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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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51. 閑話 フィンネル初めての冒険

 母上の無茶振りに振り回されるのは想定済みだったが、まさかこんなことになるとは思って居なかった。

 妹がこっそり外出している事は知っていた。だが自室から転移魔法で出かけてしまうので、一体何処へ何をしに行っているのか調べようが無かったのだが、多少の予測はしていた。

 それは悪夢の剣術模擬試合後、久しぶりに戻った帝都の邸(タウンハウス)の、主にプライベートスペースにふんだんに使用された魔石からだ。こんなに高品質かつ魔法効果付与しまくりの魔石なんて超高額!これだけ数を揃えたら我が家とて金庫が空になるのでは無いか?そんな事は無いか。だがこんな買い物を両親が許すわけが無い。としたら自ら調達した可能性が高い。いや絶対にそれしか考えられない。だが妹が普通に外を歩けばとにかく目立つ、冒険者なんて到底出来るハズがない。友人でも目立つ容姿の奴らが冒険者活動しているが、それとはまた別の話だ。


 そして、妹のその冒険者活動に僕も付いて行くようにと母上から無茶振りされた。確かに妹を一人で行かせるよりは良いかもしれない。でも母上の目的は絶対にそこじゃない。嫌な予感しかしない。


 翌日、妹が嬉々として何やら変装用の衣装とやらを持って来た。冒険者に見えるように変装する必要があるそうだ。

 そんなのは初耳だ。ただ動き易ければ良いのではないのか?


 促されるまま袖を通すと着心地は悪くない。髪の一部を編み込み三つ編みされたが、それだけでも見た目の雰囲気が変わるものだと感心した。弓も渡された。全体的にコーディネートされているようだがコンセプトが分からない。

 聞かない方が良さそうな気がして、妹の気の済むようにさせた。



 行き先は聞かなかったが聞いておけば良かったと後悔した。

 今年は特に寒い冬だと言うのに、何が悲しくて帝国最北の地の氷原にある最北の街フーゲン。

 妹の転移魔法は中々のもので、よく聞く移動酔いも無くスムーズなものだった。これが天才との才能の違いかぁ。僕も転移魔法使えるようになるのかなぁ、父上は使えるが母上は使えないらしいし、これは努力で如何にかなるものではないのかもしれない。




▽▲▽▲▽


 妹に続いて冒険者ギルド内に入った。新参者が入っただけでこうも注目されるか?だが妹の服装は確かに目立つな、完全に正体がバレないように努力しているのは分かるが、目元をマスクで完全に隠し更にフードを深く被っている。見るからに怪しげだ。

 初めて入った冒険者ギルドの内部をざっと見ると、妹の他にも顔に仮面舞踏会に付けて行くようなマスクや、顔半分を隠している者、鼻から下をマスクで覆っている者、鎧を身に付け兜で顔が完全に見えない者なども居た。特に妹の服装が奇異と言う訳では無さそうだ。でも目立ってるよなぁ。


 打ち合わせ通りに受付に向かう。


 「すみません、冒険者登録をお願いします」


 と声をかけると、受付嬢が元気な声で挨拶して来た。


 「い、いらっしゃいませ! 冒険者ギルド、フーゲン支部へようこそ! 私は受付のハイジ十五歳です、よろしくお願いします」


 挨拶というより自己紹介か?まぁ良い。登録申請用紙を受け取ると、ギルド内の会議室に通された。そこには既に3人の少年がいた。年は僕と変わらない程度だ。

 先ずは名前。うーん、フルネームは驚かれるよな。でもこの用紙に嘘は書けない。試しに愛称のフィーと書いてみたら消えてしまった。ダメだったらしい。しょうがない、フィンネルとだけ入れたらこれは通った。よしよし、あとは記入出来るところだけ書けば良いって言ってたな。年齢と性別だけ記入し職業は『魔法使い』として終了にした。まだ成人して無いけど、平民は幼少時に洗礼式を受ける風習があり、同時に魔力判定受けると聞くし問題無いよな?実際に使えるわけだし。


 筆記試験は楽勝だった。事前講習の内容そのままだ。一緒に受けた他の3人も受かっていた。実技は『北限の氷の洞窟ダンジョン』の1~3階層まで、3時間以内に15匹の魔物を仕留めるとの事。妹は1人に付き添い見習いが2人付いたらしいが、今回はギルド職員1人に受験者2人、2組に分かれての実技試験となった。僕と同じ組みになったのは赤い短髪の剣士でデイルと言った。僕はフィーと名乗った。なんだか睨まれてる気がする、別に何もしてないんだが。


 ダンジョン入り口は冒険者ギルドを出てから徒歩20分で到着した。先に妹が入っているハズだがどの辺まで行ったかな。そんな事を考えながらダンジョン内に足を踏み入れた。


 デイルは最初から飛ばしている。妹が可愛いと言った理由が分かった。見た目か、確かに女の子が好みそうだ。雪うさぎは警戒心が強く直ぐに逃げるが、デイルは追いかけて2羽?仕留めていた。まだ剣圧で仕留めるほどの腕は無いらしい。アレと比べてはいけないな。他にも岩もかじると言う灰栗鼠、20cmほどのネズミは氷柱ネズミ、ネズミは可愛くないな。ここはデイルに任せる。


 「おい、お前何もしなくて良いのかよ」

 「まだ狙いつけるの苦手なんだ」


 適当に誤魔化しといた。実際炎系はそんなに得意な方ではないが、妹伝授の作戦でしょうがない場合以外は手を出さないことにしていた。でも流石に次の階段までに何か出て来たらやっつける?と、思っていたら氷柱ネズミが横穴から顔を出していた、目が合ってしまった、これは仕方ないよな?


