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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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53. 悪役令嬢、冬休みも視察です!※お兄様付き

 別邸に戻って早速、ドロップアイテムの選別に入った。あるだけマシって程度の防具や武具が結構多い。まぁね、冒険者ランク的に入れるダンジョンに制限あるし、深い階層でドロップするとは限らない。でもまぁ、マシって程度でもそれが生死の分け目になるかもしれない。ってことで、お兄様と適当に山分けした後、大まかに分けて、武器庫入りと宝物庫入り、引き取り依頼するのと、自分で持っとくのに分けた。装備品としてあまり役に立たなそうでもデザインが良いの結構有るんだよね。


 「うーん、そろそろドロップアイテム情報とかで狙いに行っても良いのかな」


 でもその前に温まろう。今日のジル様はめっちゃ不機嫌だったなぁ。いや、むしろあれが通常運転なんだけどね。

 きっと初めて試験の付き添いしたぼっちの子だから多少は気にかけてくれてたのかな?でも友人の妹分に対してでもあの氷点下対応かぁ……もしかして設定に無理があった?

 でも実際に私、マリノリアと双子の兄達は別々の場所で育って来ていて、当然乳姉妹とか影武者とだってずっと会ってなくておかしく無いよね?お兄様方が皇都育ちなのは他家に倣っての事だ。他の公爵家を始めとする上位貴族の嫡男とか御令息方は、社交やコネクション作りの関係上、幼少期から皇都暮らしをしている場合が多いのね。うーん、分からん。まぁ一番の心配事はフィンネル兄様に付き合ってる女の子(しかも平民)が居るって噂を流されたら大変ってことかな。ははは、わらえなーい!


 とりあえず明日、処分して良いドロップアイテムと使わない魔石は、纏めて引き取りし損ねたマウラ支部で買い取ってもらおう。その前にお兄様にも仕分け後のドロップアイテムの見直しをお願いした。


 「遺跡装備(アンティクメント)古代装身具(アーティファクト)がこんなに沢山並ぶって壮観だねぇ。 使い辛そうなのも多いけど、この辺は売る候補に入れて置くだけにして、保管かな。 ところで僕らの装備って見た目防具が不足している気がするんだけど、衣装自体が鎧以上に強化付与しまくりだから良いのかな?」

 「そうね、あまり重装備だと重たいかなぁと思ったのだけど、お兄様は物足りないかしら?」

 「いや、そうでも無いよ。 装備強化はその内気に入ったのが見つかってからで良いかなぁ」

 「では、この辺売りに行きましょうか。 また受付が声の大きいお兄さんじゃ無いと良いのだけどね」

 「そうだな。朝は依頼の受付で混み合っているだろうから、昼頃にでも行って、依頼掲示板でも眺めてみようか」




 そして翌日昼。


 「いやぁ、本当に鮮やかな転移だねぇ。念のため先に掲示板の方から見よう」


 冒険者ギルド、マウラ支部に入る。出入り口は今日も開け放たれていた。お昼時だから飲食店があるらしい2階から喧騒が聞こえて来るのは分かるが、1階のギルド内も人数の割にソワソワしていて、其処彼処で慌てて掃除や片付けをしている。

 良かった!今日の受付はお姉さんだ。


 「こんにちは、今日は何かあるんですか?」


 お兄様、王子様スマイルの安売りはやめてください。慣れてないらしいお姉さんが機能停止してます。


 「あ、え、その、、領主様の視察が午後から……あっ!初めまして、わたくしマウラ支部のマイと申します!以後お見知りおきを!」


 うん、お姉さん使い慣れない言葉でめちゃくちゃ緊張しているのが伝わって来ます。お兄様の王子様スマイルは凶器レベルね。


 「領主様が自ら視察なんてするんだね、ああ、僕はフィー、駆け出しの冒険者だよ、よろしくね。ちょっと依頼を見させて貰うよ」


 軽く手を振って受付を離れるお兄様をぽーっとしながら見つめる受付嬢。涼しげな切れ長の目で茶色の瞳は三白眼気味だ、赤みのあるくせの無い金髪と合わせて見た目は強気そうなのだけど、ギャップがあるタイプかも。愛嬌があって親切そうだ。

 お兄様の隣に行って一緒に依頼を見る。なるほど、低ランク向けの依頼には薬草や鉱石などの採取や、家畜や田畑を脅かす低ランクでも倒せるゴブリンやネズミ等の駆除依頼が多いのね、報酬はその日暮らしギリギリってとこだから、討伐数で稼ぐか依頼を複数受けないと厳しそう。採取系も素材系や危険な場所にしか無い薬草等は高ランク向けと、流石にこっちは報酬も良い。

