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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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11. 悪役令嬢、何処を目指して…

 ”城塞”の屋根裏に転移魔法陣を置いて来たので、これからは結界を気にせずに何処からでも移動出来る。ただし私だけよ、そうしないと結界の意味が無くなるもの。

 最初は皇都の邸(タウンハウス)の私室との2点間転移魔法陣にしようと思っていたのだけど、よく考えたら不便かなと思ったのよね。

 だって”悪役令嬢婚約破棄イベント”後は皇都の邸(タウンハウス)に行くことなんて無くなるじゃない?領地の本邸にも行かなくなるだろうし、そうなると何処からでも屋根裏部屋に直通出来るようにする方が便利。これからリフォーム素材を運び込むし、幽閉後の拠点にも出来る。

 ええ、こうなったら自由を謳歌させていただきますわよ!


 学園は五日通って二日休みのサイクル。週休二日制ね。やっぱ日本のゲームの世界だから、基本(ベース)が日本なのよね。メシマズはどうしてなのか分からないけど、ここは別の国の設定を取り入れた可能性はあるかも。一応中世ヨーロッパ風ファンタジーだものね。


 社交界デビューしているからお茶会や舞踏会の招待状が届くけどスルーするわよ。だって皇太子妃になるつもりなんてないから鬱陶しいだけだもの。

 ”婚約破棄イベント”は決まってて避けようが無いけど、”断罪イベント”追加となると私だけ罪が重くなるでしょ、だから皇太子に気があると勘違いされる言動はしない、皇太子妃になりたそうな素ぶりを絶対に見せない、絶対に隙を見せない。


 私に全ての瑕疵を押し付けてハッピーエンドなんて許さないんだから!ヒロインとくっ付きたいなら正直に正攻法で来いってことよ。まぁ、ヒロインがどのルートを選ぶかはまだ分からないけど、皇太子との婚約自体が私の未来のためにならないのだけは決定事項なんだから。

 いやもう、なんでこっちから婚約解消出来ないのかな。まぁあっちが立場上だから一度決まった以上しょうがないのか。


 さて、この広いだけの屋根裏部屋どうしようかな。


 私室の机で屋根裏のリフォーム計画を立てていたらつい時間を忘れてしまっていたようで、侍女が夕食の時間を知らせに来た。”城塞”から戻ってお父様の説教を受けた後にシャワーと着替えを済ませていたので、そのままダイニングに向かった。



 「マリは一体何処を目指しているの?」


 静かな、お通夜のようなディナー中にお母様が聞いて来た。

 いや、私もよく分かんないよ。ただ”悪役令嬢断罪イベント”を避けたいだけだから。そして今世は楽しく長生きしたい。やっぱ幸せになりたいよね。

 ああ、お父様まだ怒ってるわ、こめかみに青筋立ってるじゃない、美形が台無しですわ。


 「興味の赴くままに、と言ったところかしら。 最強の冒険者になってみるとか?」


 ホンの思いつきの冗談で言ってみた。


 「あら、楽しそうね」


 お母様、本気にしてないと思うけど愉快そうに微笑んでいるわ。

 でも冒険者か……ちょっと良いかも。身分を明かせない人が出来る職業って少ないの、当たり前だけど。

 冒険者ギルドって十歳から登録出来たよね。ああ、でもソロ活動だと十二歳からだっけな?十五歳だっけ?


 あっ!思い出した。なんで忘れてたんだろ。ジル様が冒険者ギルドに助っ人登録して、依頼とかダンジョン攻略してるって設定あったじゃない。優秀な魔導師だものね。確か冒険者ランクAだった。もう冒険者活動しているのかな、何歳から始めたのか何処ら辺で活動しているかとか細かい会話のやりとり無かったよね。ヒロインもっと突っ込んで聞いといてよ~。バッタリ会っちゃったらどうするの?


 「ねぇ、あなた。家族でパーティー組んで魔物倒しながら帝国一周旅行なんてどうかしら?」

 「「……」」

 「もしかして、大陸一周の方が良かった?」


 なんとか吹き出さずに抑えたけど鼻の奥がツーンとする、洗面に行きたい、鼻かませて。

 お父様も何かに耐えているよう。


 「ダンジョン巡りも楽しそうね」


 お母様自由すぎるわ。もしかして退屈なさっているのかしら?そうね、うちってあまり社交もしないし、領地は豊かだけど広くはないし、お父様も配下の使用人達も優秀だから暇そうに、見えるわよね……。忙しいのは常に鍛錬に励んでいる騎士達かしら?でもうちの職場は基本ホワイトだからね、でも自主鍛錬しちゃうのよ、きっと理想が高いのね。


 「お母様……ダンジョン潰しなさったら、冒険者が益々帝国に寄り付かなくなりましてよ。 何事も程々が良いと思いますわ」


 いや、冗談じゃなくマジで。

 ダンジョン潰しって出来るの。階層ごとにある核?クリスタル?を集めて、最終フロアで仕掛けを解くとダンジョンが消える。有ったら困る場所に出現したダンジョンを消滅させる依頼が稀にあるらしいのね。そうなったら緊急クエストってやつで冒険者を募るの。依頼がない限り特に得るものが無いから普通は潰さないけど、お母様ならやりそうだわ。さながら道場破りね。


 この夫婦は忙しくない方が世の中平和だと思う。だって先の戦争の英雄夫婦ですよ。

 お父様は帝国騎士団の元将軍、戦争時の最高指揮官。もう帝国騎士団は引退しているけど、今も将軍って呼ばれてる。お母様はお転婆な元皇女ってだけで、騎士団に所属はしてないけど姫将軍なんて呼ばれるくらいお強いの。

 当時お母様の降嫁先で揉めてたらしいけど、だったら前線行ってくるって発想がオカシイのよ。それで一騎当千の強いの同士で恋愛結婚しちゃったのよね。

 ってか、さっきからお父様一言も喋らないわよ、冗談通じないのかしら。そう、冒険旅行なんて冗談なんだからね!

