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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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61. 閑話 聖女との顔合わせ

 冬休みがあと少しで終わろうという頃、宮殿内にある小さめの謁見室に数名の高位貴族が呼び出されていた。

 エリン・スチュワート公爵家嫡男、ヘルムルト・パドウェイ公爵家嫡男、ジルアーティー・クロスディーン公爵家次男、他にパトリック、ジーンの2人は皇太子殿下の側近兼護衛、ここまで皇太子殿下と同学年であり、同級生である。


 目の前の3段ほど高い位置には、皇帝が豪奢な椅子に座り、左にアーノルド皇太子殿下、右にクロスディーン宰相閣下が立って居る。そしてその傍らにはストレートの茶髪を腰の上辺りまで伸ばし、大きな紫の瞳を揺らして所在無げに立つ可憐な少女が居た。


 先ず宰相から、新しく皇太子殿下の側近兼護衛として一つ下の学年からエドワーズ・ベルロ侯爵令息とディリスナ・リード辺境伯嫡男の二人が紹介された。


 そして、皇帝が立ち上がり所在無げに立って居た少女を手で招き、自らの傍らに立たせた。玉座と同じ高さに少女を立たせたのである。呼び出された者達は表情にこそ出さないものの、この破格の扱いに少女の正体を察した。

 程なく、威厳をそのまま声にしたような低くとも良く通る声が少女の紹介を始めた。


 「彼の者は数年ほど前に顕現された聖女だ。名はモクレン・デボワール」


 そう、紹介した後でアーノルドに視線をやり先を促すようにした。アーノルドは聖女、モクレンの手を取り、呼び出された高位貴族達の前までエスコートした。


 「聖女のモクレン・デボワール伯爵令嬢だ。 春から学園の四年生に編入する事になっている。 同じ一組だ。 それで彼女の護衛や中途編入により慣れない学園生活をサポートする事になった。 念の為に言うが、ここに居る全員でという訳では無い。 交代で二、三人が付いていれば問題無いだろうとのことだから、皆の者よろしく頼む」


 皇族からの頼み事だ、否やは言えない。元よりこれは決定事項であり、事後報告がなされただけの事であった。




▽▲▽▲▽


side.Boys


 「うわー、本当に皇太子殿下にまで世話係させるんだ?」


 アーノルドの部屋に入って一番に声を上げたのはヘルムルトだ。


 「いや、それどころかお前らに世話だの護衛だのさせるのだって驚きだろう。 先に神殿で説明を受けて俺でも変な声が出そうになったぞ。 大体相手は聖女だ、普通は女性の護衛を付けるとか、同級生から令嬢達を選んで世話させたら良いだろう」


 アーノルドも此度の聖女への扱いには疑問を持って居るようだ。そこにジルアーティーがポツリと言う。


 「寮には世話係の侍女と一般巫女を付けるらしいが、護衛を付けないってあれか、毎日俺が寮から教室まで送り迎えするって事なのか?」

 「ぶっ!マジか、そりゃ面白いわ! 毎日ジルの仏頂面が拝めそうだな!」


 エリンは思わず吹き出して言った。


 「あのなぁ、俺は別に女性嫌いな訳では無いからな?」


 揶揄われて少々しかめ面しい顔をしてジルアーティーが応える。


 「じゃぁ好みだった?」

 「……あまり近寄りたくない、かも」


 一応相手は聖女、と言う事で抑えてこの返事だ。はっきり言って苦手なんだろうとエリンは思った。


 「そう言えば双子居なくない?あいつらだけ免除ってずるいなぁ」

 「ヘイム、そうじゃない。 彼奴らはまだ帰郷中で呼び出せなかっただけだ」


 アーノルドは双子が居ない理由を言う。それに、と続けた。


 「寮から教室への送り迎えも交代制だ、その為に俺の護衛も増やしたらしい。奴らも交代要員だ。 大体いくら学園内だからと言って護衛が一人なわけないだろう」


 「でも学年違いの二人はあまり意味無くないか?」


 エリンの指摘は至極真っ当だ。三年生と四年生では校舎が違う為、彼らは朝は寮から教室に聖女を送り届けたのち反対側の校舎へ急ぎ、送りは早めに教室を出なくてはならないだろう。教室移動などの世話は出来ない。だがヘルムルトは別の意見をぶつけた。


