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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
~異世界転生で超健康になったので冒険がしたいです~
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122. 完全武装で皇城の会議に臨みますわ!

 今日は朝から侍女達が髪結いに凝っていた。いや、別にパーティーに行く訳じゃ無いんだよ、ぐるっと纏めてくれるだけでも十分だと思うワケなんだけど……ドレスは流石に控えめの紺色の首までレースで隠れる袖付きのエンパイアドレス、多少の金刺繍は入ってるけど、これくらいなら大人し目な方だ。今日の私はむしろ装備がすごい。


 ふふふっ!”金剛の腕輪”は上腕部に〔魔法攻撃反射〕、”永遠の涙”はチョーカー〔即死攻撃回避、状態異常無効、癒し*夜間のみ〕、”俊敏のアンクレット”〔攻撃力・素早さ5倍、装甲化〕、”緋の簪”〔斬貫通5倍、鋭利上昇5倍、魅惑上昇〕、なんと!簪以外は全部ドレスで隠れるのよ。まるで戦闘に行くみたいだわぁ。何しろ元皇女様二人の付き添いだもの、護衛じゃ無いからって何もしない訳に行かないわよ。見た目は楚々とした淑女(レディー)まぁ、何事も無いに越した事は無いのだけどね!


 「まぁまぁ!色々付けているみたいだけど、そんなに危険な場所に行く訳では無いのよ?」

 「ええ、お祖母様にとっては里帰りみたいなものですものね」

 「そうねぇ、あまり懐かしさは感じないけど。 物心ついてからはほとんど神殿だったもの」


 しまった、七歳から神殿に幽閉されていたんだったわ。っと反省していたら。


 「本当に。 こんなに離れていると懐かしさって感じなくなるものなのねぇ。 あまり良い思い出が無いからかしら」


 うわぁ!ひいお祖母様までなの?政略結婚なのに一三歳での降嫁って早いなぁって思っていたのだけど、一体何が有ってそんなに早まったのか聞き辛いわぁ……皇城の話題はデリケートなのよね、気をつけねば。私に至っては全く良い思い出無いところだもの。


 お母様は何も言わない。ただお父様の腕に手を置いているだけだ。そして五人で今日の会議場である大大広間へと入って行った。まぁ考えていた通りの席の配置である。ただ気が利かない事に、お母様は話の当事者として円卓に席が設けられているのに、お父様はその後ろの机に席が設けられていた。つまり高位貴族枠での参加。お母様の隣にお祖母様、その隣にひいお祖母様。私は円卓から少し離れて、お祖母様とひいお祖母様の間に椅子が置かれていた。予想通り、椅子はあるが席は無いため発言権が無い扱いだ。まぁ何も言う事なんて無いだろうけど。

 それにしてもここの席ら辺注目集めているなぁ、お母様だけでも目立つのに、元皇女お二人共に、年齢にかかわらずお美しいのよね。後は、少なからず私も注目を浴びている。そうだよねー、皇太子殿下に大勢の前で婚約破棄された女が恥ずかし気も無くよく人前に出て来られたなって感じの視線が、ひしひしと感じられますわ。


 今日の私はただの付添い人。周囲に気を配りつつも、ただ前だけを向いて座り続ける。たまに小さな声でお祖母様とひいお祖母様が話しかけてくれるので、少しは気が紛れて、緊張し過ぎる事なく落ち着いていられたのは助かった。一番緊張しているのがお母様だ、卓の下で拳を握って何かに耐えているかの様。顔には出していないけど緊張感が伝わって来る。

 席が埋まって来た頃、大きな、高さ2m幅90cm程の鏡を宮廷魔導士達が運び込んで来た。あれは、遠見鏡だ。多国間協議でもする気なの?宮廷魔導士達は皆フードを被っていたけど、中にジル様が居るのが分かった。うーん、髪も顔も見えないのに分かっちゃうってどうなのかなぁ……背格好で分かっちゃったんだよね、どんだけ見てたんだろうって感じだわ。まぁ見惚れてた事はよく有ったけどさ。


 遠見かぁ。そうだな、私なら座標移動と組み合わせて何処にでも移動出来たら面白そうかな。もし、身内の誰か一人でも派遣される様な事になったら、付き添いで付いて行こうかしら?拉致されそうになったら私ならどう逃げる?そうね、事前準備があれば国境に敷かれている強固な結界を越える事だって出来るし、何なら、結界核ごとぶち壊してやるわ!拉致の証拠が必要ならば、この遠見をそのまま魔石にでも記録させれば良い。過去見よりは難易度がかなり下がるはずよ。凡ゆる可能性を考えておかなくてはいけないわ。だって、取り返しのつかない事になってしまうもの。


