119. 久しぶりに見たステータスはとても衝撃的でしたわ
さてさて!気を取り直して肝心のステータスよ!画面の右下をタップするポーズで先に進むと……。
あっ!体力、精神力が若干上がってる!精神力は”婚約破棄イベント”って言う私の人生においての一大イベントを乗り越えたからかしら?霊力がこんなに上がっている理由がよく分からないわ。陰陽師的な技は使ってない……ああ、でも闇属性魔法には近いものがあるかしら?物理は攻撃が200上がって防御は保留そのまま!素早さが10増えて良かったけどそんなに上がらないモノなのね。やっぱここはRPGとは違って生身な感じがするわぁ……魔法は相変わらず凄いわ攻撃が30000、防御が5000上がるって、やっぱ私はこっち側ってことかしら?
あらら?称号と祝福が整理されている?大魔導士の称号が消えたわ、上にはまだ大賢者という祝福があるハズだけど、大魔法使いが優先するって事なのね。あらら、幸運宝箱は大魔法使いの加護だったのね!お兄様と一緒だとレアドロップが増えるのは、お兄様の大魔法使いにも同様の加護があるのだと見て良いのかしら。あっ!聖女の加護に付いていた”癒し”からかっこが外れてるわ、これって癒しの加護が強化されたか目覚めたって事で良いのかしらね?うーん、やっぱり状態異常高耐性は聖女の加護なのね、猛毒に倒れて身体がボロボロになったのはやっぱ聖女であることを隠蔽していたからなのかぁ……ある意味自業自得?納得は出来ないけど、そう言うことね。
HP:9900 MP:∞
SP:150 PP:115000
攻撃力:物理 20560/魔法 350000
防御力:物理 200/魔法 225000
素早さ:380 回避率:7777or ∞
水属性:SS 風属性:SS 火属性:S 土属性:S
聖属性:SS 闇属性:SS
称号:剣聖
祝福:大魔法使い/加護:幸運宝箱ドロップ率上昇、精神異常無効
聖女*転生者特典/加護:豊穣、浄化、癒し、状態異常高耐性
スキル:*リンク先参照
装備:
視現の鏡〔視る魔法全般を補助する魔鏡〕
守森の剣〔物理防御、物理攻撃3倍、鋭利上昇3倍、追撃、帰主〕
金剛の腕輪〔魔法攻撃反射〕
永遠の涙/チョーカー〔即死攻撃回避、状態異常無効、癒し*夜間のみ〕
癒し桃姫/ティアラ〔癒し、幸運、水中散歩〕
※豆知識:SPはPPで強化出来るよ。
装備の欄に小さな衝撃が!ピーチ姫ってティアラだったの?ジル様の方が合ってたって事なのね。でも小さくてもティアラとして頭に乗っけるのは恥ずかしいわよ!ジル様はポニテの根元に髪飾りとして付けてたから、あれくらいの使い方が限界ね、普段は腕輪の方が落ち着くわ。何と言っても、今のマリナの髪型はショートボブなんだんだもの!剣聖の称号は変わらずあるのね。って事は、剣術も認められる範囲ではあるんだわ。って事は……あの英雄夫婦は大剣聖かしら?未来のリンデーン兄様もそんな感じがするわね、いや、すでに祝福で持ってる可能性はあるわ。世が世なら”勇者”なんて事もアリっぽい人達なのよね。ちなみに勇者は祝福でしか得られない称号らしいわ。大魔法使いと聖女の二つを私は祝福で得ているけど、本来祝福は一つなんですって。ここは流石、転生特典ってところね!
今後の私の目標は、やっぱり物理強化よね。魔法も常に挑戦して行くけど、物理攻撃力は限界突破でもしていそうな数値だけど、防御が酷いわ。装備品と付与魔法で何とか守っている感じね。それにしても、私の聖女の加護ってどの程度なのかしら?フィンネル兄様によると、無自覚で帝国全体を覆ってたって事らしいけど、あくまでもデータ上の確認しか出来ないところがもどかしいわね。
さて、現状確認はこれで終わり!