 「あまり考えてないかもなぁ、考えてもみ? それでなくとも殿下の側近や候補が同じ学年だけに集中しているだろう。 聖女様対策だけを考えての事ではないと思うなぁ。 殿下よりも聖女様の方が扱い上とか有りえない。 たまには聖女様にお待ち頂くのも良いと言う事だろうよ。 彼奴ら朝遅刻しないと良いな、聖女様が早めに登校する人だったら問題無いが。 ジル良かったなー、多少は軽減されるぞ。 まぁ俺は可愛い子だと思ったがな、殿下はどう思いました?」


 話を振られた殿下は少し考えてから答えた。


 「俺もまぁ、可憐な令嬢だと思ったが、それと護衛などの件は別だ」


 ここに双子が居れば話はもっと紛糾したであろうが、それは別の話である。




▽▲▽▲▽


side.Heroine


 とても緊張した。


 一週間前ほどに知らせを受け、帝都に出て来た。デボワール伯爵の帝都の邸(タウンハウス)は貴族街の中でも外周に近く周囲の邸宅と比べあまり立派な邸宅では無さそうだったけど、そこでは手早く支度だけをして再び馬車に乗せられた。私の部屋は無いらしい事が分かる。

 デボワール本邸から4日も馬車で、しかもかなり急ぎで馬車を走らせていたらしく良い馬車でも流石にお尻が痛くなったのに、お風呂くらい入れさせて欲しかったのにシャワーだけだなんてケチくさい。これからアル様に会えるかもしれないのに。


 馬車が進むと見える邸が、段々と立派な邸宅になって行くのがありありと分かった。しまいには塀や門扉から邸宅が見えない超高級住宅街みたいな場所まで来て、大きな広場を前にした大きなお城の前に着いた。そこは皇宮だと同行しているデボワール伯が教えてくれた。まぁスチルで見たことあるから分かっていたけど。そして馬車を降りずにそのまま皇宮の敷地内に通され、直接神殿の前まで連れて行かれた。馬車を降りて神殿内に通されたのは私だけだ。案内の女性は巫女とだけ名のった。


 貴賓用の部屋かな?豪華な扉の部屋の前に着き、巫女が扉をノックすると、扉が廊下側に開かれた。自動扉では無くて、両側には騎士の様な神官の様な男性が立って扉を手で支えている。巫女に促されて室内に入ると壮年の男性二人と少年が一人居た。少年の方を見て驚愕する。うわーっ!アーノルド殿下だぁ!アル様だ!白金髪金眼で超美形!スタイル良い!完璧王子様だぁ!少しだけ幼く見えるけどスチル目じゃない位にイイ!めっちゃ良い!感動しちゃう!!目が潤むくらいに感動に打ち震えた。


 「うほんっ」


 オジさん?と言うかお爺さんが咳払いをした。もうっ!もっとじっくり見せてくれても良いじゃないのっ!


 「このお方は皇帝フィリップ陛下、そしてこのお方が皇太子アーノルド殿下、わたくしめはこの帝国で宰相を務めさせております、サラトーラス・クロスディーンと申します。以後お見知り置きを、聖女様」


 なんと、このオジさん宰相だって!立ち絵無かったから分からなかったわ、しかもクロスディーンってジル様のご親戚?よく見ればイケオジかも。皇帝もイケオジだ、まだ若い感じ、確かまだ35、6だっけ。見た目はもっと若く見えるけど、それよりアル様ヤバい。あ!挨拶しなきゃだ。


 「お初にお目にかかります、わたくしモクレン・デボワールと申します、よろしくお願いします」


 で良かったっけ?そしてカーテシーってやつをする、順序逆だったかも?どうしよう!焦りながらも笑顔はキープ出来たと思う。第一印象から好感度アップして行かなくちゃ!でも初めて会うのは社交界デビューの日だと思ってたから、正直準備不足なんだよね。多少の粗相は許して欲しいなぁ。


 でも顔を上げて見たらアル様は素敵な笑顔だから、第一印象クリア出来たかも!ああステータス画面確認したいよ、あれ無いと不安でしょうがない。オジさん達はなんだか微妙だなぁ、やっぱり挨拶が完璧じゃなかったんだ。これから不安だなぁ。あと二ヶ月でなんとかなるの?