 考えに耽るうちに会議の時間になったらしく、皇族が入って来た。大神官や皇帝などだ。今回皇子達は対象外らしい。ただし、ヒロインは円卓に座っている。お母様の目の前だ、つまりお母様と同じく皇族の席に近い上座に座っている事になる。あら?ヒロインは何処から入って来たかしら?タイミング的には皇族と一緒に入って来た感じだったわ、まだ婚約者候補ではあるけど、聖女という立場でかしら?お母様とヒロインの間に席は無い、五人分ほど空いている、皇帝を始めとする皇族に背中を向けない配慮ね。視界の隅に見えるヒロインもお母様同様に緊張している様だったけど、その目を見ると怯えも見て取れた。ここでヒロインのステータスを見るのは止めておこう。この仮会議場には少しばかり危険な結界が張ってあるわ。


 今回は宰相も高位貴族席らしい。現宰相はクロスディーン公爵家前当主なので、その隣には現当主が座っている。向こうが序列一位。うち、ルナヴァイン公爵家は序列二位だから反対側の一番上座に席を用意されて、その隣はパドウェイ公爵家。クロスディーンの隣はスチュワート公爵家、武家と文家に分けたのね。パドウェイ家とスチュワート家の二家は序列三位で同列となっている。仮に文官と武官で意見が割れた時には、文官の方が有利な感じね、うちは武家であるだけで今は官職持ちが居ないの。そしてパドウェイ家も現当主が皇宮護衛騎士団の長だ。つまり、うちと同じく一人しか出て来ていない。対してクロスディーン家は前当主に現当主、スチュワート家は現当主とその弟が外務大臣で二人ずつ出ている。文官の方がこういう時は数の有利で勝ちやすいのよね。まぁ、武官と文官で意見が食い違った場合の話だけど。


 「今回の会議の趣旨は既に伝わっている通りなので省く、今から会議を始める」


 皇帝の一言で会議が始まる。でも進行役は?そう思っていたら、皇太子殿下が出て来た。おやまぁ!随分と大役を任されたコト。殿下が説明をし始めた。先ずは大鏡の件だった。


 「今回の会議は、意見が纏まり次第、各国間での意見交換に入る事になっている。 目安の時間としては13時。 つまり、帝国としての意見は午前中にまとめ上げたいと考えている。 意見があるものは挙手にて示す様に」


 なるほど、あの鏡で話し合いが出来るのは二国間だけ、かなり駆け引きが難しい事になりそうね、二枚舌の国があるかもしれないって事を念頭に入れておかなくては。先ずお母様が挙手をした。


 「ルナヴァイン公爵家当主夫人どうぞ」


 殿下に指名されてお母様が席を立って意見を述べ始めた。


 「わたくしは、此度の派遣に反対します。 湖の大きさ、汚染度合い、果たしてこの北大陸中の浄化魔導師を集められるでしょうか? それでも浄化するのは難しいと考えますわ。 長期滞在はどこの国でも難しいでしょう。 どの国も手の空いている浄化魔導師などおりませんわ。 わたくしの意見は以上です」


 発言し終わったお母様は座った。皆殆どが同じ意見の様で、頷いている者や顎に手を当てて考え込んでいる者それぞれだ。しばし誰の挙手も上がらない時間が過ぎた。そして、私の隣で挙手をした人が居た。ひいお祖母様だ。一体何を?


 「エフィア・ルナヴァイン公爵家夫人どうぞ」


 ひいお祖母様は静かに席を立つ。そして思いがけない意見を述べ始めた!


 「わたくしはアビス湖の浄化に赴いても構いませんわ。 老い先短いこの命、どうぞこのスウィテ・セレナ帝国の御為に使ってくださいませ。 これはわたくし個人の考えです、どうかお心に留めておいてください。 以上です」


 会議場中が騒めいた!これは全体の意見では無く、あくまでもひいお祖母様一人がアビス湖の浄化に行っても良いと言う発言だ。ひいお祖母様は立った時と同じく、ゆっくりと席に座った。一体何を考えておいでなの?死にに行くつもりなのだろうか?分からないわ!隣のお祖母様は黙ったままだ。


 「ルナヴァイン当主、どうぞ」


 お父様が挙手をしたらしい。落ち着いた声が響き渡る。


 「先ずは件のアビス湖の現状を御報告申し上げたい。 アビス湖はこの帝都の約2.3倍の面積。水深は一番深い場所で三百mとされています。 そして、これが現在の汚染度です」


