109. お母様から今直ぐ髪を伸ばせとの仰せですわ!
後半はお赤飯な表現アリアリですので、苦手な方は▽▲▽▲▽の後は回避してください。
「ダメよ!成人の儀は邸の中だから良いけど、洗礼式と魔力判定は教会で行うのよ。その髪を領民達に見せる訳にはいかないわ!あと一月で伸ばさなくては!」
お母様の無茶振りは何時ものコトだけど、流石にそれは無理でしょう。そんな事もあろうかとちゃんと考えてありますのよ。
「まぁお母様。 それはカツラがあるから大丈夫ですわ」
「カツラごときで誤魔化せるモノではないのよ、分かっていないわね。教会の蝋燭の光で偽物だとバレるのよ」
偽物!?いや、本物ですよ、切った髪で作ったんだもの。
「お母様、ちゃんと地毛で作ったカツラですわ」
「切って一月も経った髪などものの数にも入らないのよ。生きてる髪と死んだ髪は違うの、それがルナカラーよ」
「……」
んなめちゃくちゃな!あと一月ほどで1m近く伸ばせと?それは無茶振りが過ぎると言うモノですわお母様。
とりあえず椅子に座る。黙々と食べる。いやぁ、ワカメとか昆布他領からお取り寄せかしらね~。でもそう簡単に伸びないわよ。
「良い案がありますわ。 ベールで隠して教会に入れば領民には見られずに済みますわ。 醜い痘痕でも出来たと吹聴すればベールで覆っていても問題ありませんわ」
私は自信を持って案を出したのだけど……お母様には効かなかった!
「絶対にダメよ!今すぐにでも伸ばしなさい!!」
うえぇ~っ?っムリでしょ!ええっ?そんな魔法無いよ、無い、髪の毛っていつの時代もデリケートな問題なのよ!あれ?有ったわ!現状復帰!!土属性+水属性だったかな、ビルディング・ダンジョン出現で破壊された自然を復帰させたけど、あの魔法は別に”過去の姿に戻す”時間魔法じゃないの、”成長”に近い増殖魔法なのよね、つーかアレ人体に使って良いのかしら?都合良く髪だけ伸ばせるモノなの?
髪細胞そのものを増殖するイメージで伸びるのかしら?でも髪って血液で作られてるのよ、治癒魔法で流れ出た血は戻せないし増血も出来ないよね?って事は、長~いあの髪を現状復帰しようものなら、その材料の血液が足りなくなるんじゃないの?ど貧血になるんじゃないかしら?そのくらいで済めばまだ良いわね……。
私は遠い目をしながらとにかく食べた、お腹いっぱい以上に。100%血液で髪を復帰させたらきっと恐ろしい量よ?素材って魔力でどの程度補えるのかしら?無から有は作れないのよ。毛根から成長で伸ばすか、既に伸びている部分を増殖して伸ばすかよね。うーん。やってみないと分からないわぁ……自己回復待機だなぁ。いや待てよ?究極治癒って欠損も治せたわよね、そうしたら一緒に増血もされてるハズよね、うーん、聖と闇どっちが良い?自己治癒+究極治癒の合わせ技なら自己治癒を聖で、究極治癒を闇でってのはどうかしら?しかし髪って欠損になるのかな?身体に繋がった部分ではあるんだけど、どれを使うのが正解?片っ端から試す?うーん、結局人体実験しかないのよね、モルモットはもちろん自分!
うん、もうこれ以上入らないくらい食べたよ。どれくらいで消化してくれるかな。今すぐってマジ無茶振りだなお母様!
お母様の視線がめっちゃ痛い!物凄い圧がかかって来てるよ?くっ!やるしかない。
「【現状復帰】【自己治癒】【究極治癒】【自己回復】」
私は拝むように手を合わせて一気に唱えここぞとばかりに無尽蔵の魔力を放出した。自分にきらきらふわふわっと光が降り注ぐ、いや自ら発光もしている。身体の内側から風が膨らんで巻き起こす感じ!ぶわぁっって銀色の何か被さった!強いめまいがした、うわぁこれ多分SPレッドラインだ!私は倒れないように身体を後ろにひねって椅子の背にしがみついた、うーん!せめてソファーの近くでやれば良かった!つーか、回復魔法と治癒魔法使って精神力レッドラインってどう言うことよ、普通は回復するでしょ……
▽▲▽▲▽
「やりましたよぉ!お嬢様!!」
ふぇ?ここ何処だろ?ケイナの声がするって事は自分の部屋?あーでも何か気持ち悪い、吐き気するし目眩が酷い。私は目の前に差し出されたジュースを飲んだ。うーん、これはブルーベリージュースだな。もっと欲しい。
「ケイナ、何がやったの?」
「来たんですよ!お祝いしなくちゃ」
「?」
ケイナが何を喜んでいるのか分からない!ちょっと身体を起こす、うーん、お腹が痛いんだけど何だっけ、この超お久しブルーな感じは女の子の日が来ちゃったアレじゃないの!
目眩は精神力レッドラインじゃ無かった?で、髪の毛復帰だか治癒させたのと合わせてこの超ど貧血状態って訳なのね!?私の視界には、それはそれは長~い銀髪が伸びていたのである。うぇえ、もう四属性一気に使うなんてしたくないわ、いや、多分火属性も反応有ったから五属性だわ、現状復帰って復帰の対象に合わせて属性魔法発動するのね!この気持ち悪さは貧血だけじゃなさそう、もう髪引きずっても我慢するよ……。
「ケイナ、今更そんなお祝い恥ずかしいわ。 ここだけにして欲しいの」
「無理ですよぉ!何処でお倒れになったと思っていらっしゃるんですか?ダイニングからお嬢様をここまで運んだのはご当主様ですよ」
いや、それまだ家族だけで済むじゃん。
「お父様とお母様とケイナは知ってるって事で良いの?」
「リリアーナ様がお祝いだっておっしゃって、今お嬢様の大好物のチョコレートケーキを作らせてますよ」
うわぁっ!まさかの赤飯代わり用意させてるって!超恥ずいんですけど!!
ってか私、何処成長させてるの?思わず板を確認したのは乙女心です……。
成長じゃなくて治癒と回復が効いたのかな?意識ちゃんと保っていればどの魔法がどれに効いたか分かったのになぁ!
私はとにかく喉も身体もカラカラな感じだったのでジュースのお代わりを二杯もした。ああでもあったかいココアも飲みたい。ちょっとどころじゃなく寒い!しかも着替えまでしてるよ、まぁケイナがしてくれたの分かってるけど。全部お任せで寝てるだけって本当に私ってばお子様だわ。
ケイナがココアを用意してくれたので、ゆっくりと起き上がってナイトガウンを羽織った。ふと足元を見ると、髪を引きずってた、伸ばしすぎぃ!そして姿見に映っているのは誰だーっ!
うん、造作が劇的に変わった訳じゃないけど、こんなに一気に女の子らしくなるものなの?雰囲気がふわふわだよ、板は変わってないのに。これから変わるの?それとも貧のまま?まぁいいや、先にココアよ。
その後、私の部屋で両親とひいお祖母様、ケイナの5人で小さなパーティーをした。
お父様とお母様は猛毒事件の所為で二次性徴が遅れているんじゃないかって心配していたみたいね、まぁ来ない事も十分考えられたけどね。あの時は身体中ボロボロになってたし、その後体型が元にすら戻る事がなくて、制服の時なんていつも寒いからコルセットの中にシルクタオル巻いてたくらいだったんだよね。
身体能力だけじゃなくて、やっと元の超健康な身体に戻れたって事で良いのかな?だったらすごく嬉しいな♪




