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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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66. 悪役令嬢、もう幾つ寝ると……?

 今日はお隣の国、アルト王国の歴史を学んだ。


 私にとって目新しい情報があった訳もなく既知の情報だ。

 多くの国と同様に神話のような話から始まる。魔王を倒した英雄である勇者が、治癒師(ヒーラー)としてパーティーメンバーでもあった泉の女神を娶って建国の祖となったらしい。その割には砂漠化激しいよね、特に帝国側が。


 砂漠化が顕著化したのは65年程前から、以降広がることはあっても逆は無い。食物自給率60%弱。困った王国は領土拡大を夢見て、22年前に隣国スウィテ・セレナ帝国に攻め入った。7年もの長き戦争はスウィテ・セレナ帝国の圧勝で終結し、不可侵条約が結ばれた。最近『黒い水』を発見し、掘り尽くした『黒い石』に変わる燃料として北側諸国に輸出し、代わりに食料を輸入している為、現在の経済は安定している。って事だけど。


 まぁ、神話は置いといて。砂漠化が顕著化、しかも65年前からなのは、実際にはその前から砂漠化の兆候が有ったけど帝国の聖女の力が現在砂漠になっている場所まで及んでいた為、聖女が身罷った65年前頃から一気に砂漠化が顕著になったってだけの事。

 砂漠化の本当の原因は北側諸国に燃料として高値で輸出していた黒いダイヤ、所謂石炭。石炭を掘る際に森林ごと山を削って水源を枯らす原因となった。困ったアルト王国は手っ取り早く隣国、つまり我が国に攻め入り、一部でも領土を獲得しようと目論んだけど、7年に及ぶ戦争の結果惨敗。不可侵条約を結び、戦時賠償金の請求をされて借金まで背負った。不幸中の幸いか、砂漠からは黒い水、所謂石油が出て来て、石炭の代わりに北側諸国に高く輸出している。おかげで食料の輸入資金が賄えている。そんなところ。

 ははは、環境破壊しすぎだよ。アルト王国の砂漠化地帯って、うちの領と同じ緯度だからね、熱帯地方じゃないの。雨が全く降らないわけでも無い。ただ保水力が無いから作物が育たないだけ。オアシスは少しだけ点在しているらしいけど。なんだかなぁと、自業自得のくせにまだ帝国を恨んでいるアルト人は多いらしい。なわけで、国交なんて夢のまた夢の話。砂漠化は気になれど、こっちの国からの働きかけは出来ないのね。


 こうなるとアルト王国と取引している北側諸国の環境破壊も気になる所だけどねぇ。石油の精製って各国でどうしているのかしら?そこのところの技術的な問題は分からないけど、使い方によって環境破壊を急速に進める原因になる事くらいは知っているわ。



 お昼のガゼボは今日も平和に話に花を咲かせている。皆んなこの時期は学園行事であるプロムパーティーよりも、本当は建国記念パーティーの方が気になっているハズだと思うのだけど、昨年私が毒殺されかかったからその話題を避けているみたい。だから私の方から振った。


 「皆様はもう建国記念パーティーのドレスをどうしようか決めているのかしら?」

 「まぁ、マリーは今年どうするの?」

 「そうね、お気に入りのアクセサリーを手に入れたの。 それに合わせてドレスを仕立てようと思うのだけど、わたくしでは迷ってしまって、お母様に相談しようかと思っていますの」

 「まぁ!ルナヴァイン公爵夫人様ならとても素敵なドレスになりそうですわ。 そのお気に入りのアクセサリーはどういったものですの?」

 

 ロサが話に乗ってくれた。昨年ディナが社交界デビューし、全員社交界デビュー済みの為、皆色とりどりのドレスを用意することになる。


 「ルビー色の魔石をあしらったチョーカーなの。 でも考えてみましたら、今まで赤い宝飾品って身に付けた事がありませんでしたの」

 「まぁ、素敵だわ。 普段と違った装いで新しい魅力を知っていただく良い機会ですわ」


 あーっ、ロサは私と皇太子がどんなけ不仲なのか分かってないのね。はい、もう修復不可能で~す!