 玉座の段より二段下に設置された大鏡にお父様が手を振ると、アビス湖の映像がリアルに映し出された。


 「1m角の正方形の板が水深僅か1mで見えなくなる。 これほどの汚染を浄化魔法だけでどうにかしようなどと、もうそのような段階ではない。 一人の派遣も反対します。わたくしの述べる意見は以上です」


 お父様は速やかに椅子に座る。表情は至って冷静だが、静かな怒りが見える様だ。うーん、駆け引きってものを受け付けない頑固なタイプね。お父様の意見を聞いている途中で、ひいお祖母様の意図が分かった気がした。これは国家間の駆け引きを仕掛けようとしているのだ。恐らく、この会議場の中で一番憤っているのはひいお祖母様なのだ。帝国を罠に嵌めようと策を巡らす国々全てに対して。先ずはニース・アニース帝国を吊るし上げてしまおうという事だろう。これは謂わば戦略戦争。いくらこのスウィテ・セレナ帝国が強大でも複数国を相手取って戦うのは無理だ。もしも、浄化に向かったひいお祖母様に何かあればどうなる?でも命がけだしそれだけで何の意味があるのか、ひいお祖母様の狙いはそんなことでは無いだろうと思ったけど分からないわ。そもそも命をかけるつもりなんて無さそうよ。どうする?ひいお祖母様は行くと言っている。他国からは行くと言う者が出るのだろうか?フェイクで実際は来ない場合も考えられる。アビス湖かぁ……山側、つまり帝国側には出たわね。あー、何だか見えて来た気がするわ。ただ、他の国の出方も見てみたい。それからでも間に合うわ。


 その後、誰も挙手しようという者は居ない。自ら行こうと言う者も出て来ないまま時間が過ぎた。その間ただ騒めいているだけだ、行きたい者など居ない。アビス湖の現状を見れば、一体何人の浄化術者が必要なのか、目眩がしてくるほどだろう。果たして大陸中から集められたとしても浄化が叶うのかという汚染度だ。多くはお母様の意見と同じで揺るがない。ただひいお祖母様個人の考えに揺れている状態だった。自己犠牲にしか見えない行為だ。

 皇帝が口を開いた。


 「いったんここまでで閉廷する。十二時五十分より再開する。 皆の者遅れぬ様に」


 それだけ言って、皇族専用出口から退出して行った。

 私達家族は城内に与えられている部屋に向かって昼食を摂る事にした。我が家の昼食は持ち込みのランチボックスだ、お弁当を食べるのも久しぶりね。


 「お義祖母様は何を考えていらっしゃいますの? お一人で何年かけてあの湖を浄化するおつもりなのですか!」


 お母様はいきなり喧嘩腰だ。分かるわ、ただひいお祖母様が心配なのね。


 「あらぁ? だって面白そうじゃないの、我が帝国を罠にかけようだなんて……真っ向勝負する力が無いと宣言したと同じ事でしょう」


 ひいお祖母様はくすくすと少女の様に笑った。うわぁ、こんな黒いひいお祖母様は初めて見たわ。真っ黒よ!

 それにしても、本当に意見の交換がほとんどない会議だったわ。他の神官や巫女達も居たのに、お母様の意見に賛成だとしても、それを言わないと一人の意見にしかならないわ。お父様も派遣反対だから二票ってところね。この会議の意見ってどう纏めるの?多数決を取るには時間が足りないわよ。ああ、投票じゃなくて挙手なら間に合うかしら。


 「でもまぁ、意見したのはうちだけでしたわね」

 「えっ?そうなの?」


 会議室に入る事は出来ないものの、心配でこの部屋に来て居たらしいフィンネル兄様が聞いて来た。


 「ええ、お母様、ひいお祖母様、お父様、の三人しか挙手しなかったわ」


 私は話の内容には触れずに挙手順に意見を上げた人を答えたら、フィンネル兄様が驚いて言った。


 「それって話纏まったの?」

 「纏まる訳無いじゃないの!」


 うわぁ~速攻で食いついたよ、お母様。フィンネル兄様に当たってもダメですってば!


 「リンデーン兄様はどうなさいましたの?」

 「ああ、留守番してるよ。 通信番とも言うかなぁ、お爺様が心配して通信用魔術道具で定期的に連絡して来るんだよ、だから一個持ってここに来た」


 ぶっ!何考えてんだこの双子の兄達は、実況中継でもするおつもりですか?入れないのに?いや、多分城内に入れば何か探れると思って来たんでしょうね、上手く行かなかっただけで!だってあの仮会議場には、視覚と聴覚を狂わせる強固な結界が張ってあったもの。

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― 新着の感想 ―
[一言] 勇者、聖女、聖者、英雄の類は自己犠牲愛に満ちた自殺志願者なんだから黙ってやればいいのにね。
2022/01/23 18:17 退会済み
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