今日も残り少なくなったけど、気分転換に刺繍でも刺しましょうか。今日子供達に貰った素朴で可愛らしい花々をモチーフに、ハンカチではなく少し大きい作品、まあるいクッションになるように刺して行った。今の私の気分のままに。付与は癒しと浄化にするわ、だってクッションは抱きしめたり頭を乗っけたときに化粧が付いたりするでしょう?水魔法の洗浄でも良いのだけど、今の気分なら浄化がぴったりだわ。浄化を付けても、うちの使用人には衛生部って言う、緊急対応の為の別部署が組まれていて、そこに所属する皆んなは浄化が使えるの、中には付与も出来る人だって居る優秀な人たちなのよ。そうそう、私の専属侍女ケイナも使えるのよ、えっ?なんで神殿巫女にスカウトされなかったかって?『及第点』つまり、聖水を生成出来るほどでは無かったから、スカウトまではされなかったらしい。ちょっと考えて見てーくらいは専攻の教師に言われたらしいけど。
その優秀な部署の存在がまさにヒロインの自信を挫く一因になっていたとは、全く知らなかったのであった。
もうディナーのお時間である。今日はひいお祖母様もいつもの別棟に戻らずに城で一緒なの。きっと私のためなのね。
私はその席で、今日行われるはずだった魔力判定の代わりに、全属性持ちである事、上級魔法使いとして通用する魔力が既にある事を告白した。あまり驚かれなかったわ、とても喜んでくれたけど。称号の剣聖と、祝福の大魔法使いと聖女についても話した。まぁ、聖女に関しては、対外的には隠して行こうって話になったわ。それは両親もそうしただろうと思うし、私も隠しておきたい!だって諸外国からも狙われる事になるなんてごめんだわ。そんなモテモテはヒロイン特権にしておいてよ!あー、そう言えばヒロインの転生特典って一体何なのかしら?お兄様に聞いても分からないだろうから、私が確認する機会がないとダメねぇ。
今日のディナーも素晴らしく豪華だ。成人の儀っと言うよりは、私のお誕生日パーティー仕様って感じで、盛り付けも上品さはありつつも可愛らしくなっている。まさに目で見ても楽しめるお料理の数々。身体の調子も戻ったし、もりもり食べたわ、そんなところ遠慮するような間柄の人はいないもの♪
とても楽しいディナーの時間を過ごしている時に、帝都の別邸から通信用魔道具に連絡が入ったと、執事長セバスが通信用魔術道具を持って来た。どうやらここに集まっている家族みんなに関係する話らしい。あまり良い連絡でなさそうね。お祖父様が代表で電話を取った、しばらくじっと話を聞いている。
そうそう、通信用魔術道具はコードレスなのよ。だってこの世界に電話回線なんてないのよ。うちの通信用魔術道具は12個連携で主要箇所に設置されていたのだけど、城塞に設置されていた分も本邸に持ち込まれたから、通常は執事長のセバスと他数人の通信番が管理している。他には元から設置されているお父様の執務室、護衛騎士の詰所(兼鍛錬場、屋内鍛錬場付き宿舎)、城門の警備室になっている尖塔、城内の衛生部である。更に魔導士団の詰所と化している薬学研究室と、なんと私がオーナーを務めるルゥナ工房の作業部屋にも設置されている。今は12台中9台も本邸に集まってるのね。あとは皇都の別邸に2台、森の別荘に1台、あら、うちって本当に公爵家の割に別荘って持ってないのね。後はお母様のわがままで夏の思い出用にお父様が作らせたアトランタ火山7号目の高級ログハウスくらいだわ。ああ、あのログハウス、どうせなら塩水湖のもっと近くに建てれば良かったのに。やっぱり傾斜の問題かしら?
お祖父様のお顔は段々と暗くなって行く、不安で仕方がないと言った感じだ。かつてはアルト王国との七年戦争の初期三年の指揮を取り続けた将軍で、決死の覚悟で攻めて来たアルト国軍を帝国に侵入させないように前線を張り、維持し続けた勇猛な人なのだ。しばらくして、私に代わるように促された。
「もしもし、代わりました。マリノリアです」
あっ!つい『もしもし』なんて言っちゃったわ!こっちじゃ意味不明ワードよ。
「成人の儀おめでとう。 戻ってやれなくてすまなかったな。 ルーラ教会でのことは聞いた。 我が領内で大変に残念なことだが、よく暴いたな」
謎ワードの『もしもし』はスルーされたようでホッとした。
「お父様、ありがとう。 でも祝福はひいお祖母様が特別な祝福をしてくだいさいましたのよ。 領の子供達にも花束でお祝いしていただきましたわ。 使用人達もほぼ総出で祝ってくれましたわ。 魔力判定など、今更する必要もありませんでしょう? 家族みんなで晩餐を楽しめなかったのは残念ですけど、とても良い成人の儀を祝っていただきましたわ」
「そうか、それは良かった。 母に代わるつもりだったが、泣いていてまともに話せそうにもないから兄達に代わる」
「「マリア!成人の儀おめでとう!」」
「こっちで足止め食らって、行ってやれなくてごめんな。 魔力判定なんて今更だろうが、大神官と大司教がきっと残念がるだろうね」
「僕も行けなくて残念で仕方ないよ。 ドレスは去年のにしたみたいだけど、とても綺麗だったんだって?見たかったなぁ! 魔力判定は諦めの悪い大神官が判定器持参で凸撃して来るかもしれないから気をつけてね」
うへぇ!そう言えば大神官様も凸撃組の一人だったわ!この帝国の偉い人で要人なんだから、当日でも良いから先触れ送ってよ!
