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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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64. 悪役令嬢、時間が無いけど一歩ずつ進みますわ

 冬休みが終わってもう一週間。学力試験はいつも通り主席キープ、奇跡的な満点。どうして奇跡かと言うと、一週間前の登校初日に帰宅した私がガラス張りのテラスでゆっくりと刺繍を刺していたら、お兄様方が、らしくなく室内に駆け込んできて、冬休み中に皇太子殿下と側近達、お兄様方以外の公爵家子息達が集められ、聖女を紹介されたと言う事を聞き、とても心穏やかでは居られなかったからだ。

 正直に言って心のコンディションは最悪だった。でも満点。これでまた殿下の好感度が急降下、今どれだけ下がっているのかしら?もう内部データでマイナス振り切れちゃってるんじゃない?


 不思議な事に、私とお兄様方に寮に入れと言う人は誰も居ない。ゲームシナリオでは開始時には三人共寮に入って居たのだ。他の攻略対象者も、殿下以外は寮に入って居たはずなんだよねぇ。当然私以外の悪役令嬢達も。

 それにリンデーン兄様の婚約が決まる気配も無い、まだ約二ヶ月あるけど。聖女の顔合わせだって早かったし、今は神殿に居るらしいし、色々と違うものなんだなぁ。

 私の周囲だけじゃなくヒロインの置かれている状況も違うってことは、もしかして……ヒロインも私と同じく転生者?

 名前はモクレンと聞いた。うーん、そうねぇ、思いっきり日本語名でしょ。ヒロインの名前だけは任意だからね、公式だとデフォルト名がキャサリーナだったかな。うん、ラノベでそうだったから覚えてる。うわぁ、建国記念パーティーが余計に憂鬱になって来たよ。


 他の友人達も安定の5位以内に皆んな収まってて凄い。この学年だけ突出して総合点が高いのも慣れたわ。三年生も代わり映え無しね、ジル様の3位キープはいつまで続くのかしら?上位3人の順位こそ変わらないけど、総合点は僅差だったりするのよね。お兄様方はお母様怖さに頑張ったらしいわ。9位と10位って、先ず10位以内に入ったのが初だと思うわ。やれば出来るのにやらない子がうちのお兄様方なの。冬休み中あれだけ仕事の補佐をやらされ、領地護衛騎士達との鍛錬に、私のダンジョン通いに付き合ってくれて、よくここまで順位を上げたものだわぁ。脳ある鷹は爪隠す、ってこの二人のことね。


 今日は私がケーキでも焼いてお祝いして差し上げようかしら?ちょっとご機嫌になって、その場を離れた。




▽▲▽▲▽


side.Elin


 平和だ。安定して居ると言う事は何よりだと思う。次席の殿下との点差は僅差ではあるが俺の主席キープ記録は更新中だ。

 二年生の結果にも、もう驚かなくはなったのだが……満点って何だかな。風の噂に聞いた所によると領地内で始めた新事業だかに令嬢も一枚噛んでるとか実は主導しているらしいとか聞いたが、それでも学業は疎かにしないらしい。

 その場にいるだけで目立つ令嬢が少し離れたところからご学友達と共に結果を見ている。ふと隣の、俺達の学年の順位を見て表情が緩んだ。ああ、双子達の順位を確認したのか、と思い至って、やっぱり俺も妹欲しかったなぁとしみじみ思ったのだった。あんなに完璧じゃなくても良いんだ、とにかく鬱陶しく無い程度の距離感を保てる空気が読める可愛い妹がいたら、焦って婚約する必要も無かっただろうなぁ。


 その証拠に双子は嫡男のリンデーンですらまだ婚約が決まってない。聞いた所によるとまだ目星も付けてないらしい。自由だ、そもそもルナヴァイン家は代々恋愛結婚が多い家系だと聞く。中には大問題になった結婚もあったようだが……。

 そうだ、現当主と元皇女の結婚がそもそも大問題になったと言うではないか。先代のように駆け落ちしないだけマシだっただけで皇女が振り切って強引に降嫁したのは有名だ、ロマンスという隠れ蓑で誤魔化されているが。


 まぁいい。無い物強請りをしても虚しいだけだ。だが、暢気に頭の後ろで両手を組みながら順位表を眺めて笑いあっている双子を見るとモヤっとした。


 「リンデーン、今回は余裕じゃないか」

 「やだなー、前回の結果で親にどれだけ絞られたか。 もうね、思い出したくもないね」


 なんて、こんな話を聞いてもなお此奴らが羨ましく思えた。


 「そう言えばさ、お前らんところの領でも魔石を加工して売り出したって? うちと競合するんだがどうなの?」

 「えーっ?そうか? そもそも材料の一つが魔石ってだけで別物だろう」


 フィンネルはすっとぼけるの上手いからなぁ!