 私たち低ランクパーティーはダンジョンの方が稼ぎは良いわね。


 「視察って領地に戻っているはずだからエリンも付いて来るかもな」

 「そうね。 あとは引き取りだけだから、手早く済ませて帰りましょう」


 先日引き取りし損ねた分に、処分分を足した魔石とドロップアイテムを鑑定引き取りして貰う、ここではフロア核を最初から出してないのでスムーズに処理が進んで助かった。金貨約50枚、ドロップアイテムの放出抑えてもイイ金額ね。浄化の隠蔽効果でエンカウント率が上がったからこそだ。そして大通りに出ると、通りの遠くに物々しい集団が見えた。恐らく護衛騎士と文官を引き連れた視察団だろう。くるりと背を向け足早にマウラ町を立ち去った。


 「いやぁ、危うくエリンに出会す所だった! 冒険者活動って中々スリル満点だねぇ!」


 お兄様はそのコスプレ衣装を見られたくないのかしら?それとも一緒にいる私?どっちもか!

 祖父母の別邸で過ごすのもあと2日ほど。あとはのんびり過ごすことにしたので、近所の森をチェック。うん、変わらず清々しい森林浴効果抜群の濃い緑の匂いに温泉地ならではの地熱効果か青々とした植物達。なんか良い薬草とか山菜ないかなぁ……。ダメだ、私ったら食べ物の事ばかり考えて色気のイの字も無いじゃないの!でも色気って、今の私に必要無いんだよねー。

 だって殿下の婚約者ってだけでもう他の良縁望めないもの。


 こうなったら恋愛以外を思いっきり楽しもう!食い気?良いじゃないの、美味しい食べ物を食べる事は人生の最たる彩で幸せなんだから。


 あらまぁ、これは蕗の薹だわ、この大人の味が分かる人居るかなぁ。とりあえず私の分だけ採って帰る?試食分も合わせて3つ摘み取った。木の芽とか早めの春の食材が採れた。これはやっぱり天ぷらかな?

 お昼、私は試作品の天丼。海老天が無いのが寂しいけど山の幸丼も中々美味しい。大豆から醤油もどきも作れたので良い感じだ。味噌もどきもある。どうしても”もどき”になってしまうのは前世の味を再現出来ていないから。魔法でも頑張ったのだけど難しいわね。




▽▲▽▲▽


 流石に山頂は寒い!確かに海老は食べたいと思ったけど言ってないし!


 そう、私たち旅の一行はアトランタ火山の塩水湖を前にしていた。護衛は山小屋という名の立派なログハウスに置いて来たのでここに居るのは両親と兄妹の5人だけだ。もちろん泳ぐことが目的では無い、こんなところで寒中水泳なんて出来ないし。山頂周辺は雪が降り積もっているのだけど、塩水湖は凍らずそのままだ。私はお兄様方を連れて湧き水の出ている所に連れて行く。


 「あれ?ここら辺は雪が無いね、地熱が高いのかな?」

 「そうなの。 ここの泥でパックするとお肌がツルツルのすべすべになるのよ、お兄様も美容に興味があったら持って帰る?」

 「「いや、遠慮しとく」」


 ハモりましたわね。私の目的は泥じゃ無いの。雪を退けると蓋のようにぱかっと取れた。出ました鮮度抜群の海老!

 後ろで声を殺して笑っているのはリンデーンお兄様だ。分かってるわよ、何処に行っても食べ物の事ばかり考えてるって言いたいのは!


 「いや、網くらい使おうよ。 仮にも淑女(レディー)が甲殻類を手掴みで漁るってどうなの?」


 フィンネルお兄様は小言が五月蝿いですわよ。海老くらいなら良いじゃ無いの、可愛いもんよ。20匹ほど採れた。うん、エビチリくらいには出来るかな?防水の皮袋に水と一緒に入れて口を結び亜空間収納にぽいと放り込む。


 「わぁ、そんな事も軽くやっちゃうんだね」

 「でもお兄様方も出来るわよ」


 そう、やってないだけ。この人達能力眠らせ過ぎなのよ。まぁ用が無ければ使おうとも思わないのは分かるんだけど勿体無いと思うわ。でもフィンネル兄様には冒険者活動の傍ら習得させよう。大量の魔石、ドロップアイテムのみならず素材収納に必須だもの。


 ここには今回は観光では無くただの視察に来たらしい。冬は観光向きじゃ無いわよね。お母様にもそれはご理解頂けたのではないかしら?


