きとなるまで続いた。

 何てしつこい!もう会いたく無いわ。絶対に大叔父様なんて呼んであげないんだから!



 日程にはまだまだ余裕がある。まだ1週間もあるのだ。ダンジョン行っても良いかなぁ。平日にダンジョン行けるなんて良いわぁ。ちらりとフィンネル兄様を見る。そろそろ魔石拾いに行きたいなーっと念話をして見たけど通じなかった!やっぱりここは素直に行きたいと言うか?



 春の雪うさぎ狩りに氷の洞窟ダンジョンに来ていた。何故かリンデーン兄様も。今日なら確実にヘルとジルに会わないからって言って、俺も冒険者登録するって聞かなくて付いて来たのだ。どうも今までも来たかったらしいけど言えなかったとのこと。うん、まさにツンデレですね。


 「大体お前らだけで暴れるなんてずるい! マリアは俺も守る」

 「いや、マリアじゃなくてマリナで通してくれない? 速攻でバレそうだから気をつけないとだなーっ」


 うん、フィンネル兄様面倒そうですね。

 それに、急なことでリンデーン兄様の冒険者(コスプレ)衣装は間に合わなかったので、うちの護衛騎士団の制服をジャケットは着せずシャツまでにして、簡単に防御系の魔法付与をした汎用的なデザインのマントを衣装部屋から拝借して、見た目だけは初心冒険者っぽくした。


 早速冒険者ギルドのフーゲン支部受付にリンデーン兄様を預けて、フィンネル兄様と私はひと暴れしにダンジョンに入った。



 「なんだか、自分のMPに余裕があるのが分かったら、気持ちが楽になったかも」

 「今までもコントロール抜群に見えていましたわよ?」


 ああ、気が緩んで令嬢モードが抜けてないや。気をつけなくちゃ。

 昨日のストレスを身体を動かして解消する。フィンネル兄様も大神官の凝視には精神を削られたらしい。うん、ある意味精神力を鍛える修行になるのかもしれないわね。その後の疲労が半端ないけど!

 おおーっ!


 「やっぱり春は魔石の色合いが違う!雪うさぎの魔石は春は薄めになるのね」


 ジェルネイルみたいな透明感ある色だわ!来て良かった!階層中を一掃しながら、最下層の67階層のボスフロアまでやって来た。いやぁ、二人だと攻略早い!今回も魔石化する前に氷雪ドラゴンの永久氷をゲットする予定。だって夏に大活躍しそうだと思わない?夢のアイスクリーム屋さんを安い支度金で出来るかもしれない♡

 うん、今日の私も食い気と守銭奴で安定してるわ。


 フィンネル兄様が先ず【雷の槍(サンダーランス)】で片翼を崩して欠片をバッグに入れた。私も拾えるだけ拾った。で、私の剣でカチ割って終了!流石守銭奴!ドロップアイテムは雫だった。あれ?お兄様に渡したドロップアイテムの弓ってここのだったよね?この雫で強化出来ないかしら?相性合いそうじゃない?まぁいいや後にしよう。あまり待たせるとリンデーン兄様がいじけちゃうかも!


 お帰りの魔法陣に乗って速やかにフーゲン支部に戻ったら、リンデーン兄様はちょうど受付でギルドカードを受け取っていた。ランクは私の初期と同じE、でもお兄様は満足そうだった。仲間外れが寂しかったのは本当だったのね。ツンデレって最初のツンを乗り越えると可愛いのよ。


 今日はストレス解消が目的だったので、鑑定を受けて、ギルドカードに記録だけしてもらったら、引き取りはお願いせずに全部持ち帰った。例によってフロア核は欲しがられたんだけどね。最近のオーダーメイド需要に必要だから今は売れないの。それにしても今日はレア進化魔物の遭遇率も高かったしドロップアイテムも多かったな。割と強いのも居たから少々疲れたかも。

 そして三人三様に気分をスッキリさせて帰宅したのであった。


 今回はすっかりひいお祖母様にも私達の、と言うより私の冒険者活動がバレて呆れられたのだけど、怒られはしなかったし、なんだか楽しそうだった。


 「あらまぁ!いつの間にかお転婆になっちゃって。 幼少時に我慢させ過ぎたのがよく無かったのかしらねぇ! ふふっ、そのローブ、可愛らしいわよ」


 ううっ、私のもふもふスキーを認めてもらえた様な気がするわ。そうして、私達は思いがけない休暇を楽しんだのであった。帰りは私達、お兄様方と私の三人で転移魔法で帰宅した。その方が護衛騎士だけを動かさずに済むからね、本当にもう、皇都内の武力規制が厳しくて面倒臭いわ!でも領地にギリギリまでいられたから良かった。

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