 「【火の玉(ファイアーボール)】」


 あーあ、火力のコントロールがイマイチだった。氷柱ネズミがギリギリ通れる横穴が崩れて屈めば人も入れそうになってた。とりあえずギルド職員に「すみません!緊張して失敗してしまいました」と謝りながら魔石を拾った。


 階段を下りて2階層に。ここも寒い。風魔法で自分の周囲を覆い、冷気を遮断する。こんなに寒かったら手が悴んで折角マリアが持たせてくれた弓を役立てられない。

 ここもさっきと同じ魔物だ。ただ体が一回り大きい。向こうから攻撃仕掛けてくる場合があったりするのかな?妹からは初心者向け階層ではせいぜい体当たりして来るくらいだと聞いたが。

 この階でも剣士の彼が頑張ってる。そんな低階層で粘って頑張っても点数的にも時間的にも効率悪いのになぁ。早く3階層に下りたい。

 雪うさぎの群れが何故か僕の方に向かって来たので「【炎の矢雨ファイアーアローレイン】」

 群れは全滅出来たが何故か床が凸凹になってた。柔過ぎるだろ、氷の床なのか?魔石8個拾えた。


 やっと3階層に来る事が出来た。やっとだ。ここでやっと新顔の魔物が出て来た。氷針ネズミ、おいおい、こいつってその名の通り氷の針飛ばして来る奴じゃなかったか?突進されても痛そうだ。【火の玉(ファイアーボール)】で飛ばして来た針ごと溶かしてやった。なんて危険な魔物だ、聞いてた話と違う。

 銀狼まで出て来た。小さいから良いってもんじゃない、たぶん攻撃は体当たりして来るくらいなんだろうが、一応牙も鋭い爪も持ってるし狼だからな?初心者向けと違うと思うのは僕だけか?3匹の狼を【火の雨(ファイアーレイン)】で一掃した。剣士の彼が大人しい。まぁ接近戦出来る相手じゃないから出る幕無いよな。ちび銀狼1匹なら相手出来ても3匹はまだ無理だろう。


 次は……トナカイ?いや、アイスホーンポロだ、あの手を広げたような尖ったツノで刺されるの嫌だなぁ。剣士の彼は行くか?あ、魔物の方から彼に向かって行くようだ、お手並み拝見。

 ツノを剣で防いだまでは良かったが完全に押されてる。ここ本当に初心者向け?ギルド職員を見る。彼の方をじっと見つめて考え込んでいる。いや、助けるなら早いほうがいいと思うよ、でもその時点で失格になるんだっけ?試験での共闘は無しだから彼が手を出した時点で僕は見ているしか出来ない。と、後ろからも来たので矢を弓につがえて、鏃に火を点火して射ったら急所に当たった。今のは魔法と組み合わせる必要があったか疑問だが上手く行ったみたいだからまあいいか。魔石を拾って後ろを見ると、ギルド職員が彼を助けた後だった。彼は2階層までで15匹以上の魔物を仕留めていたハズだが、その場合も失格になるのかなぁ。僕はあと1匹必要なので歩く。

 氷針ネズミが仇打ちにでも来たのか5匹も出て来たので、針を飛ばされる前に炎の雨を振らせて終了。得られた魔石19個、これでとりあえずは合格出来るだろう。



 実技試験時間2時間半、掛かり過ぎだ。組んだ相手が悪かった。ギルドに戻り魔石の鑑定をしてもらいその場で判定が出る。僕は合格でDランクが貰えた。剣士の彼は3階層で1匹も魔物を仕留める事が出来なかったため失格となっていた。なるほど、妹の言ってた通りか。ちょうどもう1組も戻って来て鑑定し始めた。結局今日の午前に登録試験を受けた4人中、冒険者になれたのは僕だけだった。なんだか聞いてた話と違い過ぎる気がする。


 冷えた身体を暖かい紅茶とポトフで暖めながら待つ。何人かの女性からパーティーへの勧誘を受けたがきっぱりと断った。

 昼過ぎに妹がやっと戻って来た。小走りでこっちに向かって来て「どうだった?」と、結果を聞いて来る。受かって当たり前だと言いそうになったが、戻って来て真っ先にこっちの結果を聞きに来たのが思いの外可愛らしかったので素直に答えることにした。


 「受かったよ、アドバイス通りに3階層だけで狩まくったらDランク取れた」


 妹は「は?」と一瞬固まった。

 後で聞いたところによると、普通は良くてEランクスタートらしい。やはりあの3階層は怪しい。だが妹によれば、ここは炎系使いに人気の場所だから炎属性持ちなら楽勝だろうと言われた。それに時期も悪いらしく、冬季はダンジョン内のほとんどの魔物が多少強くなるらしい。そう言った試験場所のセレクトのセンスも冒険者になるためには必要だということらしい。

 中々奥が深い……のか?


 冒険者スタート祝いに最終フロアでドロップしたアイテムとやらを貰った。いい感じの弓矢だ。魔法の弓で、魔力を込めれば矢をつがえなくても矢を射る事が出来るらしい。矢筒要らずだ。あとは矢の速度2倍、魔法・物理攻撃力2倍が付いてた。装備の強化にはお金が掛かるものと思っていたが、必ずしもそうでは無いようだ。



 でも次は暖かいところにして欲しい。今日はとても寒くて色々辛かった。

冒険者登録試験もスパルタでしたの巻

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