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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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67. 悪役令嬢、いよいよですわ!

 ()()()は何もしなくてもやって来る。


 建国記念パーティーをあと3日に控えた日の午後、私は出来上がったドレスの試着をしていた。

 お母様にプロデュースをお願いして良かった!私にしては可愛らしい色合いも入っているけど、全体に落ち着いたそれでいて、か、可憐で上品な仕上がり。私が着てもしっくり馴染んでいるし、真っ赤なチョーカーをつけても尚、上品に見える。ドレスの基本の色は薄い藤色で、肩の出るオフショルダー、ネックラインから鎖骨が綺麗に見えるように、かつ貧相な胸元を苦労してコルセットで造成した谷間が僅かに見え、女性らしさをそこはかとなく強調しつつ主張はしないよう、肌にぴったり沿うレースを胸元に配している。肩部分もレースを重ね、薄紫のタンザナイトとホワイトサファイアのマーキースカットが幾重にも重ねた細いピンクゴールドのチェーンに下がっている。

 そして私のそれでなくとも折れそうなウエストが強調されるベルライン、ドレス部分には基本色と同色と更に薄くした色、少し濃くした色、藤色に馴染みやすいように僅かにオレンジ色が混じったパウダーピンク、ごく薄いクリーム色の薄いシルクオーガンジーの花弁が重なり合ったようになっている。袖部分にも同じシルクオーガンジーが使用されていて、腕が透けて見える仕様。夜会基本の手袋は腕の半ばまである長手袋で、腕の部分には透けて見えるとはいえ隠すのは惜しい素晴らしいレースが施されていて、そこにもマーキースカットのホワイトサファイアが3つ付けられている。


 誰だこれは、化粧も本番仕様に施された私は別人だ。髪はハーフアップでまとめ上げられた部分と額までドレスの袖に使われているのと同じようなチェーンが巻かれ、そこには他にブルームーンストーンも混じってる。素敵だ、汎用性のあるアクセサリーだ。まとめ上げられた髪の左側にはシルクオーガンジーで精巧に作られた白い大きめの牡丹の花が配されていた。そして下された髪はふんわりと巻かれている。元がキツい所為で可愛いとは言えないけど、可憐で上品な妖精さんがそこに立ってる。うわぁ、これは力入り過ぎなのでは?何のための勝負服なんだろう。


 これに追加して金剛の腕輪、魔法攻撃反射の効果付きの遺跡装備(アンティクメント)品、使用されているのはミスリルで真っ赤な魔石という、チョーカーと合わせてもおかしく無い、腕に付けるしか無いと思っていたけど、手首にも装着可能だった、伸縮自在!サイズフリー!流石遺跡装備(アンティクメント)は違う。今回の私は重装備だ。これで聖女と聖属性持ちのステータスを隠蔽しても大丈夫だ。

 事前情報で、今回のパーティーには大神官や教会上層部のお歴々が参加すると聞いている。もちろんフィンネル兄様の聖属性持ちも隠蔽で隠さなければ。


 それに、他国からの賓客を多く招待して居ると言う。聖女の存在を隠すどころかアピールしようって方針らしい。まぁ、前聖女の存在もあまねく知れ渡っていたから想定内の対応だけどね。

 


 

▽▲▽▲▽


side.Heroine


 緊張したー!


 て、私ここ最近そればっかりな気がする。だって緊張するんだもん。

 今日は3日後に行われる社交界デビュー用のドレスの試着がある。採寸したのはもう二ヶ月も前だけど、太ってはいないはずよ。だって神殿の食事ってば、少ないし味が無いんだもの。おやつも出ない!これならデボワール本邸で食べていた食事の方がまだマシ。もうね、マヨネーズちょうだい!て叫びたいのをどれだけ抑えたか。ケチャップでもいいわ、この世界に存在はしているのに、どうして使わないの?清貧って言葉は見た目とイメージは美しいけど、やらされる方は大変なのよ。でもまぁ、ダイエットだと思って耐えたわ、私頑張った!

 聖女の修行だって頑張ったのよ?でも何だか元皇女様と比べられるの。聖女では無かったらしいのだけど聖属性魔法を使えて、強力な癒し魔法や、浄化魔法を使えたんですって。


 何よそれ、聖属性魔法とか浄化って聖女の専売特許じゃ無かったの?ゲームシナリオでも聖女ってだけでチヤホヤされてたじゃないの。なんでこんなことになっているのかしら?でもまぁ、その人だって聖女じゃなかったんだから私には敵わないわよ。聞いたらその元皇女様は降嫁したんですって。つまり臣下に下げ渡されたってことね、その程度の価値ならどうってことないわ、気にしない方が私の精神衛生上良いもの。


 ドレスの試着の前に、以前、攻略対象の4人と顔合わせした部屋に連れて行かれた。入った扉は前には出口だった方の扉まあこっちの扉も豪華なんだけど、何か意味があるのかしら?

 巫女に連れられて行ったそこには、既に皇帝が玉座に座り、左に皇太子殿下アル様、右に宰相、あと大神官も居た。

 そして前に進み、事前に巫女に聞いていた通りに皇帝に向かってカーテシーをして、そのままの体勢で深くお辞儀しながら「聖女、デボワール伯爵家が息女、モクレン。モクレン・デボワールにございます」と、挨拶して、皇帝の言葉を待つ。んも~っ早くして!足がプルプルしてるよ、もう横に倒れそうなんだけど、なにこの拷問のような挨拶は!忠誠心でも試しているの?


 すごく長い時間が経ったような気がして、やっと皇帝から、「面を上げよ」と声が掛かった、いや、今この体勢で上体起こすの大変なんだけど!

