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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
~異世界転生で超健康になったので冒険がしたいです~
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116. 可愛らしい成人の儀を祝っていただきましたわ

 「お母様、別に新しいドレスを作る必要などありませんわ。 お兄様方の成人の儀で着たドレスで十分だと思いますの」

 「まぁ!今のあなたにあんな地味なドレスが相応しいと思っているの? 別に宝石を付けまくろうって訳ではないのよ? ただあの真っ白で何の飾り気も何も無い、昨年と同じ付添人用のドレスで成人の儀の主役が領民達の前に出ていいと思って居るの!?」

 「良いと思いますわ。 皇太子殿下に婚約破棄されたばかりの令嬢が清貧を心がけて大人しくしているなんて美しき事ですわ! 逆に派手な装いなど顰蹙を買うだけだと思いますの。 そうだわ!真珠のチョーカーがありましたわ。 あれを付けるだけで十分ですし、髪型が華やかな分、落ち着いて全体的なバランスが取れて良いと思いますの」


 お母様はどうしても、私の新ドレスを作りたくてしょうがないらしい。私の成人の儀まではもう二週間を切っているのだけど、うちは高級ブティックにオーダーメイドする訳では無いので、こんなギリギリでも間に合うのだ。

 今は特に建国記念パーティー用のドレスのオーダーで大忙しの時期だから、今注文して受け付けてくれる様な所なんて無いのよ。

 オーダーメイドなのは変わりないのだけど、うちは専属のお抱えデザイナーと針子チームが居るので、外にオーダーした事など無いの。


 普段着も私達の着用する物全て、なんなら使用人のお仕着せまで、全てうちのオーダメイド!つまり自家製なのね。

 これも私の命を守るために、なるべく外の人間を出入りさせない為、もあるんだけど、実はこの方が街や帝都の人気ブティックなんかに頼むよりも超安上がりだったりするのよねぇ~。

 あーあ、私の勿体無いとかって感覚は絶対にご先祖様から代々続く遺伝だと思うのよ。お母様は元皇女様だから、この感覚が分からないんだわ!


 だって、成人の儀の衣装なんてその日しか着ないのよ?振袖はまだ伝統衣装だし、未婚女性の第一礼装だから他にも着回し出来るわよ。でも今お母様が作ろうとしている成人の儀のドレスは着回しが効かない!一度しか着ないのよ!リフォームして普段着に下ろしてやろうにも、出来無さそうなのを作ろうとしているの。全く無駄遣いだと思いますわ!



 今日のバトルも引き分けに終わった!

 せっかく領地内でささやかな成人の儀を行えるようになったというのに、派手なドレスなど必要ないわ。

 それに、昨年のお兄様方の成人の儀の日は、大司教様と大神官様が来るとあって、教会側が勝手に領民達に宣伝してくれちゃったけど、今回の私の成人の儀はどこからも告知されて居ないの。毎年誕生日を祝う訳でも無いので、領民達が私の誕生日など覚えている訳も無く、公爵家の馬車が教会に着いたら、もしかして?って思う人が居るかもしれないくらいなのよ。

 つまり、本来通りの身内だけのお祝いに収まるって訳。でも私のドレスを作る機会が全く無くなったお母様が一人で頑張っているのが今の状態……。



 さて、結局私に軍配が上がったまま、お父様とお母様は、建国記念パーティーに参加するために皇都へ向かった。二人はパーティー参加後の二日後が私の成人の儀のため、かなりのハードスケジュールとなるのだけど、今回は馬車を走らせるのでは無く、お父様がお母様とお兄様方を連れて、前日の夜に座標移動で領地に帰ってくると言う。それでもハードスケジュールだと思うけどねぇ。

 特にお兄様方は学園から帰宅してすぐ領地に帰って、翌日私の成人の儀に付き添って、その夜に帰る。もう座標移動出来るの隠す気無くなってるわねお父様。きっと面倒になって来たのよ。私もだけど。だって馬車旅疲れるんだもの。使う時は使うけどね。



 だが帰宅する予定の私の成人の儀の前日には、誰も帰って来なかった。

 ただ、連絡用魔術道具で緊急連絡が入り、浄化を使える魔導師を集めての緊急会議があるとのことを知らされた。うちには他にもお祖母様とひいお祖母様が居るのだけど……。

 今回、お爺様とお祖母様は早目に本邸に来て居たので、翌日は今居る家族だけでささやかに祝おうと言うことになった。教会へ行く馬車も、目立たない様に公爵家の紋章なしの馬車にする事になった。何しろ私の他は、祖父母とひいお祖母様だけだ。護衛も付くけど、目立たないに越した事は無い。ただ、不安で仕方なかった。



 当日、シンプルな白い礼装に真珠のチョーカー。頭は相変わらずどうなっているのか分からない華やかな編み込みに、真珠や少し歪みのあるのが味わいある淡水真珠の細石を巻いたり髪と一緒に垂らしたりと、工夫を凝らしている。まぁこれだけで十分清楚華やかって感じなんじゃないかしら?