 「ふふっ、ロサはまだご存知ないのね。 その日、殿下は別の、今年デビューするご令嬢をエスコートしますのよ」


 それに目を見開いて驚いたのはディナだ。


 「何ですって!? わたくしは昨年デビューしましたわ、でも今年はヘルムルト様がデビューするので、わたしがパートナーを務めますわ!ですからドレスの色は白ではありませんけれども、薄めの色合いで抑えて、ヘルムルト様をお引き立て出来ればと!ああっ!殿下は一体何をお考えですの!」

 「まぁ、ディナ、わたくしのためにありがとう。 でもわたくし、殿下とは政略結婚である事を、お互いに割り切っておりますのよ。 当然、例えばの話ですけれども、この帝国の国益に適うお相手が現れましたら、わたくしはご命令に従い引く覚悟はいつでも出来ておりますもの」

 「……皇太子殿下のご婚約者って、もっと華やかで、大切にしてもらえると思っておりましたわ。 ごめんなさい、涙が……」


 あらら、リリーが感極まって涙を流してしまいましたわ。私は殿下のこと何とも思っていないから大丈夫なのに。ああ、その事を言って置いた方が良いわね。


 「まあ!リリー、優しいのね、ありがとう。 でもわたくし、ご心配には及びませんわ。 殿下は好みではありませんの、ふふっ」

 「まぁ、ではマリーはどういった男性がお好みですの?」

 「あら、リリーは以前、強くて、頼り甲斐のある方が良いっておっしゃっていたでしょう? わたくしも、そう思いますわ。 それに、少しはわたくしに構ってくださる方が良いわ。 殿下みたいに忙しい方だと、わたくし放って置かれそうですもの」


 実際に、もうずっと13年以上放って置かれていますけどね!前世の記憶を取り戻す前から、せっせと好感度落としに勤しんでいたのは我ながら驚きだったわ。ああ、でもジル様も仕事(まほう)一筋で構ってはくれなそうね。でも良いのよ、殿下とは別だから。


 「そうね、わたくし、サトゥレ侯爵令嬢と親同士の交流があるのですけど、先日お茶会に招かれて、話を聞きましたけれど……ご婚約者のスチュワート公子が忙しいと全く構ってくれないと嘆いておられましたの。 殿下の側近候補で、既に皇宮に出入りなさっていると聞きますもの、お忙しいのは理解しますわ。 殿下も同様にお忙しいのでしょうね」


 まぁ、時間は作るものなのよ。エリンと殿下に関しては面倒なだけだと思うわ。だって本当に時間が無いわけではないんだから。これは言わぬが花ね。


 「そうねぇ、ところでディナは抑えめの色って何色にするのかしら? 春だし、パステルグリーンとか?」

 「ええっ!どうして、ああ瞳の色ね。 ええ、アクセサリーはエメラルドの良質なものを探しに探して揃えましたわ。 デザインはまだ迷っていますの」

 「あら、殿下がエスコートをするってことは、パドウェイ公子は二番目の入場になるのね?」

 「そうなりますわね。それにスチュワート公子とサトゥレ侯爵令嬢も今年デビューですの、ですから3番目の入場になりますの。殿下のパートナーってどこのご令嬢ですの?心当たりがございませんわ」


 スチュワートとパドウェイの序列は変わらないのだけど、パートナー同士でデビューのエリンに順番を譲ったって事ね。

 うーん、ドレスの話がしたかったのだけど、話が脱線してしまったわ。でもこれで少しは建国記念パーティーへのタブー感が薄れたかしら?


 午後はダンスの時間。でも私はエスコート側になった。一組は女子が2人も余ってしまうのね。講師の先生もエスコート側をした。中々厳しいものだと思うわ。

 ただ、この組み殆どが社交界デビュー済みでその他の問題があるわけがなかった。まぁ私はエスコート側でも全く大丈夫。ロサと一緒に女子同士のダンスを楽しんだ。



 今日はダンスの授業もあったので、鍛錬はお休みして新作の刺繍を刺したり、宝飾デザインをしてみたりと、お仕事をしていたのだけど、魔石を見ていて、オレンジが強めのオレンジピンクで、とても透明感がある柔らかい色合いのが目に入った。何となくジル様を思い出して、ああ、サキュバスの毒って要は獲物を自分から逃れられなくする為のもので、催淫効果の解除については別なんだよね。要は魅了が関係しているの。パーティーの女の子達が使ったのが惚れ薬、催淫剤の何れかは分からないけど、これも根底は魅了なわけだ。魅了に欲、庇護欲、肉欲、独占欲。まぁ根本の原因である魅了効果を無効にする魔法付与をすることによって、助けられないものだろうか?目下のところジル様が狙われている場面に出会している訳だけど、私達の遭遇率って非常に低い。またあんなタチの悪いパーティーと組むことになったら?