 「いや、被ってる。 貴金属の宝飾品も扱うって聞いたぞ」

 「あー、うちは扱う予定なかったんだけど、顧客からの要望が多かったらしいんだよね。 うちの領って元々貴金属加工や宝飾関係の職人多いし、なんで魔石はダメなんだって言われちゃうとねぇ。 でもお前らの所みたいな魔石ビーズが連なった腕輪とかビーズやルースのみの販売はしないよ? 既製品もオーダーメイドも18Kアクセサリー以下の品は売らないから、そこは鉱山の宝石類と同じ扱いにしてる。 ああ、別に埋蔵量が無くなりそうって訳じゃないから」

 「ああ、なるほど。 商売にはフィーが絡んでるわけか、双子で良いとこ分け合ってるよなぁ」

 「エリンさー、何だか機嫌悪いだろ? 八つ当たりは良くないぞ」

 「ランディには分からないよ、可愛い妹がいない哀しみなんて」

 「「そりゃ分からんわ」」


 あーあ、これで春からは婚約者のご機嫌とりだけでなく聖女様のお世話に時間を取られるのか。ヘルムルトと殿下はまんざらでも無さそうだったが、俺はとにかく自分の時間を削られるのが嫌なんだ。容姿が多少良くたって関係無い、と言うか聖女様の容姿は極普通だったろう。まぁ美女を見慣れている自覚はある。上を見ればキリが無いのは分かってるさ。




▽▲▽▲▽


 帰宅して直ぐにシャワーを浴びて、シンプルな動きやすいドレスに着替える。エプロンを手に持って厨房に出かけた。調理場ではもうディナーの仕込みが始まっているのだけど、隣に小さ目の私専用の調理場が増設されているの。皇都の邸(タウンハウス)でも、美味しい食べ物への探究心を追求し続けているのである。だって美味しい食べ物は前世からの私の楽しみだったのよ。どんなケーキにしようかな?温室の苺がいい感じに採れたから初物の苺ケーキが良いかも。うん、そうしよう。


 スポンジケーキを焼いて、4層に切り分けて、あんずジャムを薄く伸ばした上に生クリームを2mmくらいに伸ばし、縦方向に薄切りにした苺を隙間なく敷き詰める、で、また生クリーム、あんずジャムを薄く伸ばしたスポンジをひっくり返して重ねてまたあんずジャム、と繰り返してスポンジを乗せきったら、全体に生クリームを塗りつける。

 真っ白なキャンパスのように綺麗に仕上がったらデコレーション!生クリームを絞り袋に入れて丁寧に絞って行く。そして上には半分に切ったイチゴを切り口が見えるようにダリアの花びらのように並べて行く、真ん中には薄切りにしたイチゴをスライドさせて花のように丸めたのを乗せて出来上がり!


 うん、中々よく出来たと思う。食後のデザートと一緒に出すように給仕に頼んで部屋に戻った。領地の書庫の本は虱潰しに読み漁ったけど闇属性魔法について詳しい書物は無かった。ここじゃ蔵書量的にも期待出来ないけど一応チェックするか。

 流行りの理論や政治評論、経済関係が多いな、他国の書籍もある、文字読めるなぁ、これもお妃教育だったっけ?まぁ習ってはいたよ、小さい頃から。でも魔法関係ではないなぁ、残念。

 やっぱり帝立図書館か、それとも皇宮内の図書館?私の立場を使えば入れてもらう事は出来るだろうけど、ヤダなぁ~。同じ敷地内にヒロインが居る事に因って、私にとってよりダークスポットとなったのよね。近寄らないに越した事は無いわ。



 久しぶりにステータスオープン。この灰色の好感度バーが並ぶのが本来のステータス画面で〈攻略状況〉ってやつなんだけど、いい加減スキップ出来ないのかな?私にこの画面必要ある?無いよね?


 次のページに移動。あっ!精神力が130に増えてる!たったの10だけど増えた!まだまだ心臓に毛が生えるまでにはなっていないのね。残念だけど少し嬉しい。

 物理防御力は200から変わってないな、むしろ下がってなくて良かったと言うべきかもな、猛毒食らわされた後身体ボロボロになってたもの。あれ?雷多用していた成果かな?風属性がSSに上がってる!良いねぇ。土属性はそう言えば使って無いな、畑の時に少し使うくらい?もっと使うべきかしら?火も変わらないね、毎日使っているけど生活に使う程度では上がらないのかしら?でもSだからもっと何か使わないとこれ以上上がらないのかも。


