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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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49. 悪役令嬢、もうすぐ冬休みなんですが

 お兄様方が同じ邸に住むようになって、何があったかといえば特に何もない。一緒に学園に馬車で通学し、帰りは私一人で帰宅、護衛騎士達の鍛錬に入れてもらい汗を流した後、シャワーを浴びて普段着に着替えたら、ディナーまで刺繍やお裁縫で冬休みに領地で売り出す商品サンプル作りに勤しむ毎日。魔法書を読んで勉強したり、今の自分に出来る事を最大限に楽しんでいるつもりだ。


 でも休日に一人で出掛け辛くなったのは痛い。午前中は邸内で鍛錬を積み、午後は休むと部屋に閉じこもり夕方までダンジョン巡りに行く。やはりダンジョン巡りは辞められない、良質の魔石収集に必須だからね!

 でも短い時間しか取れなくなったから、ダンジョン潜り数日分の成果物を溜めて管轄の冒険者ギルドに持ち込む、という事の繰り返しをしている。


 それでも冬休みを前になんと!冒険者ランクDに昇格した。やったー!これでもう少し入れるダンジョンが増える!

 ソロで入れるダンジョンはあまり無いが、2段階の推奨レベルが設定されたダンジョンがあって、基本はダンジョン踏破推奨レベル以上なのだけど、3~5階層までの推奨レベルで入り口を開いて貰えるダンジョンがあるのだ。ナナバ回廊ダンジョンもそうだった。

 あとは自己責任となるのだけど、今週末は何処にしようかなぁ~と少しは夢も広がるものだ。

 ちなみに、やはり縁が無いのかジル様とは学園ダンジョン以来すれ違うことすら無い。しょうがないね。助っ人登録者は大抵午前中から活動しているし、これもシナリオの定めた運命だもの。




▽▲▽▲▽



 「もう今週末から冬休みですわね」


 ランチタイムにそんな話をしていた。

 私は冬休みも領地に戻る。そしてなんと!今回は双子のお兄様方も一緒だ。

 うーん、冬休み中もロングタイムの冒険者活動は出来ないっぽいのが非常に残念でならない。途中で城塞にお泊まりしに行って魔法の鍛錬でもしようかな?もっとコントロール力を上げたい。現状つい楽な範囲魔法に頼り過ぎてるからね。ジル様の魔法はコントロール抜群で洗練されていた。でも今年の冬休みは魔石や魔法付与付きのファブリックやリネンの工房を作ったりの他に、我が領地内の商会をより売り込む為の視察等々、家のお仕事を手伝うことになっているので忙しい。工房の方はお母様がノリノリで手伝ってくれるけど、ちょっと色々手を出しすぎか?


 でもアイスクリーム屋さんも出店したい。喫茶店併設の小さな店舗で良いの。この美味しさを広めたい、夏だけじゃなく冬の贅沢なスウィーツとして。

 支店は作らず領地内の1店舗のみなら行けるんじゃないかな?支店を沢山作るとかまでは興味無いのよね、管理大変になるもの。それに領地内を豊かに幸せにすることで精一杯だと思うの。ああ、クレープも食べたいな、お皿に盛ってフォークとナイフで食べるお上品なやつじゃなくて、歩きながらがぶりと食べる方の。


 今年の冬は寒くなるらしく、南側のリゾート地に行くと言うご令嬢方が多かった。まぁ、流石に海で泳ぎはしないだろうけどね。淑女(レディー)は人前、特に異性の前で裸足にならないのよ。

 この学園は冬休みも長く1ヶ月半もある。それでもあっという間に終わってしまうのが不思議よね。



▽▲▽▲▽


side.Boys


 明日から冬休みだ。


 「へぇ、領地に帰るって何年振りなの?」

 「覚えてないくらい昔だな。 物心付くか付かないかって頃以来じゃないかな」


 エリンからの質問にリンデーンが答えていた。


 「ついでにうちに寄ってかない?」

 「エリンの所の領都まで寄ったら疲れるだろうが。 お互い領地が細長いから意外と距離があるんだ。 今回は祖父母が来て欲しいって言うから、東側の温泉地抜けてく予定」

 「抜けるだけ? ついでに宿泊して経済回してくれれば良いのに」

 「いや、うちそんな贅沢な旅しないし帰郷するだけで特に何もしないよ。 大体うちと同じ泉質だろうが」


 エリンの家のスチュワート公爵領とリンデーンの家のルナヴァイン公爵領は一部隣接している。ただ互いの領都はかなり離れており、馬車で2日近くの距離がある。


 「領地に帰って何もしないって有り得ないだろ。 絶対にこき使われるって、誰が一緒だと思ってるの?」


 そこに呆れを含めたように話に入ったのはフィンネルだ。


 「ああ、そろそろリンデーンも領地経営の勉強か。 しかし大体執事に任せておけばやってくれるだろ」

 「へー、パドウェイ公爵家の未来は暗いなぁ。 うちはリンデーンだけじゃなく僕も巻き添え食らうし、何故か妹もなんだよねぇ……まぁ平和な世の中こそ領地経営に勤しむべしって感じかな、うちは」


 リンデーンの双子の弟フィンネルの方が家族のことをよく分かっているようだ。

 ヘルムルトのパドウェイ公爵家は代々皇宮護衛騎士団に勤めている為、領地経営は信頼の置ける身内か部下に任せるのは必然的になる。双子の家のルナヴァイン公爵家も武家の名門なのだが、当主が七年戦争後に騎士団を引退してから、すっかり領地経営に専念している。