「あとはまぁ……お爺様に話を聞いて、判断を任せるしかない状態だから覚悟して聞いて」
「分かったわ、皆んなありがとう」
私は電話に出られなかったお母様に向けても、感謝の気持ちを伝えて通信を切った。セバスに渡すと一礼してそのまま下がって行った。さあ!これから家族会議である。内容は、だいたい想像出来ている。事前にあのステータス画面の<攻略状況>を見てしまっていなければ、この場で混乱してしまっていたかもしれない。そんな内容がこれから話し合われるのだ。
先ずお爺様が口火を切った。
「わたしはこの身体だ、とても行くことは出来ん。 だが、母上とアリサにも皇都への招集が掛かった。 もちろん護衛はつける。 だが会議の場は皇城の内の大大広間で、聖属性魔法の術者だけでなく、多くの宮廷魔導師、官僚、上位貴族達が集まるから、護衛は中に入る事が出来ない」
お爺様は、そこで言葉を一旦切ってわたしを見つめた。
「マリア、お前に二人の付き添いをお願いしたい。 先ずは馬車でうちの護衛騎士を限界の20名を超えて40名、その中に魔導師団から数名選抜して付ける。 聖属性魔導師が世間に分かっているだけでも三人も、それも上位者が皇都の別邸に揃うのだ。 このくらいの警備強化はお目こぼし頂けるよう、皇帝には先触れを出しておく。 なに、向こうには息子がおるのだから明日の朝にでも提出可能だ」
「承知しましたわ。 何があっても、お二人を守ってみせます」
「マリアも護衛の対象者よ。 そこのところは忘れないでね」
「お祖母様、わかりました。 無茶なことはしませんわ」
その後、部屋に戻って考え込みながら刺していたら刺繍が完成した。あとはこれをクッションにしよう。何かしていないと落ち着かない。ある程度の覚悟はあったけど、また皇都に、それも皇城の内の大大広間と来れば、悪い思い出しかない建国記念パーティーの会場になっている場所だ。確かにあの場所であれば、玉座もあり、皇族の段もある。それに多くの人数が座ってでも収容可能だ。テーブルも用意されていることだろう。玉座前に要人が着く大きな円卓。その周囲を囲むようにカーブのかかった長机を設置して仮の会議場を作るのだ。裁判でも通常の帝国会議でもないからそうしたのだろう。或いは建国記念パーティーに参席した諸外国の要人の内関係者が居るのかもしれない。
私は関係者でも会議に出られる立場にも無いが、高齢の元皇女様の付き添いとして特別に認めさせたらしい。付き添い、っと言うよりは護衛よねぇ……。その場にはお母様も、もちろんお父様も居るけど、不測の事態を想定してのことだろう。聖女であるヒロインも出て来るはずだ。今まで彼女のステータスを見ることに抵抗を感じていたけど、見るチャンスだ。彼女の転生特典、これがどうしても気になるのよね。
きっと、当日は多くの好奇の目にも晒されるだろう。上位貴族とは何処までが出て来るのだろう?当主のみ?嫡男および夫人まで?いや、夫人はよほど当主が役立たずで無ければ出て来ないだろう。たまにあるのだ、女当主では無いのに家の実権を夫人が握っているそんな家が。
私はただの付き添い。席はひいお祖母様方の近くになるから、円卓に着くまでは行かなくとも、二人の間に椅子を用意してくれる程度であろう。つまり、発言権は無い。まぁ良い。私は久しぶりにヒロインの女優振りを見に行くくらいの気軽さで行こう。あまり緊張しすぎては役に立たないわ。
そうこう考えている間に、クッションが完成した。贅沢にベルベット生地を使用した淡い若草色のクッションで、もちろん買い取った上等の絹繭をうちの工房で織り上げた特級品だ。
最初は地元の生産者に話を持ち込んだのだけど、通常の絹織物とオーガンジーなどの厚みを変えた生地の生産だけで手がいっぱいだと言うので、買い取っている余剰繭を使って、うちの工房の屋根裏を専用の織物工場にして生産している。もちろん、下階に騒音が響く事の無いように床にはしっかり防音処置が施してある、壁にも。完全防音も出来なくは無いけど、不測の事態に気が付かなくなってしまうことを考慮してやめておいた。
うーん、このクッションの手触り最高だわ!そうだ!ひいお祖母様に渡そう。領地を離れるなんて数十年振りだから不安に違いないわ。そうして、真ん中に取り付けた薄紫色のダイヤモンドカットの魔石に予定通り癒しと浄化の魔法付与を施した。
翌日、皆んな不安な表情をしているけど、馬車に乗り込む時には笑顔で「行ってきます」と言った。
さぁ!久しぶりの皇都だ!