 話を聞くところによると、私はこれから学園に入るまでは神殿で聖女修行を受けながら過ごすらしい。淑女教育は?聞いてないよぉ~。

 宰相の話はまだ続く。


 「学園内では殿下と、のちにご紹介します同級生達で、聖女様の身の安全を確保しつつ、学園での教育を受けて頂きます。学園の寮には世話係として宮廷から侍女と神殿から一般巫女を一人ずつお付けしますのでご安心を。寮は女子寮と男子寮で別棟になっておりますので、登下校の際は交代で二名ほど護衛がお迎えに上がります。学園内は安全が確保されておりますので、形式的なものとお考えください。では、別の場所に移動しましょう」


 (いやいや、全然安全じゃ無いよ?寮に居る女子が一番怖いんだからね?悪役令嬢達と鉢合わせたら誰が守ってくれるの?)


 宰相が言いたい事だけ言うと、皇帝、アル様は何処からか出て来た護衛と共に部屋を出てしまった。その後に宰相がついて行き、巫女に促された私が付いて行く。神殿を出てもさらに歩く。そのうちお城の裏口、と言うには大きな扉だったけど、そこからお城に入った。広く長ーい廊下を歩く。廊下の真ん中にはふかふかの赤絨毯が敷かれていて、思いの外歩きにくい。足音が鳴らないのが良いのかもしれないけど、ヒールが引っかかりそう。

 そうしてまた立派な両扉の部屋に入った。壇上で豪華な椅子の後ろが見える、たぶん玉座って感じの。そして目の前にはこれまたキラキラのイケメン達が!そう、攻略対象のジル様、エリン様、ヘイム様、その他が居る。うわぁ、この三人もスチル目じゃ無いくらい美形だ!その他も割とイケメン揃いだけど、ちょっと待って?双子は?悪役令嬢マリノリアのお兄さんで超美形の二人が居ないよ?ああでも二推しのジル様もヤッバい位の美形だ!他の二人も半端ないけど。どうしよう!?ハーレムルート狙っちゃう?アル様一筋の方が攻略楽なんだけど、他のキャラも捨てがたい!うわーん、迷っちゃうなぁ。とにかくゲームと内容が違ってて不安だからまだ様子を見ながら考えなくちゃ!やっぱステータス見たいよう。


 巫女に促されて宰相の隣に移動した。

 先ず宰相から新しく皇太子殿下の側近兼護衛として付く事になったらしいエドワーズ・ベルロ侯爵令息とディリスナ・リード辺境伯令息の二人が紹介された。二人共イケメンだけど一つ下の学年なのね。


 そして、いつの間にか座っていた皇帝が立ち上がって、私を手で招いた。巫女にも促され皇帝の隣に立つ。うわっ、なんか緊張で吐きそう。しばらくしたら威厳のある声で皇帝から私が紹介された。


 「彼の者は数年ほど前に顕現された聖女だ。 名はモクレン・デボワール」


 紹介されてすぐ、アル様が手を取って、攻略対象のイケメン+αの前までエスコートしてくれた上、続けて私のことを紹介してくれた。


 「聖女のモクレン・デボワール伯爵令嬢だ。春から学園の四年生に編入する事になっている。同じ一組だ、それで彼女の護衛や中途編入により慣れない学園生活をサポートする事になった。念の為に言うが、ここに居る全員でという訳では無い。交代で二、三人が付いていれば問題無いだろうとのことだから、皆の者よろしく頼む」


 私も続いて「モクレンと申します。どうぞ、よろしくお願いします」と言って、両手でドレスを少し摘んでお辞儀する。今度は可愛く出来たかな?

 間近で見ると、みんな益々美形だわ。特にアル様とジル様がヤバい!でも今日は紹介して貰えただけで、お話は出来なかった。直ぐに巫女がやって来て、神殿に連れて行かれてしまった。出口は入って来た時とは反対側だった。


 そして私がしばらく滞在するという部屋に連れて来られて採寸された。これはもしかして社交界デビューのドレスのかしら?ああ、あと制服もだよね、確かオーダーメイドだったっけ。あれ?それは伯爵家で用意するんだっけ?まぁなんでも良いや。


 社交界デビューの日が楽しみだなぁ。ダンスは頑張ったから何とかなると思うんだよね。アル様の足を踏んだりしたら好感度下がっちゃう!確か一回くらいなら笑って許してくれるんだけどね。ジル様とはダンス出来るのかなぁ、確か続けてダンスを踊れるのは親しい間柄だけって決まりがあるから、他の攻略対象者達とも踊れるはずなんだけど、それまでどうやって好感度上げるんだろう?第一印象だけ?でも今日会えたから、その分の加算があるはず!当日も頑張ろう。為せば成る!よ。

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