 双子も騎士団に所属するつもりはない。元々ルナヴァイン家は有事に於いてしかその力を発揮しない。だから領地経営を学ぶのは当然のこととなるのだが、今まではのらりくらりと躱していたのである。


 「ふーん。 俺は次男で自由にさせて貰ってる分、領地には関わる予定無いな。 今はまだ見習いだが宮廷魔術師目指してるから」

 「まぁそれぞれだろう。 俺もそうそう領地経営に掛かりっきりにはなれないだろうからなぁ」


 ジルアーティーは領地にあまり帰らない。宮廷魔導師見習いとして既に塔に出入りを許されていて、将来己の力で身を立てて行くつもりだからだ。エリンは宰相候補として学業や領地経営とは別に皇城に出入りしながら勉強しているため常に忙しい。


 「エリンみたいに皇宮官僚狙ってる文官候補は勉強だらけで大変だろうけど、うちは元々武家だからなぁ」

 「だからって令嬢までが剣を振り回すのってどう思う?」


 アーノルドから婚約者の話をしてくるのは非常に稀だ。


 「殿下は相変わらず、深窓の淑女(レディー)がお好みですよね。 俺の妹は無理ですよ、諦めてください。 昨日俺負けたし」

 「はっ? お前兄としての威厳はどうしたよ。 というか、まだ剣を取っているのか、呆れたものだな」


 アーノルドは眉を顰め、どうしても咎める口調になってしまう。彼の婚約者は見た目こそ可憐で美しいが、少々、に留まらず剣術に長けているのである。


 「そうは言われましても殿下、事実なのでどうしようもありません。 一瞬勝てるかなぁーと思ったんですが甘かったですね。 まぁ命掛かってると心構えからして違いますから」


 一方でリンデーンは開き直ってる。つい、今まで押さえていた余計な事を言ってしまったのはご愛嬌だ。妹の急な独り立ちに苛立っているからでもある。


 「いや、僕は元から分かってたよ。 あれでも本人は猫被ってるつもりだからなぁ。 小さい頃は騎士になりたいって言ってたらしいし、中身ブレてない。 流石元”将軍”の血を濃く引くだけある。 最初は護身術の範囲だったはずなんだけどねぇ」


 フィンネルも容赦無い。妹の婚約者である殿下の好感度を意図的に落としまくっている様でもある。夏前から双子揃ってその傾向にある。それには兄として妹を想う気持ちが多少はあってのことだが、事実はごく一部の者で抑えられているため分からない。



side.Lindane


 どうしたものかね、殿下はご自分の政略結婚の中身を全く理解していない。真っ直ぐだからなのは分かってる。嫌味を言ってみても通じやしない。俺も曲がりくねった考え方は理解出来ない方だ。でも大事な身内が関わっているとなれば別問題。


 妹はこの世に生を受けてから何度も刺客に狙われている。ーー本人がどれだけ把握しているかは分からないがーー殿下の婚約者であるがためだが、その地位が盤石ではないと思われていることが最たる原因だ。

 殿下が自らの婚約に否定的なのは主だった貴族であれば知らぬ者は居ない。なら自分の娘を、と思う貴族連中がどれだけいることか全く理解していない。

 ならば、さっさと妹を解放して欲しいと思うのは身内としては当然だろう。我が家は今更皇家との繋がりを強くする意味は無いし、そのつもりも無い。だいたい三代続けて皇女が降嫁して来ているだけでも異常だが、母上とお祖母様の気持ちを思うとこの辺については何も言えないのだ。


 妹は、生まれてからずっと領地で育った。本邸の敷地外に出る事も無く、半ば幽閉された状態で過ごしてきたと聞く。

 そして学園に通うため帝都に出て早速、デビュタントを兼ねて出席したパーティーで、階段上から突き落とされたのである。それは妹の身体能力の賜物で事無きを得たが、調査は難航した。当日の警備が予定通り行われていなかったのだ。

 特殊な結界も張られ安全なはずの皇宮は妹にとっては安全ではない。実行犯を捕らえられず、特定すら出来ず終いでは、黒幕など尚更分からないだろう。該当者が多すぎるのだ。


 背中を押される瞬間をフィンネルが目撃していたが、遠くて犯人の特徴までは分からなかったと言う、多分女性だ、というだけ。では学園はどうなのか?学年が違うため俺たちでは守りきれないだろう。出来れば四六時中護衛を付けたいくらいだ。

 帝都騎士団も宮廷魔術師達もアテにならない、皇族は論外だ。妹を欲しがるだけで何もしやしない。結局俺達家族しか守ってやることは出来ない、そう思っている。奥の手を切るには時期を誤ってはいけない、対価が大き過ぎる。


 俺と殿下は一応学友として仲は良い方だと思っている、俺は殿下のことは嫌いじゃない。だが妹の命を危機にさらしているのは紛れもなく殿下だ。早く解放してやって欲しいと、俺もフィンネルも、その隙を狙っているが、殿下以外の皇族の動向も注視しなければならない。最近ではそこに神殿と教会も加わった。本当に骨が折れることだ。

 更に両親と妹も何やら動いているようで、どう収拾をつければ良いものか。特に妹はやたらと外に出たがるようになった、悩み過ぎてハゲそうだ。俺は元々小難しいことは苦手なんだ。

色々思うところはありつつも妹思いのお兄ちゃんでした。ってお話。リンデーンの髪は猫っ毛なので禿げる要素はありそうなのが笑えないところ^^

悪役令嬢は生まれた時から本人の知らないところで守られています。

そろそろシナリオとの戦いに入りたいと思いつつ、もう少し色々楽しいことをさせてあげたいんですよね

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