 「仕方ないわねぇ……ここの観光地化は夏限定で始めましょうか」

 「母上、うちの領で観光地って本気ですか?」

 「まぁ!ランディは頭が硬いわね。確かに麓や街には宿泊施設ありませんけど、ここ専用の宿泊施設を8合目辺りに作るのよ。今はうちの山小屋が7合目辺りにしか無いけどね。ああ!もちろん、貴族向けでは無いわよ?だってドレスで濃い塩水に浸かるわけにいかないでしょう?色落ちや縮みでドレスがみっともないことになるわ」

 「えーと、でも母上は入ったことがあるんですよね?」


 フィンネルお兄様は何故か私を見ながら言った。うーん、なんて説明したら良いのかしら。


 「そうね、泳ぐのは無理だけど、ただ水に浮いて空を眺めるって中々貴重な体験でしたわ。 ただ……お母様発案のスイムドレス(水着)なるファッションが、多分、先進的過ぎて貴族の方々には多少刺激的なのではないかと思われますの。 でも民達にはウケると思うわ、海でも海水浴が流行るきっかけになるかも」

 「ああ、なるほどね」


 伝わったかしら?お父様が少しばかり呆れながらも提案してくる。


 「観光地化したいなら、少なくとも麓に小規模の宿場町を作らなくては登山するところまで体力が保たない。それに時間的にも無理だ」


 うーん、お父様は観光地化に前向きなのか否定的なのか分からないわね。


 「トラム側からの登山客も増えるかもしれないわ、本気で観光地化するならその対策もしなくてはいけないと思いますの」


 私はどっちでも良いわ、治安悪化の原因にさえならなければ。

 まぁ、まだこの世界には無いけど、ロープウェイを麓から8合目の宿泊施設付近まで繋げちゃえば、登山客による自然破壊から山を守れるし、トラム側からの登山客対策にもなって一石二鳥だと思うけど。ロープウェイの動力は魔術道具にした方が良いのかな?

 下山の途中、私の段々畑を見せた。お米はもう収穫済みで、緑肥と豆畑になっているので残念ながら素敵な水田風景を見せることは出来なかったの。地熱利用で二期作も出来なくは無さそうだったのだけど、土地が痩せてしまうし、害虫や病気も蔓延し易くなるからやめたのね。標高が高めの段々畑はお茶畑。ダージリンに似た芳しい風味のお茶が採れる貴重な場所。お兄様方にはまた笑われたわ。

 どうやら土地に付与した加護はちゃんと作用している様だったので一安心。




▽▲▽▲▽


 そんなこんなでやっと本邸にたどり着いた。

 途中、酪農・農村地域や鉱山なども視察しながらで、冬休みの半分が消化されてた。うわぁ、ほとんどお仕事の手伝いで終わりそう。これからファブリックやリネン等の加工工房や、領内の商会の視察と改善等、前者は私とお母様の趣味みたいなものだけど、後者は領地経営の一環でお仕事、何故私も連れていかれるのか分からないのだけど。


 魔法付与した魔石を使用した布製品の加工工房、これはなんと本邸の敷地内に作ることになった。

 小さい店舗も兼ねるけど主にセキュリティの関係。正門から見えない位置の城壁付近に別の門を作って専用の建物を建設、従業員出入り口は城壁内からしか出入り出来ない作り。従業員の新規募集は見合わせ、今本邸で雇っている使用人だけで縫製、刺繍などの作業をしてみようとのこと。まぁ製造量的に従業員を増やすと赤字の心配より仕事量が足りないことが問題なのよね。需要が高くなったとしても、魔石の供給の関係上大量生産向きでは無く、あくまでも高級品で富裕層向けだから慌てて製造量を増やす必要ないの。

 なので商品サンプルを現存の商会に持ち込んで売り込む必要は無しになった。実際は店舗での販売よりも受注生産の方が多い目論見だし、工房兼店舗は春頃には建設し終わるとのことで、宣伝はまぁ気長にってことになった。


 お母様は私が新たに作ったサンプルを見ながらご満悦だ。美味しいスウィーツでティータイムを楽しみながら作戦会議?


 「どうやら女性の方が商売好きらしいね」


 なんてフィンネルお兄様が言い出した。そうね、会議には何故か曽祖母が加わって3人になっている。御年70歳の元皇女様、政略結婚だけど夫婦仲は良かったらしい。でも子供はお祖父様1人だけだった。祖父母の間も嫡男のお父様1人だし、うちって何か有ったら速攻でお家断絶しそうな状態で続いて来ているの。

 普段あまり行動的ではないひいお祖母様なのだけど、新事業の話を聞いて敷地内の別邸から出ていらしたの。やっぱり女性は幾つになっても美しいものには目がない。こんなのも良いだとか、リネンだけじゃ無くナイトドレスもよりオシャレなものが欲しいだの話が尽きない。そのうち上質の絹を何処から仕入れるかの話になった。


 「今作っているサンプルの生地は皇都の手芸用品専門店で買ったものなのだけど、今後は領内の商会から仕入れた方がいいとは思っているわ」


 っと、私が言うと。


 「我が領内でも農村地帯で穀物の収穫後に絹織物を生産しているのよ、少量だから知られていないのね。 かなり上質だと思うのだけど視察しにいかない? 安定供給出来そうなら直接専属契約しても良いと思うのよ。 材料になる蚕はハウスで年中育てていると聞いたから、生地の生産量に関しては融通が利くかもしれないわ」


 なるほど、夏休み以降も視察を続けていて見つけたらしい。ただデートしていたわけじゃなかったのね!

 一応メモを取りながら楽しい作戦会議を終えた。

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