 あー、今頃シナリオ開始時並みに潔癖症発症している可能性あるなぁ、でも私のせいじゃ無いよね。うーん、一応救出は出来たと思うんだけど、しばらく女性の居るパーティーの助っ人はしたく無くなるだろうなぁ。


 ってことで、個人的に作ってみました!魔石削り出しのイヤーカフ。色合い的に目立たない、特にジル様なら耳に付けただけでも目立たないんだけど、髪色でさらに目立たなくなる。この自己主張の無さが私らしい。でも品質は保証付きよ?だって20cmの魔石の一部を削って作ったのよ。装着したら、耳に馴染んで落ち難くなるという古代装身具(アーティファクト)の様な仕様、付与魔法は当然『魅了無効』

 なんて素晴らしい!うーん、これどうやって渡す?だってもういつあんな目にあうか分からないから、冒険者活動しばらく休んじゃったりするかもしれない。これはマリナが渡そうとするよりも、フィンネル兄様に渡してもらおう!


 でもきっと、お兄様方も欲しがるわ。お兄様方はピアスを付けているけど、それが良いか。ピンキーリング?うーん学園内では外さないとダメかも。あとはペンダント、ブレス。えーい、こうなったら本人達に聞いた方が早い!


 まだ夕方なので、先ずフィンネル兄様の部屋に行った。あらら、勉強中にお邪魔しちゃったみたい。でも歓迎してくれて、少し休むところだったと言って、お茶の用意をさせた。


 「それで、何か相談ごとかな?」

 「まぁ!なんで分かるのかしら? 実は、マリナの時にアートに会う事はそれほど無いのに、高確率で毒にやられてますの、しかも強力な」

 「ジルが? それって、ジルには対処難しいのかなぁ、あいつ天才魔導師だよ?」

 「そうなのね。 でも一度目はサキュバスの毒で、気が付いたのが早かったから聖水で対応してすぐに復帰出来たのだけど、二回目はどうも、パーティーを組んだ仲間にその手の薬を盛られたみたいで、わたくしが通りかかった時には意識が無くなりそうな位で、危険だったのよね。 でも聖水を飲ませて、たぶん大丈夫になったと思うけど」

 「ちょっと待って! マリアは何もされなかったよね?」


 ん?お兄様ったら私の心配なの?ちょっとズレてないかしら?


 「危なかったのはアートの方よ。 もう身体に力が入らないくらいだったもの、今日は学園にいらしてた?」

 「ああ、普通だったと思う」

 「そう、だったら聖水がちゃんと効いたのね。 それで、これを渡して欲しいの」

 「これは?」


 お兄様は眉をひそめている。頭には明らかに、はてなマークが飛び交っている事だろう。


 「『魅了無効化』の魔法付与付きのアイテムよ」

 「いやぁ、マリアに関してはもう驚くことないと思っていたけど、多彩な魔法付与が出来るんだね。 渡しておくよ、マリナからってことで良いの?」

 「それしかないと思うわ。 でも殆ど会うことが無いから、フィンネル兄様から渡して貰った方が良いと思いましたの」

 「わかった、任されたよ。 でもさぁ、その魅了って、毒や薬じゃなくて魔法でもあっただろう? 僕達も欲しいなぁ。 立場的に危ないと思わない?」


 うん、想定の範囲内ですわ。


 「もちろん! お兄様方にも必要だと考えていましたわ。 何時でも付けて行けるとしたら、ピアスかネックレスですわね」

 「ピアスがいいな」


 ニコニコ笑顔のフィンネルお兄様が少し怖いですわ……。



 後日。お兄様方の希望で、フロア核の強力なインペリアルトパーズ色の魔石を職人さんにスクエアカットして貰った石を使って、土台はプラチナで私がデザインして先にお兄様方に見せて許可を取って、キャッチ部分には外れ防止の魔法付与もして出来上がったのをプレゼントした。でもかなり喜んでくれたので、精神力ゴリゴリ削ってピアスの土台作りをして良かったと思った。ちなみにお兄様方のピアスには私が持っている加護と同じ『精神異常無効』と言う『魅了無効』以上の魔法付与が付いている。単に自分のステータスを見てて、あとで思い出しただけなのだけど。



 プロムパーティーは何とか参加出来た。馬車の中で具合が悪くはなったものの、何とか学園まで到着し、保健室で少しだけ休ませて貰ってパーティー開始には間に合った。私たち五人は相変わらず壁の花に努め、デザートが出て来たら取り皿に取って、テラス席でゆっくりお茶会をして楽しんだ。



 ああ、あと二週間もしたら建国記念パーティーでヒロインとのエンカウントだ。

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