 お父様からの無言の圧の強さに耐えかねて、スウィーツは部屋でいただくことにした。




▽▲▽▲▽



 夕食時に冒険者の話が出たことで思い出したけど、ステータス画面ってあるのかな。ヒロインじゃないから無理かしら。

 乙女ゲームで言うステータス画面っていうのは主に攻略対象者の攻略状況で、どっちのルートに気持ちが向いているとか、好感度がどうなっているか、なのよね。内部処理されてて見えないパラメーターもあるんだけど、悪役令嬢にはそんなの無いか。

 あったとして皇太子の好感度0かマイナスの自信ならあるわ。しかも二人も兄が入ってるから好感度なんてキモいわ。この場合は家族として何らかの補正入るよね?恋愛対象としては除外だもの。

 でもこのゲームのステータス画面で言う『好感度』って%によってはお友達って有ったよね!!って事はお兄様方のは家族としての好感度に読み替えれば良いのか。


 「【ステータス】」


 シーン


 「【攻略状況】、【ステータス画面】、【メニュー】」


 うーん、ジェスチャーってこともあるかな?ゲーム画面ではメニューボタンをタップすれば出て来たけど、視界にそんな感じのは見当たらない。

 ふと思いついて、両手の親指と人差し指を直角にしてフレームを作るようにしてみたり、片手だけにしたり、スマホ操作の指使いとか思いつく限り試してみた。誰かに見られたら頭の病気を疑われそう。

 やっぱりヒロインじゃ無いと無理か。そもそも元はゲームの世界でも、中に入り込んで生きてるこの状態でステータス画面って現実的じゃないわね。あったら便利だと思ったんだけど。

 冒険者ギルドのランク判定は実績の積み重ねだけど、魔法使いや魔導師なんかは、鑑定するスキルか術式の適正がある魔導師が居て、それでランク判定がなされる。

 自分で見られたら便利なんだけどなー。ふーっと長く息を吐いて、何気なく両手を動かした、ら、向こうが透ける透明度設定がされた横長のタブレット画面みたいなのが浮いてる。


 「えっ!?何も記載されてないけどステータス画面なの?」


 じっくりその半透明の画面を観察する。右下にページを折ったような小さな△があったので、タップしてみるとーー見る者がいれば空中に指先を突き出しているだけに見えるだろう何とも間抜けな仕草であるーー、なんと見慣れた好感度画面が出て来た。ざっと見て六人全員のグラフはグレーだ。

 えーと、判定外ってことかな?これって全員(ゼロ)の状態だ。ヒロインが学園編入前だから、まだ始まってないだけかな。

 右下の小さな△がまだ表示されていたので、またタップした。

 おおーーーっ!これ乙女ゲームに必要ある?少なくともゲーム中に見たことのない画面だった。RPGで慣れ親しんだHP、MP、属性ごとの修練度(強さ)なども割と細かく数値化とランク表示されている。正直こんな機能があることが驚きだよ!

 だってヒロインは聖女で聖属性魔法の真骨頂、浄化を使えるけど、聖女設定で攻略対象者達との距離を縮め恋愛成就を後押しするためのアクセサリーみたいなもの。実際にどの程度使えるかなんてシナリオには全く関係ないの。


 ステータス画面を見ても、そもそも標準が分からない。ただ、HP(たいりょく)に対してMP(まりょく)が異常に高い……高いどころじゃないよ∞って何?どれだけ魔法を使ってもMP減らないってこと?そう言えば転移魔法はMPを多く消費する高位魔法だけど、今日だけでも結構使ったよね、それで疲れたってことは無かった。

 使える属性とランクは、、

 全属性SS~Aって何?頑張ればここまでなるってランクなのか今現在のランクなのか。ううーん、普通に考えて現在のランクなんだろうな、並列されているランクも無いし、鑑定したわけじゃないもん。レアな聖属性まであって使ったこともないのにSSなの怪しすぎる、バグってない?

 この称号って項目にある『賢者』はまぁ全属性あったら想定出来なくもないから良いとして、祝福『聖女』って、しかも転生特典ってなに?おまけにしては大きすぎない?

 回復(ヒール)は分かるけど自己回復(エンチャントヒール)って何だろう?ゲームタイトルにもよるけど回復(ヒール)って自分に使えないことあるよね、この世界でもそう、魔法書に書いてあったの覚えてる。だからあらかじめポーション作って持ち歩くのが定石。

 浄化使えるっぽいよ、あれ?聖女ってダンジョン入っても魔物にエンカウントする確率めっちゃ低くなるんじゃないの?それって良いの?


 “悪役令嬢”の両親が規格外(チート)過ぎる上に、目も眩むほどの美男美女なのは、双子の兄達が攻略対象者だからなんだろうと思っていたけど、”悪役令嬢”がここまで規格外(チート)なのって、よくある悪役令嬢の逆転ものの影響で転生者特典が規格外(チート)……とも考えられるけど、何もかも不確定だから決めつけは良くないな。”断罪イベント”は全力で避けたいけど”ざまぁ”は望んでない。天才魔導師と素質は見込まれていたから多属性適性は驚かないけど。そもそも遺伝的なものがあるし、既に水、火、風は使ってるから。




 ……見なかったことにしていいかな?

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