 そうそう、私が見たかったのはスキルのリンク先だよ。ここに使える魔法が羅列されていると思うの。もしかしたら、使った事は無くても、使える魔法が記載されているかもしれないと期待して、リンク先参照をタッチする動作をする。

 ずらーっと並ぶ魔法の数々。思いつきで使ったものまで記載されてるわ、これで良いのか?創作魔法って事で良いのかしら?あら、使ったことが無い魔法も載っているみたいだわ。でも属性表示なしの魔法もあって困るなぁ。あまり親切設計では無いみたい。闇属性の回復系魔法も呪文自体は他属性や聖属性と同じなの?そうだとしたら、あとは私のコントロールの問題になるのよねぇ……。


 ちょっと時間と精神的余裕がある時にやってみよう。回復ならおかしな間違いはないハズ、よね。



 今日のディナーは前菜から全て普段より豪華だった。これでよりお兄様方に圧を掛けているような気がするけど、喜んでいることには違いない。やっぱ10位以内に入るか入らないかって大きいよね。

 私が作ったイチゴケーキも喜んでもらえた。食後に改めてテラスでゆっくりとティータイムを過ごす事になった。今日のお茶は少し酸味のあるドライフルーツブレンドティー、ケーキが甘いからちょうど良いしノンカフェイン。


 胃はもう万全の状態になったけど、最近ディナー後はカフェイン摂取を控えている。ちょっと寝つきが悪かったり、眠りが浅くなる日が多くなったの。こんな繊細な精神力では婚約破棄イベントを平和に乗り切る事なんて出来ないわ。もっと強くならなくちゃ!



 三年生になっても友人達とは同じ組みになれるとあって、食後のティータイムも和やかに過ごしていた。私達二年生にとっては教室が1階上になるだけ。あとは歴史や地理などの基本教養に周辺国のことも加わる、あとは外国語が選択教科に出て来る。のだけど、それほとんどお妃教育で学ばされましたわ。新たに追加された新情報が無い限りこれまで通り復習をしているようなもので本当に代わり映えがないわぁ。屋上庭園のガゼボは学園のオアシスだ。普通に楽しい学園生活を楽しめたのも優しい友人達のおかげだ。ディナはヘルムルトの婚約者になってしまって、ヒロインが選ぶルートによっては心配だけど、それ以外はただ大人達からの命令で聖女様の側に居るだけだ。そう、真実を教えるだけでも少しは安心して貰えるかもしれない。ハーレムルートが一番の懸念問題だわ。


 私は三月半ば、卒業生を中心に行われるプロムパーティーへ向けて、どう精神力を鍛えるか悩んでいた。一種のトラウマだから克服するのは容易ではないと思うのだけど、今年の建国記念パーティーに出席出来るかどうかが一番の懸念事項。ヒロインとの初顔合わせは問題だけど、その前に大勢の人が行き交う大きなパーティーの場にメンタルが耐えられるのか。多分今年もお兄様が付きっ切りで守ってくれるだろう。今年はドレスに魔法付与しても良いかもしれない。やっぱり聖女と聖属性のステータスは隠蔽しておかないと不安だ。


 帰宅した後、裏庭に入る。小さな森林が残されている場所だ。イメージを高める、それを言葉でも補強してみる事を考えて実行に移すことにしたのだ。

 

 「優しい闇夜に心身を委ね癒しを享受せよ【究極治癒(エクスヒール)】」


 ぽうっといつもの治癒魔法発動時よりもぼんやりとした薄雲から漏れる月光のような優しい光が辺りを包み込んだ。


 「……出来たのかな?」


 周囲を見てみる。森林が少し元気になった?あ、今はまだ2月なのに桃の花の蕾が膨らんでいる、あっちはアーモンドだ。うーん、思った成果と違うみたいだけど、一応使えたってことかな?あとは人体実験、もちろん私が怪我をした時に使う、んだけど私ってそんなに怪我しないからなぁ。動物実験はしたくないなー。枯れ木に花を咲かせましょう!だったら出来たって言えるんだろうけど、そもそもこの森林に枯れ木が無かったのよね。あとは伐採した木を治す?大掛かりだな、家の者にバレるな。しばらく歩くと、あ、早咲きの水仙だ、まだ蕾だけど、摘み取って回復かけよう、失敗したらごめんね!花瓶に生けてちゃんと咲かせるから。深く謝ってから、実験した。結果は成功!摘み取った茎が治癒して蕾が付いた。なんだか欠損部分が生えて来たような感じだ。うん、治癒だよね?大丈夫大丈夫……。



 一先ず一歩進んだような気がして、また少し気分が軽くなった。

そう言えば、エリンだけヒロインの第一印象書いてなかったなぁと思って^^;

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