 私はグッと足に力を入れて、やっとの思いで上体を起こし、皇帝の顔を見る、目が合うか合わないかの少し下の位置を見るんだっけな。もう本当にこんなの考えたの誰よ。「楽にするがよい」と皇帝の声がした。ああ、やっとこのキッツい体勢から解放される、そう思って足の位置を戻そうとしたら、少しぐらついてしまった。うわーん!また上手く行かなかった!アル様の前なのに皇帝が中々楽にさせてくれなかったから恥掻いちゃったじゃないのよ!それに今だって皇帝じゃなくてアル様見たいのに意地悪ね。


 宰相が話を始めた。ここに呼ばれた理由がやっと分かるのね。


 「先の顔合わせではご紹介出来なかった二人がおりますので、本日紹介させて頂きます。パーティー当日は大変に忙しく、ご紹介しきれないかと存じますので」


 そう言って私の後ろ側に居る、たぶん扉前に控えている護衛に向かって頷いた。私は巫女に促されて扉の方を向く。少しして扉が開かれると、二人の少年が入って来た。金髪青灰眼の優しげで麗しい美少年の双子!うわぁ!ここで会えるのかぁ、めっちゃ綺麗だよ、向こうも少し緊張しているのかな?表情が硬い。後ろから少し靴音がして隣にアル様が並んだ、私はちらっとだけその素敵な横顔を見る。う~ん、いつ見てもカッコいい。今回はエスコートしてくれないのね、パーティーではエスコートして貰えるからそれまでの我慢かな。


 ランディ様とフィー様が揃って、1.5mも開けて立ち止まる。いや、十分近くだと思うけどさ。


 「この方が聖女のモクレン・デボワール嬢だ。聞いていると思うが、同じ組みに編入となるから、何かと気遣って対応してくれ」


 アル様が私を紹介してくれたので、私も「よろしくお願いします」と、ドレスを少し摘んで、45度くらいの深目のお辞儀をする。この体勢も結構キツいんだよね、背中を丸めないようにするのがしんどいの、姿勢を数秒キープするだけで良いからまだマシだけど。姿勢を戻すと、二人も右の手のひらを左胸に付けて深くお辞儀をした。動作が流れるようで綺麗だなぁ~って思ってたら、二人とも顔を上げた。


 「わたくしはリンデーンと申します。ルナヴァイン公爵家嫡男です、お見知りおきください」

 「わたくしはフィンネル。ルナヴァイン公爵家次男、見ての通りリンデーンとは双子の兄弟です」


 二人共、前の三人よりも更に固いなぁ~。特にフィー様が緊張しているんじゃなくて冷ややかな感じするの気のせいかな?私何にもしてないよね?私は必死で可愛らしく見えるように笑顔をキープしながら少しだけ小首を傾げた。


 そうしたら、また何もお話ししてないのに巫女がやって来て、「聖女様はこれからドレスの試着がございますので、これにて失礼させて頂きます」とか言って、腕を掴んでその場から連れ出された!ちょっとー!その二人とはパーティー当日はお話し出来ないんでしょう?なんで忙しいのか分からないけど、いや、私は社交界デビューがあるから、それが終わるまでは忙しいけど、ファーストダンス後は多分暇よ?なんだかお偉いさんに紹介はされるらしいけど、ほんのちょっとくらい話させてよー、好感度の上げようが無いじゃない!

 あーん、アル様ともまたお話し出来なかったよ、本当にもう!なんなの?


 でも学園が始まったらチャンスが沢山有るに違いないし、焦らなくっても大丈夫よ。頑張ろう♡




▽▲▽▲▽


side.Boys


 三人は皇太子殿下の私室に入った。扉を閉めて誰ともなくホッと息をつく。


 「挨拶あんなもんで良かった?別に学園でも良くね?」

 「酷いものだと聞いていたが、まぁ、普通だったな。あの程度なら護衛はともかく、世話はご令嬢方に任せれば良かったと思う」


 フィンネルは明らかに不機嫌だ。リンデーンもそう大差ないが流石に抑えたようだ。


 「まぁまぁ、そう言うな。 何しろ67年振りの聖女様の顕現だ、父上からも丁重に扱えと厳命されている」

 「殿下は特に不満無さそうですね」


 少し意外そうにリンデーンが聞いた。


 「まぁ、な。 世話と言っても同じ組みで移動教室の際に連れて行ったり、学園内を案内する程度だ」

 「ふうーん、まぁいいですけどね。聖女様も殿下に満更でも無さそうでしたし? 僕らは妹の送り迎えの護衛もあるんで、()()は考慮して貰えると有難いです」


 何やら嫌味が込められたフィンネルの言葉に、殿下は不機嫌の理由を何となく察したようではある。


 「お前らも忙しいな」

 「別に、妹の護衛は命令されてやっている訳では無いんで」


 同情的に言った殿下に対してフィンネルが答えた。


 「ああ、噂通りシスコンって本当なのか」


 殿下は両手をお手上げの状態に上げて呆れている。


 「あのねぇ!殿下も身内が毒殺されかかったら分かりますよ。 食事に気を付けていても飛び道具だか擦れ違い様にチクリでアレですよ?殿下だって()()()()ご覧になったでしょう?」


 リンデーンが少々キレ気味に応じる。シスコン呼ばわりは不名誉らしい。


 「「ああ、うちの妹なら直ぐにでも返して貰って構いません」」


 とは言わずに、双子は退出の挨拶をして殿下の部屋を出た。


 今日この時、双子が不機嫌極まりないのには、わざわざ挨拶のためだけに皇宮に呼び出された事だけが理由では無かった。

 もうドレスの試着は終わっているだろう。そう、今日は彼らの妹の、母親がプロデュースした渾身の出来だと聞いている、建国記念パーティーで着るドレスの最終チェックだったのだ。



 やはりシスコンに相違無いようだった。

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