 成人の儀自体は四人で楽しくティータイムをして過ごした。スウィーツはこの日の為にパティシエ達が腕を奮ってくれた珠玉の品々!お茶は私の段々畑で作って貰っているダージリン風味のファーストフラッシュ。


 そして、朝の礼拝が終わる頃に馬車に乗り込む。今回は四人だけなので一台に乗って、騎馬の護衛騎士達が十人周囲を囲んで護衛する、小規模なものだ。


 「何だか寒いわね、これを羽織っておきなさい」


 そう言ってひいお祖母様がシルクのレースショールにシャドーフォックスの毛を編み込んだふわっふわで暖かいのを肩にかけてくれた。


 「ありがとう、ひいお祖母様」


 馬車に乗り込み、教会に着いて扉を開けると、教会関係者しか居なかった。

 司教様の元へ向かう。前に立って、淑女の礼をして。


 「本日はよろしくお願いします」


 っと言って、頭を上げた。


 司教様の側には神父様が居て、お兄様の時同様に、その手に持つ赤いクッションの上には聖水が乗っている。


 瓶越しにも分かる。随分と薄めていること……今日お母様が来ないと言っても、私の後ろにはひいお祖母様とお祖母様という聖属性魔法の上位者が居ると言うのに、舐めた真似してくれるわね。薄め方自体は悪くない、効力が薄くなってはいるけど消えた訳ではない。でも、聖水というものは元々神殿から無償で教会に卸されているものなのだ。つまり帝国からの施しとして各教会に配られている。それを薄めてより利益を得ようなんて浅ましいにも程があるし、聖水の需要と供給のバランスが良いのか悪いのかの判断が神殿に、延いては帝国に届かなくなるという事なのだ。


 確かに、聖水の追加要求は難しいけど、もしも、疫病などが流行った時にどう責任を取るつもりなのだろう?

 我が領内の教会には一昨年の視察から、聖水に手を加えることをより厳しく禁じている。それにも拘わらず領都でこれをやろうとは、到底許せるコトではないわね。


 今年は大司教様も大神官様も居ない。きっと、私ならば分からないと踏んだのだろう。闇属性の究極治癒術者である事は既に分かって居るのだから。まさか聖属性に属する聖水の質まで瓶越しでも見分けられるとは思うまい。


 私はその、我が領内の教会で使われている緑色の遮光瓶を司教が手に取る前に奪った。神父が目を丸くして手を伸ばす前に、瓶を開けて後ろに居るお祖母様に渡しながら言った。


 「この聖水にどれほどの効力があるかお分かりになります? わたくしから見てもかなり薄く見えますわ」

 「あら!嫌だわ。 こんな聖水を生成したのは一体誰なのかしら? 神殿に抗議しなくてはいけないわね!」


 お祖母様ったら中々の演技派ですわぁ……神殿がこんなもの出す訳ないの分かっているくせに。ああ、ひいお祖母様のお顔が険しくなりましたわ……もうこの人達お終いね。

 目の前の司教と神父はブルブル震えだした。後ろに居る修道女(シスター)達もだ、みんな関わってたってことねぇ。元皇女が、それも聖水生成者レベルの聖属性魔法使いが二人も居たのだ、誤魔化し様が無い。


 結局、この日はルーラ教会の処分で慌ただしくなり、私の洗礼式・魔力判定どころでは無くなってしまった。まぁ魔力判定なんてどうでも良い事だけどね。あとを本邸から追加で呼んだ護衛騎士達に引き継ぎ、帝国騎士団への引き渡しまで任せて、私達は教会を出た。その時小さな子供達が寄って来た。


 「「「お姫様にこれを」」」


 可愛らしい小さな花束だ。五人の子供達がそれぞれ持って渡してくれる。私はその場でしゃがみ込んで、子供達に目線を合わせて花束を受け取った。


 「まぁ!素敵なお花をありがとう。 皆んなにも祝福を分けてあげるわね」


 本当は、私は今日祝福すら受けられなかった。あんなに薄めた卑しい聖水でなどで一体何の祝福が望めるのだろう。私は指先に浄化の光を集めて子供達の額に聖水を付けながら、この子達がずっと笑顔で居られる様に願った。

考えていたよりもずいぶんと寂しいものになってしまいました……。

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